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レポート

2009/8/18

米国でアドボカシー・トレーニングを体験(No.5)

NBCCFカンファレンス4日目:とうとう最終日、ロビー活動を体験

 日本イーライリリーの患者支援プロジェクトとして、5月2日から4日の4日間、ワシントンDCで開かれた米国乳がん連合基金(NBCCF)の「アドボカシー・トレーニング・カンファレンス」を取材した。「ハードスケジュール!」と思っていたのに、気が付けばあっという間に最終日。今日はいよいよメイン・イベントのロビー活動(議員への陳情)だ。緊張する――。


いざ出陣!
 朝8時、ホテルの前には2台の大型バスが停車している。これに乗ってキャピタル・ヒル(米国連邦議会議事堂)へと向かう。バスの中で私は「テキサス州のがん医療で最も重要な課題は何?」とサンディに尋ねた。サンディは「テキサス州はとても広いの。そして移民が多い。だから、医療に対する意識や教育、技術も、地域によって大きな差があるの」。

2台のバスに分乗して出発!
2台のバスに分乗して出発!

議員めぐりはダッシュ!
 テキサス州はニューメキシコ州に接し、全米で2番目の広さと人口を持つ。ランス・アームストロング財団(以下、LAF)やMDアンダーソンがんセンターなど、がんに関して日本でも有名な団体や病院も幾つかある。だから私は、がん医療に関しては進んでいる街だと思っていた。

 「LAFとはコラボレイトしないの?」「う〜ん、LAFとNBCCFとはミッションが違うわ。彼らは、サバイバーシップの啓発・普及が主軸だから。ナオミ、私たちはとても小さなグループなの。私たちだけではロビー活動なんてできないわ。でも、まとまることで、より大きな夢を描くことができるの。NBCCFのミッションは、テキサスの未来へつながっていくのよ。だから、私もこの活動を続けているの。こんなお婆ちゃんになってもね!」力強く話すサンディをみて私はあることに気がついた。

 「そうか、彼女たちは未来を描いているんだ!」。NBCCFへ来たら、自分たちの団体の主張や私利私欲は一切ださない。「統制されたピラミッド型の運営システム」は、未来を描くための必要なシステムだと感じた。「未来を変える」という一つのミッションのもとで、同じ日に、同じ場所で同じ行動をとる。「ONEミッション・ONEアクション」の連合組織。この意味がよくわかった。

議員の秘書とトークバトル
 私はプロジェクトリーダーのデイル、朝から合流したキャロル・バースさんと3人でロビー活動を行った。相手の議員は、会議や議会と重なっていなければ本人が会ってくれるけど、スケジュールが重なったときには秘書が対応する。私たちのチームは残念ながら、直接議員と政策について議論できるチャンスに恵まれなかったが、NBCCが掲げる政策目標にサインをしていない議員の秘書とのトークバトルには目を見張った。

配布資料を使っての説明 論理的に、メリットを説く
配布資料を使っての説明 論理的に、メリットを説く

 秘書は、私たちの説明に対して、「議員は見ているけど、他の案件を抱えているから・・・」とか「サインすべきものには全てしたはずよっ!」と、バッサリ言ってくる。

 普通、自分の子供のような歳の人にこんな言われ方をしたら頭に血が上るはず。でも、サンディたちは、論理的に、懇々とメリットを説明していた。「諦めない・貫く」この彼女たちの姿勢や信念の強さに、私は心から感動した。

 秘書が私を見て「彼女は?」と聞いた。「ナオミよ。日本から参加しているのよ!ランスをとても尊敬していて、私たちと一緒に行動をしているの。」「えっ?日本から!?」「はい。サバイバー歴4年です。」「はるばる日本からきた子がテキサス州のロビー活動に参加しているのよ。もう一度この資料をよく読んでと議員に伝えて。期限も近いのよ!」「OK!」あっという間に30分が経過。遅刻、遅刻! 次の議員のもとへGO!GO!

上院議員と下院議員の差に驚き!
上院議員の部屋は豪華! 正面が対応してくれた立法アシスタント。彼女はお母さんを乳がんで亡くしていて、ロビー活動に好意的
上院議員の部屋は豪華! 正面が対応してくれた立法アシスタント。彼女はお母さんを乳がんで亡くしていて、ロビー活動に好意的

 キャピタル・ヒルを訪問して一番驚いたのは上院議員と下院議員の部屋の違いだ。上院議員の部屋は広く、会議室も別。一方、下院議員の部屋はコピー機や資料で埋め尽くされて「狭っ!」座る場所もないので、必然的に「ちょっと廊下で・・・」となる。私たちのチームは、午後は下院議員ばかりとの面会だったので、ずっと立ちっぱなし。さすがに疲れた顔になってくる。

 「ナオミの靴の選択は的確だわ!でもキャロル、なんでヒールのある靴なんか履いてきちゃったの?疲れるわよ?」「大丈夫よ、履きなれているから」そんな話をしながら、3人でとにかく歩いた。そして、最後に迷子になり、最後は警備員さんに誘導されました・・・。とほほ。

下院議員の部屋は狭いので廊下でもロビー活動
下院議員の部屋は狭いので廊下でもロビー活動

未来を変える原動力に
 州ごとに動いてはいるが、目標は一つ。約800人の参加メンバーの統一行動は、キャピタル・ヒルでも目を引く。「初めてだし、私はみんなについていくだけよ」と肩をすぼめていたオハイオ州のナンシーにも何回か会った。「ナオミはどう?」「うん。とてもビッグな経験をしている!」「私もよ!エキサイティング!」目がキラキラと輝いている。

 4日間のトレーニング。特にこの4日目の、キャピタル・ヒルを走り回るというビッグイベントは、一人の患者をここまで変えてしまう力がある。3人に1人は初参加者。この新鮮なモチベーションが組織を支え、未来を変える原動力になっている。

 「みんな未来をみつめ、夢を描いている」そう強く感じた。

●著者プロフィール
桜井 なおみ
NPO法人HOPEプロジェクト理事長。2004年夏、30代でがんの診断を受け、手術、化学療法。2007年再手術。2006年子育て世代の小児がん・若年性がん患者支援の会(ボタニカルキッズクラブ)を始動。設立1年を契機に法人化、現在に至る。人間力大賞2008会頭特別賞受賞など。

●お知らせ
 NPO法人キャンサーネットジャパンが8月23日に開催するセミナー「もっと知ってほしい婦人科がん」にて、桜井さんが今回のアドボカシー・トレーニング体験について講演します。詳しくはキャンサーネットジャパンのホームページをご参照ください。(編集部)

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