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レポート

2010/9/14

歯科医の協力でがん患者の合併症を予防

国立がん研究センターと日本歯科医師会が歯科医療で連携

 がん治療開始前に適切な口腔ケアを受けることで、術後の合併症や副作用のリスクを大幅に減らすことができる。だが、歯科のない医療機関も多く、患者はどの歯科医院を受診すればよいのか、情報が不足しているのが現状だ。そんな中、国立がん研究センターと日本歯科医師会が、がん患者に対する歯科医療で連携体制を構築すると発表した。両者は、全国に連携を拡大させることを目指している。




がん患者に対する歯科医療で連携体制を構築すると発表した国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏(右)と日本歯科医師会会長の大久保満男氏(左)。
 がん治療開始前に適切な口腔ケアをしておくと、術後の肺炎や、化学療法や放射線治療後に生じる口内炎の予防に有効であることが明らかになってきた。また、骨転移治療に用いられるビスホスホネート製剤の副作用と考えられる顎骨壊死も、治療開始前の適切な口腔ケアで発症リスクを減らせることが示されている。

 このようにがん患者の口腔ケアの重要性が指摘されているものの、口腔ケアに対する取り組み方は、医療機関によって、また診療科によっても温度差があり、それほど積極的ではない病院や診療科もあるのが現状だ。がんを治療する医療機関に歯科医師や歯科衛生士がいない場合も多く、いたとしても連携が取れていないケースも少なくない。

 実際、国立がん研究センターには、常勤の歯科医師が1人、非常勤の歯科衛生士が1人従事しているのみで、すべてのがん患者に対して歯科医療を十分に提供できる状況になかった。同様に、全国のがんセンターにおける歯科スタッフは不足しているのが現状だ(表1)。

 この問題を解決すべく、国立がん研究センターと日本歯科医師会は、がん患者に対する歯科医療で連携を模索、約2年前から準備を始めていた。そして8月31日に正式に合意し、合意書の調印式を行った(写真)。

 今回の合意を受けて、まず初年度は、手術を受ける予定の関東圏在住の患者を対象に取り組みをスタートさせ、2年目以降からは化学療法治療前の患者や頭頸部放射線治療の前後の患者、終末期の患者などに対象を拡大していく。将来的には、全国のがん診療連携拠点病院と都道府県歯科医師会との連携に拡大させることも目指すという。

 今回の枠組みでは、日本歯科医師会が、歯科医師向けの講習会を開催し、講習会を受講した歯科医師を「連携歯科医師(日歯・国がん連携歯科医師)」として認定する。認定を得た歯科医師に、拠点病院が患者を紹介する。日本歯科医師会は9月末から、山梨、東京、埼玉、千葉、神奈川で講習会を開催する予定だ。

 日本歯科医師会会長の大久保満男氏は、前任の静岡県歯科医師会長時代に、がん患者の口腔ケアで先進的な取り組みを行っている静岡県立静岡がんセンターとの連携体制を構築した経験を持つ。大久保氏は「静岡での取り組みは、小さなコミュニティーの中だから成果が上がったのかもしれない。日本のがん診療の中心である国立がん研究センターとの試みがうまくいけば、大きな意味があるだろう」と語り、今回の連携が日本各地に対するモデルとなると強調した。

 今回のがんセンターと歯科医師会の連携が、全国に広がり、各地のがんセンターにおける歯科スタッフの不足を地域連携で補うことができれば、がん患者の治療に伴う副作用の軽減、生活の質(QOL)の改善につながると期待される。

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