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レポート

2008/6/17

婦人科がんの診療はどこで受ければ?

過半数のがん拠点病院に婦人科がん専門医が不在

 がん診療の均てん化を目指して、全国に整備が進む"都道府県がん診療拠点病院"(都道府県がん拠点病院)、“がん診療連携拠点病院”(がん拠点病院)。がんナビは、これまでの調査で、がん拠点病院の7割に乳がん診療の専門医が在籍していないことを明らかにした。今回、婦人科系がん領域で同様の調査を行い、がん拠点病院の過半数で、婦人科腫瘍の専門医が不在であることを明らかにした。婦人科がんの診療は、どこに行けば安心して受けられるのだろう。

 卵巣がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)は、まとめて婦人科がんと呼ばれる。卵巣がんは、乳がん同様、閉経前後の女性を襲うがんだ。また、20歳代や30歳代における子宮頸がん罹患率も上昇している。

 婦人科がんが疑われた場合、どこで治療を受けたらいいのだろうか。全国どこでも質の高いがん医療を受けることができるよう、がん医療の均てん化を目指して整備が進む"がん拠点病院"は最初に受診を検討する医療機関だろう。

 ところが、このほどがんナビが行った調査の結果、全国351のがん拠点病院の過半数(58.4%)を占める205施設に、日本婦人科腫瘍学会が認定している専門医や暫定指導医が在籍していないことが明らかになった。

 厚生労働省は、がん拠点病院の指定要件として、肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がんにおいては、「集学的治療及び、各学会の診療ガイドラインに準ずる標準的並びに応用治療を行う体制を有するか、又は連携によって対応できる体制を有すること」(厚生労働省の「がん診療連携拠点病院整備について」より抜粋)を求めている。

 拠点病院の指定要件に婦人科がんは入っていないのだ。それにも関わらず、指定要件に明記されている乳がんの専門医(乳腺専門医)の在籍率3割(関連記事)よりも高いことは、評価すべきことなのかもしれない。

 しかし、患者側からみれば、過半数のがん拠点病院に婦人科がんの専門医が在籍していないとは、なんとも心細い数字だろう。「拠点病院」以外に、婦人科がん診療を安心して受けられる医療機関の指標はないだろうか。

専門医リストやJGOG認定施設リストも病院探しの一助に
 選択肢の1つは、婦人科腫瘍の専門家集団である日本婦人科腫瘍学会の指導医や専門医がいる医療機関を受診することだろう。指導医や専門医は、同学会のウェブサイトから検索することが可能だ。ただし、大学病院に偏在する傾向が強いため、通院の問題などから受診できない患者も存在しそうだ。

 もう1つの選択肢として名乗りを上げているのは婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(JGOG)。JGOG理事長で近畿大学名誉教授の野田起一郎氏は、「JGOGが認定している全国241施設では、安心して婦人科がんに対する抗がん剤治療が受けられると理解して欲しい」と強調する。また、「認定施設は、皆、標準的な抗がん剤治療を行っている」と太鼓判を押す。

 JGOGとは、婦人科がんに対する最適な化学療法の確立と普及を目指して2002年に設立された、東京都認定のNPO。多施設共同の研究事業を支援しており、2008年6月1日現在におけるJGOGの正会員数は733人、認定施設は241施設となっている。JGOGの認定医療機関は、同機構のウェブサイトから探すことができる。大学病院だけでなく、中規模の市立病院なども参加している。

 実は、JGOGが主体となって行った多施設臨床研究の成果は、今年5月末に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表され、“Best of ASCO”の1つに選ばれた(関連記事)。世界的な評価に耐えるほどの大きな実績を出しているのだ。

 ちなみに、がん拠点病院のうち、JGOGの認定機関となっているのは、351施設中146施設(58.4%)。逆に、婦人科腫瘍学会の指導医・専門医のどちらも不在、かつ、JGOGの認定も受けていないがん拠点病院は、161施設(45.9%)と半数近い。

 乳がんと同様、婦人科がんにおいても、がん拠点病院という肩書きだけを頼りに病院を選ぶことには慎重になる必要がありそうだ。婦人科腫瘍の専門医の在籍の有無や、国際的な実績を積みつつあるJGOG認定機関の有無なども考慮したうえで、病院を選んで欲しい。

 「患者仲間からは、ガイドラインに沿った治療を医師がやってくれないという声を多数聞く。また、ガイドラインの存在すら知らない医師もいる」(卵巣がん体験者の会スマイリー代表片木美穂氏)という声もあるほど、婦人科がんの診療レベルは医療機関や医師の間で大差があるのが現状だからだ。また、片木氏は、「婦人科系の医師が限られるからでしょうか。病院を代えたくても受け入れてもらえないという話もよく聞きます」と実用を語る。特に婦人科がんの場合、最初の病院選びが肝心のようだ。(小板橋 律子)

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