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レポート

2009/4/21

キャンサーリボンズらがん支援団体の支援で

看護学生が医療用ウイッグの材料として毛髪を寄付

“みんなが少しずつ自分のできることを提供して支え合う”という新しいかたちの寄付活動を、NPO法人キャンサーリボンズが国内で開始した。ヘアケア製品を持つ会社がヘアケア製品を提供し、若い女性がそのヘアケア製品を使ってケアをしながら伸ばした髪を寄付、ウィッグ会社がウィッグの制作をボランティアで請負い、出来上がったウィッグをがん治療に伴う脱毛に悩む患者に届けるというもの。



美容師と相談して髪型が決まると、胸まで伸びた長い髪にハサミが入れられ、流行りのショートカットが次々に仕上がっていった(クレアトゥールウチノ表参道店にて)

美容師と相談して髪型が決まると、胸まで伸びた長い髪にハサミが入れられ、流行りのショートカットが次々に仕上がっていった(クレアトゥールウチノ表参道店にて)

 3月25日、東京都渋谷区にある美容室で「リボンズ・ウイッグ・サポーターズ・プロジェクト」のイベントとして、看護学生達の髪の毛のカットが行われた(写真右)。

 このプロジェクトは、NPO法人キャンサーリボンズ(理事長:聖マリアンナ医科大学外科学教授の福田護氏)とP&Gパンテーンとの共同企画によるもの。看護学生が「リボンズ・ウイッグ・サポーター」として、P&Gパンテーンのヘアケア製品で手入れしながら伸ばした髪を、医療用ウイッグの材料として寄付し、その髪で製作した医療用ウイッグを、がん患者に贈呈するというものだ。

 聖路加看護大学、聖マリアンナ医科大学看護専門学校、亀田医療技術専門学校の看護学生がこのプロジェクトに参加し、昨年10月からスタート。54人の看護学生が約半年かけて伸ばした長い髪をカットして提供した。

米国で行われていた同種の活動を参考にプロジェクトを計画

髪をカットする看護学生と談笑する乳がん経験者の山崎多賀子氏(美容ジャーナリスト)

髪をカットする看護学生と談笑する乳がん経験者の山崎多賀子氏(美容ジャーナリスト)

 キャンサーリボンズの理事の一人で、乳がん経験者の山崎多賀子氏(美容ジャーナリスト、写真左)によると、「抗がん剤の副作用によって髪を失うことが、患者の心に与える影響は大きい。外見がきれいになるだけで、患者の気持ちはずいぶん前向きになれるが、医療用ウイッグは安いものでも十数万円するので、手に入れることをあきらめている患者も少なくない」そうだ。

 そこで、キャンサーリボンズとP&Gパンテーンは、米国で行われていた同種の活動を参考に、このプロジェクトの実現性を検討した。日本では他者に髪の毛を提供することに抵抗を持つ人が多いことが予測されたのと、若い人の髪でなければ質のよいウイッグが製作できないという理由から、まず看護学生を対象にプロジェクトを始めることにした。

 「髪という形あるものの支え合いだけでなく、看護学生の心も一緒にプレゼントすることで、がん患者への励ましにつながれば」という気持ちも込めたという。山崎氏は、このプロジェクトへの賛同を呼びかけるにあたり、各看護学校を回り、看護学生達に自分の乳がん体験を話した。

 プロジェクトに参加した学生の一人は、「山崎さんの体験を聞いたことによって、治療や生活面において、いろいろなことを我慢しているがん患者さんの辛い現状がよくわかった。自分に協力できることはしたいと思った」と語る。山崎氏の話に心を動かされた人も多かったようだ。

患者のつらさが共有できた――看護学生たちにも好影響
 また、看護学生達は、今回の体験を振り返り「治療のサポートだけでなく、患者さんの心に寄り添い、しっかり支えていくことも大切なケアの一つであることを知りました。そのような支援のできる看護師になりたいと思いました」「患者さんが治療を受ける中で、メンタルな部分が大きなウエイトを占めることを自覚しました。これから患者さんに接するときは、この体験で学んだことを生かし、きちんと向き合っていきたいと思います」といった感想を寄せた。

 キャンサーリボンズの副理事長である岡山慶子氏(朝日エルグループ会長)も、「患者さんの役に立ちたいという気持ちから参加してくれたわけですが、看護学生さん達も得るものが大きかったようです。患者さんの辛さを共有できたことを、ぜひ、将来の看護に役立ててほしい」と期待した。

参加した聖路加看護大学、聖マリアンナ医科大学看護専門学校、亀田医療技術専門学校の看護学生とキャンサーリボンズ副理事長の岡山慶子氏(前列右端)

参加した聖路加看護大学、聖マリアンナ医科大学看護専門学校、亀田医療技術専門学校の看護学生とキャンサーリボンズ副理事長の岡山慶子氏(前列右端)

 そして、「このプロジェクトには、ヘアケア製品を提供する企業、髪をカットする美容師、医療用ウイッグを製作してくれる企業など、さまざまな人たちが自分達のできることで少しずつかかわってくださっています。これまで寄付活動といえば、お金を出すことが定番でしたが、今回の取り組みを通して、“みんなが少しずつ自分のできることを提供して支え合う”という新しいかたちの寄付活動を提案したいと考えています」とも語った。

 54人の看護学生から提供された髪は、ウイッグ製作に協力するカツラメーカー「スヴェンソン」のドイツ工場に空輸され、医療用ウイッグに加工される。1つの医療用ウイッグを作るのに7〜8人分の人毛が必要となるため、今回製作できる医療用ウイッグは9個。5月下旬から6月上旬頃にウイッグの贈呈式を予定している。キャンサーリボンズは、今後も同じ活動を継続したい考えだ。

(医療ライター 渡辺 千鶴)



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