このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2008/12/2

世界の標準療法がようやく日本でも保険適用に

変わる膀胱がんの薬物療法

 膀胱がんなどの尿路上皮がんには、薬物療法としてゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法が世界標準となっている。しかし日本ではこれまで、GC療法と効果は同等だが副作用が強いM-VAC療法だけが保険で認められていた。そのGC療法がようやく承認され、一般に利用できるようになった。その意義を、泌尿器科学分野の第一人者である筑波大学教授の赤座英之氏に聞いた。



筑波大学教授の赤座英之氏

筑波大学教授の赤座英之氏

 「海外の教科書に既に載っている治療法です。NCCNの最新ガイドラインでもファーストラインとして記載されている治療法なのです」。筑波大学腎泌尿器科学・男性機能科学・教授の赤座英之氏が、ゲムシタビンが尿路上皮がんを対象にようやく承認されたことに関して、開口一番に語ったのがこの言葉だ。NCCN(米国総合がんセンターネットワーク)とは、全米の代表的ながんセンターによって結成された組織。最新のエビデンスに対応したがん治療のガイドラインを作成している。

 11月25日、ゲムシタビンが尿路上皮がんに適応拡大された。ゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法がこれで保険を使って利用できるようになる。

 尿路上皮がんは尿の通り道に発生するがんで、膀胱がんと腎盂、尿管がんから成る。そのうち8割から9割を膀胱がんが占める。国立がんセンターがん対策情報センターの地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(2002年)によると、膀胱がんのわが国の罹患患者は約1万6000人に上る。世界的な標準療法は、第一選択がGC療法で、第二選択がM-VAC療法だ。

GC療法は9割以上の患者で治療完遂
 M-VAC療法は、20年ほど前に開発された治療法で、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチンの4種の抗がん剤を併用するもの。赤座氏によると「M-VAC療法はそこそこの効果があるが、副作用がとても強いのが問題」。あまりにも副作用が強いため、投薬をきちんと全部受けることができる割合(完遂率)は半分くらいしかないという。特に、吐き気や脱毛など、直接患者に感じられる副作用が多いという。

 それに対してGC療法は、シスプラチンによる吐き気などが多少あるものの、副作用はM-VAC療法とは比べもののならないほど少なく、完遂率も9割以上になる。効腫瘍効果もM-VAC療法とほぼ同等。そのため、海外では早くから標準療法になっていたわけだ。

 有効性についてもう少し細かく説明すると、海外19カ国99施設における化学療法歴のない局所進行または遠隔転移を有する4期の尿路上皮がん患者を対象とした臨床試験の結果がある。登録された426人の患者のうち、405人が無作為割付され(GC群203人、M-VAC群202人)、有効性及び安全性の解析対象とされた。全生存期間中央値はGC群12.8カ月、M-VAC群 14.8カ月(p=0.547)、無増悪期間中央値はGC群7.4カ月、M-VAC群 7.6カ月(p=0.8425)と両群で有意差はなく、抗腫瘍効果はGC群49.4%、M-VAC群45.7%と同等の結果を示している。

 ゲムシタビンは、日本では1999年3月に非小細胞肺がんの効能で承認を受け、その後、2001年4月に膵がん、2006年6月に胆道がんの効能でも承認されている。

 GC療法に続く治療法について、「ゲムシタビンを中心にした併用療法が中心になっていく」と赤座氏はいう。

 これから日本でも、尿路上皮がんの治療が大きく変わっていくことが予想される。

(横山 勇生)


※「がんナビ通信」(週刊:購読無料)を配信中。購読申込はこちらです。



この記事を友達に伝える印刷用ページ