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2008/2/19

従来の装置の改良で検査時間も短縮

乳がんの組織診、マンモトーム生検は怖くない

 マンモグラフィ検査の普及で、初期の段階で発見される乳がんが増加している。そして、小さな病変が乳がんなのか否かを調べるための組織診(ステレオガイド下マンモトーム生検)を受ける女性も増えてきている。ただし、日本で普及している装置は、患者に優しいとはいえないようだ。この点を改良する方法が検討され、日本乳癌画像研究会で発表された。

座って検査を受ける場合のイメージ像(GE横河メディカルシステム提供)

 「実は、私の患者さんでも、検査中にふらっーと失神してしまった方がいました」と、これまでの装置の使用経験を話すのは落合病院放射線科医長の白岩美咲氏。「患者さんは、もしかしたら乳がんかもしれないということで、非常にどきどきしながらこの検査を受ける訳です。そんなところで、胸に大きな針が刺されている状態が見えてしまうと、ふらっーときてしまうのもよく分かります」。

 今、日本で普及しているステレオガイド下マンモトーム生検の多くは、座った状態(坐位)で検査を受ける方法をとっている(左写真参照)。この場合、顔の下で検査が進むため、見たくなくても、皮膚が切開される様子や針(マンモトーム)が刺される様子が視野に入ってしまう。検査そのものは部分麻酔下で行われるため痛みはまずないが、皮膚が切開され出血する様子が視野に入ってしまえば、失神する人がいてもおかしくない。

 実は、ステレオガイド下マンモトーム生検の装置には、もう1種類ある。欧米で主流となっている、うつ伏せに寝た状態(腹臥位)で、台に開けられた穴から乳房のみを下垂させて検査を行う装置。うつ伏せで寝た状態であれば、自分の乳房に針が刺されるところは見えず、失神することもないだろう。

 ただし、この装置は価格が高く、かつ広い設置場所を必要とする。そのため、日本ではあまり導入されていないというのだ。比較的安く、場所も取らないという理由で、日本に多く導入されているのが坐位で検査を行うタイプ。

 また、ステレオガイド下マンモトーム生検(※文末に解説)では、マンモグラフィで病変の位置を確認した後、その病変の位置を目指して針を刺す。マンモグラフィの撮影後に、体が動いてしまうと、病変の位置が分からなくなってしまうため、少しでも体の位置がずれた場合には、何度もマンモブラフィを取り直さなければならない。

 坐位の装置では、体は容易に動きやすく、また、「少しでも怖いと思えば、そのつもりはなくても体を後ろに動かしてしまうもの」(白岩氏)というように、受け手側には我慢が強いられる。

横向きに寝て検査を受ける場合のイメージ像(GE横河メディカルシステム提供)

横向きに寝て検査を行うことで視野を遮り、体の動きも制限
 白岩氏は、この坐位の検査法を改良し、特殊なベッド(DBIテーブル)上に横向きに寝た状態(側臥位)で検査を行う方法(右写真参照)を検討した。この方法は、坐位で用いる装置をそのまま利用でき、この特殊なベッドさえ購入すれば可能という。そして、実際に患者の苦痛が軽減できるかを評価し、その結果を日本乳癌画像研究会のランチョンセミナーで2月17日に発表した。

 白岩氏が発表した側臥位の検査方法では、被験者は横向きに寝て背中を固定される。背中を固定されることで、患者は余計な力を入れる必要がなく、検査を受けるのがより楽になると、白岩氏は解説する。また、体が動くことも少ない。

 これまでにステレオガイド下マンモトーム生検を受けた患者、坐位29人、側臥位47人を比較した。その結果、坐位では、半数近くが60分以上の検査時間を要し、検査時間の平均は73分(40〜120分)と長時間に及んでいた。その一方で、側臥位では約3分の2が40分以下で検査を終了し、平均は42分(25〜80分)と、坐位に比べて側臥位では検査時間が大幅に短縮できることを確認した。

 検査時間が短縮されるということは、乳房を押しつぶされている時間が短縮されるということで、患者にとってのメリットも大きいといえる。加えて、白岩氏によると、坐位の検査後には、背中や肩、首が痛くなったという患者の声をよく聞いたが、側臥位で検査を受けた患者からは、そのような苦情はなかったという。

 側臥位における検査は、医療者側の経済的な負担は少なく、導入しやすいやり方だろう。そして、受け手側は失神せず、より快適に組織診を受けることができる訳だ。白岩氏は、患者に優しい側臥位によるステレオガイド下マンモトーム生検が、今後、国内に広まって欲しいと語っていた。(小板橋 律子)

※ステレオガイド下マンモトーム生検とは
 乳房専用のX線装置であるマンモグラフィで乳房内の病変(石灰化)部位を描出した状態で、石灰化した部分を狙ってマンモトームによる組織診を行う精密検査。マンモトームとは、直径は3mmほどの特殊な針。中空状で、中に組織を採取することができる。部分麻酔を行ったうえで、皮膚を4〜7mm程度メスで切ったところにマンモトームを刺して、病変が疑われる部分の組織を採取する。マンモグラフィ撮影後に体の位置がずれてしまうと、目的の部位にマンモトームを入れることができないため、マンモグラフィ撮影をやり直す必要がある。

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