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レポート

2008/10/1

国内第III相試験など受けて

ゲフィチニブの「使用上の注意」が追加

 厚生労働省が9月25日に発表した医薬品・医療機器等安全性情報で、非小細胞肺がん治療薬ゲフィチニブの使用上の注意が改訂され、「その他の注意」として国内第III相試験の結果が追加された。この試験は、進行/転移性非小細胞肺がん患者を対象としたV-15-32試験のことで、全生存期間におけるゲフィチニブのドセタキセルに対する非劣性は示されなかったという結果が得られている。

 V-15-32試験は、2003年から2006年までに実施されており、対象は「1または2レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(IIIB期/IV期)または術後再発の非小細胞肺がん患者」で、ゲフィチニブ群(250mg/日)とドセタキセル群(60mg/m 2/3週おき)の生存期間を比較している。なお、このV-15-32試験では、対象症例の臨床因子などによる選択は行っていない。

 全生存期間の中央値はゲフィチニブ群で11.5カ月、ドセタキセル群で14.0カ月(ハザード比1.12、95.24%信頼区間:0.89-1.40)という結果で、ゲフィチニブのドセタキセルに対する非劣性は証明されなかった。

 今回の改訂は、この試験の結果が記載されるというものだ。

 また、参考情報として、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会によるV-15-32試験の結果とゲフィチニブの使用等に関する意見も発表された。

 ここでは、(1)V-15-32試験では、全生存期間においてゲフィチニブがドセタキセルに対する非劣性を示すことができなかったこと(2)後治療が全生存期間に何らかの影響を与えた可能性が考えられるがこの影響を正確に評価することは困難であること(3)全生存期間についてドセタキセルと比較してゲフィチニブの効果がより高いサブグループは明らかにならなかったこと(4)EGFR変異については、死亡例が非常に少ないため全生存期間に関して評価を行うことは困難だったこと(5)昨年の安全対策調査会の検討結果(1又は2レジメンの化学療法歴を有する手術不能又は再発非小細胞肺がんの患者の治療に際し、一般的に、ドセタキセルに優先してゲフィチニブの投与を積極的に選択する根拠はない)を変更する必要はないと考えられたこと(6)現在の安全対策(少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うなど)が継続されることで、ゲフィチニブは手術不能または再発非小細胞肺がんの治療において臨床的に有用なものであること――などがまとめられた。

アジア人を対象としたIPASS試験ではEGFR変異患者に効果が期待できる結果
 一方、ゲフィチニブを用いた臨床試験では、9月12日から開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、IPASS試験(IRESSA Pan-ASia Study)の結果が発表されている。

 IPASS試験は、アジア人の化学療法治療歴のない進行非小細胞肺がん患者で、組織型は腺がん、かつ喫煙歴がないか軽度の喫煙歴(10パック年以下で少なくとも15年以上禁煙している)がある患者が対象だ。日本人は233人参加しており、ゲフィチニブ群114例、カルボプラチン/パクリタキセル群は119例だ。組織型や喫煙歴など臨床背景因子で選択された患者を対象としている点が、V-15-32試験と異なっている。

 ファーストライン治療として、ゲフィチニブ群とカルボプラチン/パクリタキセル群を比較する試験で、主要評価項目は、無増悪生存期間について、ゲフィチニブのカルボプラチン/パクリタキセルに対する非劣性を証明することだった。

 試験の結果、ゲフィチニブはカルボプラチン/パクリタキセルに対して優れていることが明らかとなった(ハザード比0.741、95%信頼区間:0.651-0.845、p<0.0001)。ただし、無増悪生存について、最初の6カ月間はカルボプラチン/パクリタキセル群の方が上回っており、次の16カ月はゲフィチニブ群が上回ったという結果だった。

 EGFR変異の有無でサブ解析を行った結果では、変異陽性群でハザード比0.48(95%信頼区間:0.36-0.64、p<0.0001)でゲフィチニブ群が有意に無増悪生存期間を延長し、変異陰性群ではハザード比2.85(95%信頼区間:2.05-3.98、p<0.0001)でカルボプラチン/パクリタキセル群の方が有意に無増悪生存期間を延長した。

 主要評価項目の無増悪生存が最初の6カ月間でゲフィチニブ群がカルボプラチン/パクリタキセル群に比べて低かったのは、患者選択が臨床背景因子で行われており、EGFR変異の有無ではなかったことが考えられる。日本では、腺がんでは約50%に遺伝子変異があるとされているが、遺伝子変異がない腺がん症例があるともいえる。IPASS試験の詳細な解析が待たれる。(加藤 勇治)

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