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レポート

2008/8/5

乳がん患者と患者の夫のアンケートで明らかに

“乳房へのこだわり”は夫よりも患者本人が強い?

 乳がんと診断された妻を夫はいかに支えたらよいのだろうか。乳がん患者本人と、乳がん患者の夫を対象としたアンケート調査から、多くの夫が妻を支えるべく努力している状況が示された。そして、“乳房へのこだわり”が強いのは患者本人であり、夫の"こだわり"はあまり強くないという、夫婦間で微妙な考え方の違いがあることも明らかになった。


 今回の調査は、全国の乳がん患者100人と、配偶者が乳がんとなった経験を持つ夫102人を対象にインターネットを介して行われたもの(夫婦を対象としたものではない)。過去6カ月から10年以内に乳がんの手術を受け、手術を受けた時点で結婚もしくは同居しており、現在、転移・再発治療を受けていない患者と、この条件を満たす患者の夫を対象としている。ブリストル・マイヤーズが実施し、8月1日に同社のウェブサイト「よくわかる乳がん」に公開された。

 その結果、乳がんであることを知ったとき、夫の立場では、「命に影響があるのではないか」ということを最も心配し(79人、77.5%)、次に、「将来を悲観したり、ひどく落ち込むのではないか」(54人、52.9%)「再発の不安に苦しみ続けるのではないか」(51人、50.0%)という精神面を心配する傾向が示された。「乳房が無くなるのではないか」と考えたという回答は、比較的少なく39.2%(40人)であった(図1:左)。

<図1>

奥様(または患者さん自身)が乳がんであると知ったとき、奥様(患者さん自身)の病状や状態についてどんなことを考えましたか。

 一方、乳がん患者本人においては、「命に影響があるのではないか」(59人、59.0%)という心配に匹敵するほど、「乳房が無くなるのではないか」(54人、54.0%)という回答が目立っていた。乳房を失う不安は、「抗がん剤の副作用で苦しむのではないか」(47人、47.0%)「再発の不安に苦しみ続けるのではないか」(47人、47.0%)という治療や再発への不安より大きいものであった(図1:右)。

 また、「手術により変形あるいは失ってしまった乳房について、気になりますか」という問いに対して、8割以上の夫が「気にならない」と回答した一方で、患者本人では「気にならない」という回答の割合は約半数に減少していた(図2)。夫に比べて患者本人は、乳房を失うことへの心配が強く、また失ったり変形した乳房を気にし続ける傾向が強いことも示された。

<図2>

手術によって変形あるいは失ってしまった乳房について、気になっていますか。

 今回の結果から、妻は、『夫は、乳房ではなく自分自身を心配してくれている』と理解しておくことが肝要であるといえそうだ。一方、夫側に対しては、自分が思う以上に妻は“乳房へのこだわり”を持っている可能性があることを理解し、その気持ちを受け止め、寄り添う必要性が示唆された。

戸惑いつつも、情報収集し、普段通りに接する夫達
 患者自身は、乳がんとわかってから手術までの間、夫の態度として、「なるべく普通に接する」(54人、54.0%)を最もうれしく感じていた。また、「話を聞く」(31人、31.0%)、「不安な気持ちを理解する」(29人、29.0%)「「大丈夫と安心させる」(28人、28.0%)という夫の態度もうれしく思っていた。

 実際、今回のアンケートでは、6割以上の夫(66人、64.7%)が「なるべく普通に接する」ことを心がけており、妻の要望に添った結果となっていた。また、「妻の話を聞く」(67人、65.7%)「不安な気持ちを理解する」(54人、52.9%)「一緒にいる時間を増やす」(46人、45.1%)「大丈夫と安心させる」(45人、44.1%)ことを心がけたという回答であった(図3)。

<図3>

奥様が乳がんであるとわかってから手術までの間、奥様に接する際に、ご主人が心掛けたもの(患者さんが嬉しかったこと)は何ですか。

 加えて、約8割(82人、80.4%)の夫が情報収集や学習を行っていた。情報収集や学習を行った内容は、病気や症状、治療方法、治療の副作用、検査方法、治療後の生活などに関するものであった。妻を支えるため、乳がんに関する知識を集めている夫達の姿が示されている。

 ただし、「何をサポートすればよいかわからなかった」と回答する夫も約半数(48人、47.1%)存在し、また、「どのように接したらよいかわからなかった」(35人、34.3%)との回答もあり(図4)、夫自身も戸惑っている姿が浮き彫りになった。

<図4>

乳がんであるとわかってから手術までの間、奥様に接していて困ったことは何ですか。

 今回のアンケートでは、「ご主人に対してももっとこうして欲しかったと思うことはあるか?」という質問項目が患者向けに設定されていた。この答えの1位として、約半数の患者は「とくにない」と回答していた。ただし、手術前には、「不安な気持ちを理解してほしかった」「一緒にいる時間を増やしてほしかった」「もっと話を聞いてほしかった」。手術後の治療中では、「家事をする」「子供の世話をする」などを夫に要望する声もあった。

 すなわち、約半数の患者は、夫の対応に満足していた訳であり、夫は自分の対応にある程度自信を持っていいといえそうだ。また、妻から夫への要望は特別なことではなく、気持ちに寄り添い、また、自分ができないこと(家事や子供の世話)を代行して欲しいという基本的なことであることは、参考になりそうだ。

妻から夫へ、夫から妻へのメッセージ
 「乳がんになった後、ご主人に対して負担に思っていること、申し訳ないと感じていることはありますか」という質問も行われた。この質問に対して、約3割の患者は、金銭的な負担をかけていることを挙げていた。また、体調がなかなか良くならないことを負担に感じているという回答もみられた(図5)。体調に関しては、夫から妻へのメッセージから心配不要であることが示されている。

<図5>

乳がんになった後、ご主人に対して負担に思っていること、申し訳ないと感じていることはありますか。

 「ご主人が奥様に対して、こうなってほしいと望んでいること」という質問への回答として、約半数の夫が、「無理をしすぎないでほしい」と望んでいたのだ。また、前向きに、失ったり変形した乳房のことを気にしすぎず、自分自身のことを第一に考えて欲しいという回答も多かった(図6)。

<図6>

ご主人が奥様に対して、こうなってほしいと望んでいることはありますか。

 今回のアンケートでは、闘病により夫婦の関係が良くなったという回答も多く寄せられていた(「お互いに、よい意味で気を遣いあうようになった」夫;32.4%、妻;17.0%、「きずなが深まった」夫;25.5%、妻;22.2%、「お互いの理解が深まった」夫;26.5%、妻16.0%、「お互いに、いたわりあうようになった」夫;27.5%、妻;14.0%など)。突然の乳がんの告知は、夫婦にとって大きな試練ではあるが、この試練を乗り越えることで、夫婦の関係はより良いものになることが実証されたといえる。

(小板橋 律子)

※今回のアンケートは、インターネットを介して行われたものであることからも、妻の闘病により積極的に参加する夫が多く回答している可能性があり、ある程度のバイアスがかかった結果となっている可能性は否定できない。

【参考サイト】
ブリストル・マイヤーズのウェブサイト「よくわかる乳がん

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