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レポート

2008/9/2

寄付金控除の対象となる認定NPO法人制度とは?

 がん関連のNPO法人では、これまで、収入を会費に頼る団体が多かったが、近年、企業や個人からの寄付を募り、その資金を元に活動を拡大する団体が増え始めている。寄付を重要な収入源とする場合、寄付金控除の対象となる「認定NPO法人制度」は魅力的な制度だ。ただし、同制度の解釈に混乱があることから、認可を受けるためには“コツ”も必要になる。認定NPO法人制度を紹介する。

 認定NPO法人として認められると、税制上の特例処置を受けることができる。特例処置とは、1)寄付した個人が寄付金控除を受けることができる、2)寄付した法人が損金算入限度額の範囲で損金算入を認められる、3)相続財産を寄付した個人は相続税の課税を免除される、4)みなし寄付金が認められる――の4つ。みなし寄付金とは、収益事業で得られた収益を寄付金とみなして非収益事業に補填できる制度をいい、NPO法人自身の納税額を減らすことができる。

 認定NPO法人となることで、寄付金を得やすくし、かつ、払う税金を少なくすることもできるのだ。また、信頼できる団体であることも主張しやすくなる。認定NPO法人制度は、寄付金を収入源としたいNPO法人にとって魅力的な制度だ。

 2008年8月現在、国内で89のNPO法人が同制度の認可を受けている(リスト参照はこちら)。国境なき医師団日本など有名なNPO法人もあるが、小規模ながらも地道な活動を続けているNPO法人も含まれている。ただし、がん関連のNPO法人として、認定NPO法人の認可を獲得した団体はまだ出ていない。

今年4月の改定で申請の条件が緩和
 「以前、申請を検討したときは認定基準を満たすことができなかったため、申請できなかった」と明かすのは、がん患者と家族に対する精神・心理的支援を行っているNPO法人ジャパン・ウェルネスの大井賢一氏。そして、「4月の改定を受けて、申請できる可能性が開けたため、再度、申請準備を進めている最中だ」という。

 今年4月、同制度は改定された。大きな改定ポイントは、事業年度ごとに、ある程度の寄付金収入を維持しているという条件が廃止された点だ。これまでは、事業年度ごとに、経常収入金額に占める寄付金等の収入金額の割合(パブリック・サポート・テスト:PSTという)が10分の1以上を維持する必要があった。この条件が廃止されたことで、一定以上の寄付金収入を継続することが難しい団体でも申請できるようになったのだ。企業や個人からの寄付は季節変動があるため、この条件を満たすのは難しかった。

制度の解釈を巡って混乱も
 ただし、「制度の解釈が、各国税局の担当官や税理士によって異なり、混乱が生じている」と認定現場の内実を語るのは、認定NPO法人制度の設立に深く関わってきた、「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」の松原明氏だ。

 例えば、条件の1つである、受入寄付金総額の7割以上を事業費に当てるという項目。事業費にオフィスの賃貸料や人件費を加えられないと考える国税局の担当官もいれば、加えられると解釈する税理士もおり、混乱が生じているという。

 正解は、「事業を行うために必要な人件費、オフィスの賃貸料は、管理費で按分したうえで事業費に入れることができる」――だ。すなわち、1人のスタッフが、3割の時間を事業に割いていた場合には、そのスタッフの3割の人件費は事業費となる。また、患者サポートを目的とするNPO法人が、患者サポートの目的でオフィスを提供していれば、その時間分の賃料も事業費扱いすることができる。

 しかし「これらの点は、ルールとして明文化されていない。そのため、誤解や混乱が絶えない」と松原氏は苦笑いする。

 また松原氏は、「NPOの会計基準は企業と大きく異なり、その理解も普及していない」と指摘する。「例えば、賛助会員費は寄付金扱いされる。もしも、賛助会員に有料のニュースレターを送付している場合、賛助会員費からニュースレター購読料を差し引いた額を寄付金とすることができる。しかし、この点を知っているNPO法人スタッフは少なく、国税局の担当官や税理士でも知らない人が多いだろう」という。

 「認定NPO法人になるためには、天下りを受け入れないといけないらしい」「コネが必要らしい」など、認定NPO法人制度の公平性に疑問を投げかける"うわさ"も聞こえてくる。この公平性への疑問は、ルールが明文化されておらず、国税局の担当官によって対応が異なることから発生しているともいえそうだ。

NPO法人の2〜3割は認定NPO法人の規準を満たす
 松原氏は、「過去に行ったアンケート調査の結果から、全国のNPO法人の2〜3割は、認定NPO法人の規準をクリアしていた」と分析する。一方、東京国税局の広報担当者は、「数字は明かせないが、相当数の相談や申請は受けている。そのなかで認可を得ているのが現状の89団体」という。

 国税局の担当官が制度を誤解していたり、団体のスタッフ自身がNPO独自の会計基準を理解していないなどの理由から、本来は認定基準を満たしているにも関わらず、認可を得られていない団体が多数存在するのかもしれない。これらの団体が、制度の内容を理解し、申請書類を適切に作成できれば、がん関連のNPO法人でも認可を受けられる可能性は十分にある。今後、認可を取得する団体が増えることを期待したい。(小板橋 律子)

寄付金控除
 特定の団体に寄付した場合、1年間に寄付した金額から5000円を引いた額が寄附金控除額となる。所得税の算出の際には、本来の所得額から寄付金控除額が差し引かれて課税される。そのため、所得税の支払い額を減らすことができる。寄付金控除の対象となる団体は、近年、広がってきており、認定NPO法人はもちろんのこと、大学などの独立行政法人、社会福祉法人、科学技術の研究などを行う特定法人、学校法人なども対象となっている。

 通常の形で税金を納めた場合、納めたお金の使われ方を指定することはできない。しかし、寄付金控除制度を活用すれば、自分が支援したい団体や事業を選別して税金の一部を納められるとも、理解できる。実際、米国では、使われ方が指定できない税金よりも、具体的な活動内容が見えるNPOを支援したいという市民が多く、寄付金控除制度の活用が非常に普及し、NPO法人も収入を得やすい環境となっている。

【関連サイト】
国税庁の認定NPO法人制度に関するウェブサイト
国税庁の寄附金控除に関するウェブサイト
各国税局に設置された認定NPO法人制度の相談窓口
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会のウェブサイト

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