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レポート

2010/5/14

これが日本のがん診療の「実力病院」

「日経実力病院調査」より

 医師向け総合情報誌「日経メディカル」(日経BP社)と日本経済新聞社は、4回目となる「日経実力病院調査」を実施した。これは、病院の自己申告に基づくアンケートではなく、国や公的機関が収集、公開しているデータを基に診療実績を把握し、狭心症、脳卒中、がんの3領域で、全国トップレベルの診療実績を持つ「実力病院」を調査したもの。本記事では、このうちがん領域の「実力病院」を紹介する。

肺がん 胃がん 乳がん 前立腺がん 大腸がん

 「いい病院」を紹介する一般向けの書籍や雑誌が毎年のように発行されている。日経メディカルと日本経済新聞社も、これまで3回にわたって「日経実力病院調査」を実施してきた。

 だが、過去の調査はいずれも病院へのアンケート、つまり自己申告に基づくものだった。そのため、データの信頼性の面では限界があった。そこで今回は、国や公的機関が収集、公開しているデータを基に、病院が提供している医療の質を、診療の実績である「結果」、診療のプロセスや管理の状況を示す「過程」、そして設備や人員配置などの「構造」の3つの観点から多角的に評価した。

 今回の調査の最大の特徴は、診療実績を示す指標として、2003年度に診療報酬で導入が始まったDPC(診断群分類別包括払い)のデータを活用した点だ。

 DPCは、病名や手術方式の違いによって診断群を分け、1日当たりの入院費用を定額払いとする制度。厚生労働省が公開しているデータでは、DPCを導入あるいは準備中の全国1500カ所以上の病院について、1500を超える診断群別に、退院患者数と平均在院日数が分かる。対象病院数は全病院数の約6分の1だが、中核病院が多く、急性期医療を提供する病床に限れば病床数の5割以上をカバーしている。さらに、複数の診療科にまたがる疾患であっても、病院の患者数を把握できるメリットがある。

 本調査は、08年7月から12月までの期間に、DPCの対象病院および準備病院であった計1559施設を対象とした。同期間の退院患者数(症例数)は、中央社会保険医療協議会(中医協)の09年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(09年5月14日)で発表され、厚生労働省のウェブサイトで公開されており、それを基にした。

 そのため、たとえ症例数が多くても、DPCに参加していない病院は、対象からは外れている点に留意していただきたい。

 「過程」については、財団法人医療機能評価機構が実施する病院機能評価の認定病院(10年2月5日現在で2572施設)のうち、評価結果を同機構のウェブサイトで公開している病院のデータを用いた。評価項目の詳細はバージョンにより異なるので、異なるバージョン間の比較ができるように、各バージョンで獲得できる最高点を100点に換算し、その病院が100点中何点取れたかで表した。

 リストに掲載した病院の中には、同機構に認定されていない病院や、認定されていても結果を公開していない病院もある。それらは「未認定/非公開」と表記した。

 3つ目の「構造」については、がんの領域に関連が深いと考えられる診療報酬の施設基準(がん診療連携拠点病院加算など)を、各病院が満たしているか(届け出ているか)どうかを調べた。施設基準の届け出状況は、各地方厚生局のウェブサイト(「主な業務別情報」の「保険医療機関・保険薬局・柔道整復師関係」の中の「施設基準の届出受理状況」)に公開されており、そのデータを用いた。

 「施設基準の届出状況」は、診療報酬と連動するため、不正に届け出れば保険医療機関の取り消しにつながる。いずれも病院側がデータをごまかすことは考えにくく、アンケートによる自己申告のデータより信頼性が高い。

 ただし、施設基準を満たしていないからといって、必ずしもその病院の質が低いとはいえない。病院が提供する医療の内容や施設間の連携により、施設基準を満たしていなくても必要十分な医療が提供できている場合もあるからだ。

肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんの実力病院は…
 がんの「実力病院」は、DPC分類の「肺がん」「胃がん」「大腸がん(結腸および直腸)」「乳がん」「前立腺がん」の5種類について、「手術あり」の診療実績に基づいて選んだ(がん種ごとの実力病院一覧は、右上のボタンをクリックするとご覧になれます)。

 症例数が最も多かったのは、「肺がん」は国立がんセンター中央病院(東京都中央区)で194例、「胃がん」は同じく国立がんセンター中央病院で443例、「大腸がん(直腸肛門がん)」は愛知県がんセンター中央病院(名古屋市千種区)で135例、「乳がん」は聖路加国際病院(東京都中央区)で379例、「前立腺がん」は熊本中央病院(熊本市)で90例だった。

 症例数の多い病院には、大学病院や地域のがんセンターが多く含まれる。東京都、神奈川県、大阪府といった大都市圏の病院が多いのも特徴だ。

 なお、今回の調査は、対象がDPC対象病院および準備病院に限られている関係で、例えばがん診療で全国的に有名な癌研有明病院(東京都江東区)は含まれていない。

 この実力病院一覧には、それぞれのがんの「手術あり」に加えて、「手術なし」の症例数も掲載した。肺がんや前立腺がんでは、「手術あり」より「手術なし」の症例数の方が多い施設が少なくない。化学療法や放射線療法など、手術以外の治療法も多く行われていることを反映していると考えられる。

(北澤京子=日経メディカル編集部)

※この記事は「日経メディカル」2010年3月号特集「日本の『実力病院』」の内容を一部改変したものです。

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