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2008/7/15

サプリメントや健康食品を勧める前に確認を!

あなたの勧めが患者本人を苦しめることも

 約半数のがん患者は、何らかの補完代替医療(健康食品やサプリメント、気功、鍼、灸など)を利用しているといわれている。しかし、患者の多くは、主治医に相談できず、効果の実感も持っていない。それでも補完代替医療を利用するのは、『家族や友人からの勧めを断れない、期待を裏切りたくない』という思いが強いためだ。家族や友人としては良かれとの思いから勧めている補完代替医療。しかし、もしかしたら患者本人の負担になってしまっているかもしれない――。患者を支える家族や友人のあり方を考えてみたい。

がんの補完代替医療ガイドブック第2版

 「患者さん本人は、補完代替医療の効果に懐疑的な場合でも、購入してくる家族や友人の期待に応えるために飲んでいることが多いのです」――国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの所昭宏氏は、7月4日から5日に開催された日本緩和医療学会のシンポジウム「がん治療・緩和ケアにおける補完代替療法:正しい理解と患者サポートのために」の演者として語った。

副作用を心配しつつも補完代替療法を利用する患者達
 これまでの研究(「我が国におけるがんの代替療法に関する研究」主任研究者:兵頭一之介氏)により、がん患者の約半数が補完代替医療を利用していることが明らかになっている。そして、約4分の3の患者は、家族や友人からの勧めがきっかけとなって利用を開始していた。自らの意思で利用し始めた患者は4分の1以下だ。

 加えて、利用している患者の約4割は副作用を心配し、1割以上の患者は、病院での治療に悪い影響を与えることを心配していた。少数ながらも約6%の患者は、病気の悪化につながるのではと危惧していることも明らかになっている。

 家族や友人の勧めに従って補完代替療法を利用している患者の約4割は副作用を心配し、病院で行われる治療への悪影響を危惧している患者も存在するということだ。

 今回、所氏は、厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班(班長:住吉義光氏)の一員として、がん患者におけるストレスの視点から補完代替療法の現状を調査した。

 その結果、患者が補完代替医療の利用を決める最大の促進因子は『家族からの期待』であることを確認したという。一方、効果などのメリットを感じるから利用するという人は少なかった。

 「問題は、主治医に補完代替医療について相談できない患者が多いこと」と所氏。「補完代替医療に関して、患者さんの約6割は医師に相談できずにいます」という。また、「医師の8割も患者さんに対して、補完代替医療について問診していないのです」と現状を語る。

 『家族の期待』に応えるために、補完代替医療を利用している患者は、悪影響を心配し、医療者に相談したいと思いながらも、相談できていないという実態が浮き彫りになったのだ。

補完代替医療の心配ごとを医療者に相談できない患者達
 患者は、なぜ医師に相談できないのだろうか?

 「医師に聞くのは失礼だと考えている場合も多いようです」と所氏。「医療者と患者さんの間に深い信頼関係が築けていないことの現れともいえるでしょう」と分析する。また、医師に言ったら怒られると思っている患者も少なくないはずだ。

 補完代替医療を巡って、医療者と患者の関係がギクシャクすることで所氏が危惧するのは、「より重要な話し合いがうまくいかなくなること」だ。補完代替医療を利用する患者の多くは、「治療法の変更、症状緩和をどうするか、療養場所の選択など、患者本人にとって、より重要な話し合いが必要な時期」(所氏)にある。

 「この重要な時期に、医療者と患者本人、そしてご家族の間で信頼関係が築けず、意思の疎通がうまくいかないことは、3者にとって不幸なことだと思います」と所氏は心配する。また、本来、一番気を遣われるべき患者本人が、家族への気遣いとして補完代替医療を利用し、医療者に相談できずに補完代替医療に関する心配事を一人で抱えているとしたら、大きな問題ではないだろうか。

補完代替医療の正しい理解のために
 半数近くのがん患者が利用している補完代替医療に対して、興味を示さない、頭から否定的である医療者の態度も問題だと所氏は考えている。実際、「米国では、補完代替医療を用いる患者が多いという調査結果を受け、医療者が補完代替医療の知識を持ち、理解を示すべきという方向に変わってきている」という。日本の医療者においても、今後、補完代替医療に対して理解を示す方向で見直しが進むことを期待したい。

 また、家族や友人も、患者に対して、補完代替医療をただ勧めるのではなく、患者がどう考えているかを理解し、本人の負担になっていないかを確認する必要があるだろう。

 このほど、国立病院機構四国がんセンターに「がんの補完代替医療ガイドブック」第2版が公開された。このガイドブックは、インターネットを介して誰でもダウンロードして読むことができる。この第2版には、所氏らの研究成果も盛り込まれており、患者が補完代替医療をどう受け止めているかも記載されている。加えて、海外で科学的根拠があると認められている補完代替医療のリストも追加された。

 補完代替医療を巡って患者本人に負担をかけないためにも、このガイドブックを参考にしつつ、家族や友人のあり方を考えて欲しい。(小板橋 律子)

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