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レポート

2008/5/27

リンパ浮腫の発現を抑えられる

センチネルリンパ節生検が受けられる医療機関は?

 わきの下のリンパ節郭清の一部に代わり、患者への負担が少ない方法として海外では普及しているセンチネルリンパ節生検。日本では、有効性と安全性のデータ不足を理由に保険収載が遅れている。このほど日本乳癌学会は、センチネルリンパ節生検に関する多施設共同試験を開始、保険収載を得るためのデータ収集を開始した。この試験への参加医療機関は、すなわちセンチネルリンパ節生検が受けられる医療機関でもある。

 日本乳癌学会はセンチネルリンパ節生検の有効性と安全性を評価する臨床試験を今年3月より開始した。4月末現在で、22施設から211人の患者データの登録が完了している。登録患者数は1600人を目標としているという。

 センチネルリンパ節生検は、早期乳がんにおいて、わきの下のリンパ節郭清に代わる手技として世界的に普及している。リンパ節を包んでいる脂肪組織ごと切除するリンパ節郭清に比べて切除する範囲が小さいことから、術後の副作用であるリンパ浮腫の発生頻度も抑えられる方法と期待されている。ただし現在、日本ではこの手技は保険収載されていない。

 そのため、日本乳癌学会は、センチネルリンパ節生検の保険収載を得るため、この手技の有効性と安全性を評価する多施設共同臨床試験を開始した。臨床試験には、既に先進医療としてセンチネルリンパ節生検を実施している22施設に参加を表明している施設を合わせると155施設となる。追加の参加施設も募集しており、乳癌学会の認定施設であれば参加可能だ。

 臨床試験の代表者となっている聖路加国際病院ブレストセンター長の中村清吾氏は、「来年までには、有効性と安全性のデータを出し、公表したい」と語る。また、データは速やかに厚生労働省(厚労省)に提出する予定だ。厚労省の審査が速やかに進めば、再来年にも保険収載されることが期待される。

 センチネルリンパ節生検では、放射線同位元素や色素をがん組織の近くに注入し、センチネルリンパ節を見つけて切り出し、このリンパ節内のがん細胞の有無を確認する。センチネルリンパ節とは、乳がんからこぼれ落ちたがん細胞が最初に到達するリンパ節のことを指す(センチネルとは「見張り番」という意味)。センチネルリンパ節内にがん細胞が無ければ、リンパ節への転移は無いと判断し、それ以上のリンパ節郭清は不要となる。

 センチネルリンパ節生検に用いる放射線同位元素や色素として、海外で多く利用されているのは、日本では未承認の薬剤だ。そのため、今回の臨床試験では、日本国内で利用可能な色素(インドシアニングリーン、インジゴカルミン)や放射線同位元素(スズコロイド、フチン酸、人血清アルブミン)のなかから何が最適かを検討する予定だ。

 「海外では、色素に対するアレルギー反応の発生率が0.5〜1%とそれなりに高い数字となっている。日本独自の色素で、アレルギー発生率はもっと低いことを示せれば、日本から世界に対して、新しいエビデンスを示せるかもしれない」。中村氏は科学的にも重要な試験だと期待を語る。

 今回の臨床試験は、全て先進医療(今年4月からは高度医療評価制度に組み込まれた)の枠組みのなかで実施されることとなっている。高度医療評価制度では、厚生労働省が認めた場合に限り、保険収載されていない手技でも保険診療と組み合わせて実施できることになっている(いわゆる混合診療が可能)。センチネルリンパ節生検に必要な費用は全額自己負担となり、5万円から8万円程度のようだ。(小板橋 律子)

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