このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2010/10/12

國土典宏教授の「肝がん治療の誤解を解く」(2)

原発性と転移性の違いは?

原発性の肝がんと転移性の肝がんの違いを理解していますか? 肝がんには大きく分けて2つ、原発性肝がんと転移性肝がんがある。転移性肝がんも原発性肝がんと同じように肝臓にしこりを作るが、腫瘍としての性質は両者で全く異なっている。具体的にどのような違いがあるのだろうか。





 肝がんには大きく分けて2つ、原発性肝がんと転移性肝がんがあります。この2つは腫瘍としての性質や治療法が大きく異なるので、「肝がん」の話をする場合には、どちらのことかを区別する必要があります。この区別は、医師であってもあいまいになっていることが少なくありません。

 原発性肝がんは、肝臓から発生したがん、つまり“本籍地”は肝臓です。肝臓を形作る細胞ががん化してしこりを作ったものです。

 肝臓を作る主な細胞には、ブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えたり、アンモニアを尿素に変えるなど、肝臓本来の機能を果たす「肝細胞」と、肝細胞が作る胆汁という消化液を流す胆管を形作る「胆管細胞」があります(図1)。

 肝細胞ががん化したのが肝細胞がん、胆管細胞ががん化したものが胆管細胞がんで、この2つで原発性肝がんの98%を占めます。しかもこのうち95%が肝細胞がんで、2番目に多い胆管細胞は4%にとどまっています(図2)。そのため、今回は、原発性肝がんの代表として「肝細胞がん」について説明します。

 一方、転移性肝がんは、肝臓以外の臓器にできたがん、例えば大腸がん、膵がん、乳がんなどから、がん細胞が血液の流れに乗って肝臓に運ばれて、そこに着床してがん病巣を作ったものです(図3)。

 転移の元になった“本籍地”の臓器を原発臓器、そこにあるがん病巣を原発巣と呼びます。転移性肝がんも原発性肝がんと同じように肝臓にしこりを作るわけですが、腫瘍としての性質は肝細胞がんと大きく異なり、原発巣の性質を持ちます。実際に顕微鏡で観察しても、原発巣と同じがん細胞の形をしています。例えば、大腸がんの肝転移(転移性肝がん)は大腸にある原発巣(大腸がん)と同じ細胞でできており、がんとしての性質も大腸がんと同じで肝細胞がん(原発性肝がん)とは違うのです。

 がんとしての性質が違うということは、診断法や治療法も違うということです。次回は、2つの肝がん細胞をじっくり観察してみましょう。

國土典宏(こくどのりひろ)

東京大学臓器病態外科学大講座、肝胆膵外科学・人工臓器移植外科学分野 教授

1981年東京大学医学部卒業。同大学第二外科助手を経て、89年米国ミシガン大学外科に留学。95年癌研究会附属病院外科、2001年東京大学肝胆膵外科、人工臓器・移植外科で肝胆膵のがんの外科治療とともに肝移植チームを指揮している。07年から現職。

この記事を友達に伝える印刷用ページ