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レポート

2009/8/4

米国でアドボカシー・トレーニングを体験(No.4)

NBCCFカンファレンス3日目:ロビー活動を前に、作戦会議

 日本イーライリリーの患者支援プロジェクトとして、5月2日から4日の4日間、ワシントンDCで開かれた米国乳がん連合基金(NBCCF)の「アドボカシー・トレーニング・カンファレンス」を取材した。 今日はその3日目。前日同様、今日もスケジュールびっちりだ。中でも、海外からの参加者は、どの州のロビー活動に参加するかを決めなくてはならない! さて、どれに参加しようかな?


1億5000万ドル(約150億円)ですかぁ!?
 すでに初日の説明会で、今年のロビー活動の政策目標が発表されている。・目標1:すべての人に対する良質な医療の保障・目標2:国防総省予算から、乳がん研究プログラムに1億5000万ドル(約150億円)の供出 これには口があんぐり。2009年度の日本のがん対策予算は厚生労働省関連で約237億円。文部科学省関連、経済産業省関連を含めた3省合計で523.5億円だ。(厚生労働省・第9回がん対策推進協議会資料より)。乳がんの研究プログラムだけに150億円という目標に、腰が抜けそうでした。

 NBCCFは「乳がんの撲滅」という一つのミッションの下、トレーニングによって身に付けた幅広い視野を持つ患者を政策決定の場へ送りこみ、獲得したお金の使い道まできっちり監視している。1億5000万ドルという数字は、NBCCFに対する国民からの信頼と期待の証。まさにがん医療の「市民オンブズマン」なのだ。

テキサス州のロビー活動に参加
 今回のカンファレンスには米国の43の州から参加者が集まっている。私のような海外からの参加者は、どこかの州のロビー活動に臨時で参加させてもらうことになる。悩んだあげく、私はテキサス州の人に同行しようと決めた。

 理由は、精巣腫瘍を乗り越えて、ツール・ド・フランスで前人未到の7連覇を成し遂げた、テキサス出身のランス・アームストロングが好きだから。そして「ランス・アームストロングに会いたい」という夢を果たせないまま逝った友人のことを想ったからだ。さあ、この大会場の中からテキサス州の人を探さなくっちゃ!

班分け、スケジュールの確認
班分け、スケジュールの確認

 「テキサス州の人を知りませんか?」「テキサス州の人を知りませんか?」あっちのテーブル、こっちのテーブルで聞きまくり、ようやく7人目でテキサス州の人を発見。「テキサス州の方ですか?」「ええ、そうよ」「ああ、やっと見つけた!」思わず、ハグ!

 彼女たちの名前はサンディ・スタンフォードさんとキャスリン・オブレインさん。二人ともサバイバー歴10年以上のベテランだ。私は、ランス・アームストロングのメッセージ「LIVE・STORONG(強く生きろ)」の文字が刻まれたイエローリストバンドをみせながら、テキサス州のロビー活動に参加したい理由を説明した。

  事情を聞いたサンディは「ナオミ、一緒に来なさい。テキサスへ!」「いいの?」「大歓迎よ!」こんな突撃行動から、私はテキサス州の人たちとロビー活動をともにすることになった。初志貫徹! ありがとう、テキサス!

作戦会議、始まる
 ロビー活動を明日に控えた今日は、州ごとのミーティングが開かれる。テキサス州のプロジェクトリーダーはデイル・イーストマンさん。サバイバー歴18年、NBCCFカンファレンス7回連続参加の超ベテランだ。最初、簡単に全員が自己紹介した。日本からの参加者は初めてとのこと。3年ほど青森県の三沢基地にいたという唯一の男性ジョイさんから「ウエルカム、テキサス!」と声がかかった。彼は奥さんを乳がんで亡くして以来、NBCCFに参加している。

議員配布用のプレゼン資料 ゴージャス仕様
議員配布用のプレゼン資料 ゴージャス仕様

 デイルからは10ページほどのスケジュール表が手渡され、チーム編成の説明が行われた。3〜4人で1チーム。1チームが4〜6人の議員に約30分間隔で次々と会っていく。私はデイルと一緒に行動することになった。

 「今年は7チームで行くわよ。今年のミッションを忘れないで! もう一度、手元の資料をよく読んで。」さぁ、チームテキサスの始動だ。

議員の通信簿まであるの!?
 ロビー活動の出撃キットとして、NBCCFから青いフォルダーが手渡された。フォルダーの中には、NBCCのミッションや概要のほか、今年の政策目標やその背景などが記載された資料、キャピタル・ヒル(米国連邦議会議事堂)周辺の地図まで入っている。

議員通信簿。この1番上の男性がダメダメらしい(マージョリー談)
議員通信簿。この1番上の男性がダメダメらしい(マージョリー談)

 中でも私が一番驚いたのは、「議員の通信簿」だ。通信簿には、ここ数年の議員の合意状況、政策内容、どんなロビー団体とのつながりがあるのか、連絡先――まで、びっしり書かれている。

 「こんな資料があるの???」驚いて聞く私に、メディカル・ライターのマージョリーは、「私が明日、最初に会うのがこの議員なんだけど・・・ほらみて、今まで1回も会ってくれないのよ!」「へ〜、本当だ。真っ白だね」「とにかく、この男はね、ダメなのよ!!」と大笑いをし、紙の上からデコピン。

 ロビー活動では、がっかりすることもたくさんあるのだろうけど、仲間がいるからこうして一緒に乗り越えられる、楽しめる。「楽しむこと」は全ての活動の原動力だ!

明日はビッグイベント! 今夜はアゲアゲで行こう!
 夜は大ディスコ大会。「ユーロビートなんて恥ずかしいから踊らな〜い!」と心に決めていた私は、「ナオミ、踊らないの?」との誘いにも「う〜ん、あとで〜」と気のない返事をしてしまう。

カエルもサタデーナイトフィーバー。後ろの人が頭を抱えてます
カエルもサタデーナイトフィーバー。後ろの人が頭を抱えてます

 ところが、1曲目を聞いて大爆笑! アメリカン・ロックバンド “サバイバー”の“アイ・オブ・ザ・タイガー”だ。映画ロッキーでも使われた曲だから、聞いたことがある人も多いはず。

「“サバイバー”が“サバイバー”で踊るの?なんというアメリカンジョーク!」ツボに入りました。とどめは“サタデーナイトフィーバー”。アラフォー世代の悲しいサガか――身体に埋め込まれた(?)ジョン・トラボルタ・スイッチはON! というわけであっという間に3時間が過ぎた。

アメリカ人はこういったオン、オフの切り替えが本当にうまいと思うけど、私もよく頑張った!

●著者プロフィール
桜井 なおみ
NPO法人HOPEプロジェクト理事長。2004年夏、30代でがんの診断を受け、手術、化学療法。2007年再手術。2006年子育て世代の小児がん・若年性がん患者支援の会(ボタニカルキッズクラブ)を始動。設立1年を契機に法人化、現在に至る。人間力大賞2008会頭特別賞受賞など。

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