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レポート

2008/1/8

人工乳房やストーマパウチを色々試して購入できるショップが六本木に登場

在宅療養するがん患者の強い味方

 ショップ内に設けられたメディカルフィッティングコーナーは仕切られた個室となっており、人工乳房や弾性ストッキング、ストーマ(人工肛門)用パウチなどをゆっくりと試着できる。同コーナーには経験豊富な看護師が常駐しており、専門のアドバイスも受けられる。昨年12月、福祉用具のレンタルや販売を主に手掛けるフランスベッドメディカルサービスが東京の六本木に開設した「健康・睡眠・メディカルショップ」が、その店だ。



 「健康・睡眠・メディカルショップ」は六本木通りに面しており、六本木駅から徒歩約3分と便利な場所にある。外観はガラス張りで陽光が降り注ぎ、明るい雰囲気だ。中に入れば、快活なスタッフ陣が出迎えてくれる(写真1)。常に看護師が一人ショップ内にいるので、ちょっとした悩みを相談できるのも心強い。
ショップのスタッフ陣
写真1:ショップのスタッフ陣

 このショップは、さまざまな医療用具や機器を幅広く紹介し、患者が病気とうまく付き合いながら快適に過ごせるよう支援することを目的にオープンした。フランスベッドメディカルサービス商品企画部副部長の濱田浩美氏は、これまで福祉用具の選定などに携わってきた経験から、「退院して在宅療養となる患者さんは、手術後の身体の変化に環境の変化も重なって、さまざまな不安で一杯。日々の暮らしを快適にする医療用具を紹介したり、きめ細かな生活指導を行うことで、患者さんの周りの環境を改善し、不安を少しでも取り除くお手伝いができれば、と考えた」と説明する。

 ショップは、メディカルフィッティングコーナーのほか、睡眠時無呼吸症候群などの人を対象にした睡眠サポートコーナー、たんなど異物の吸引器、心電計、血圧計など多様な在宅医療機器をそろえたメディカルサポートコーナー、エアロバイクなど健康増進に向けた器具をそろえた健康サポートコーナーの、合計4つの売り場から構成されている。

 では、メディカルフィッティングコーナーで取り扱っている、人工乳房やかつら、弾性ストッキング、ストーマ用パウチといった製品を見ていこう。

さまざまな乳がん・子宮がん患者の術後ケア製品
 まずは人工乳房(写真2)。ショップで扱っているのは、フランス製「ヴィーナス」[日本総代理店は大井製作所内レディース・メディカル・ケアセンター(京都市)]だ。特殊なゲルでできており、非常に柔らかい。濱田氏は、「以前から福祉用具に関するネットワークの中で付き合いがあり、積極的に病院や患者会を回って、広く通販も手掛けているという実績に注目して選択した。今後、他社の製品も幅広く扱いたいと思っている」と話す。

人工乳房4種類とブラジャー
写真2:人工乳房4種類とブラジャー

 写真2の左上から時計回りに、三角型のノーマルタイプ、三角型のフラットタイプ、汗対策などのため布製パッドとの二重構造になったライトタイプ、脇まで広くカバーするしずく型のノーマルタイプの全4タイプ、サイズは売れ筋の計22種類を用意している。人工乳房は、実際に写真3の鏡に映っている試着室でカーテンを閉めて試着し、フィット感などのつけ心地を確認することができる。ショップのスタッフは、大井製作所のブレストアドバイザーに、上手な採寸などについて実際に教えてもらった。

 人工乳房を入れて使用するブラジャーは、以前から自分が使用してきたもので基本的にかまわない。ただし、肩こりやひものずれが気になる患者に対しては、肩ひもが太くて安定性に優れており、レースを多く使っていてフィット感の良いアドヴァンシング(大阪市)のブラジャーを紹介しているという。

展示しているかつら、奥は試着室
写真3:展示しているかつら、奥は試着室

 かつらについては、商品の手入れが難しいことなどから、メディケアウィッグの「ラフラ」を展開するフォンテーヌ(東京都新宿区)の表参道にある店舗を紹介している。ただし、ショップでもボブ、セミロング、ロングと、長さの異なる3種類のかつらを用意しており、参考までに試着して、つけ心地を確認することができる(写真3)。 弾性ストッキングは、ドイツ製「メディ」[輸入販売元はナック商会(大阪市)]を扱っている。試着すると伸びてしまうことから、色々と試してもらうのではなく、正確にサイズを測り、ぴったりと思われるものをはいてもらうようにしているそうだ。圧迫力が違うもの、ふくらはぎや腿の周囲径が異なるもの、色の異なるものなど計9種類を取りそろえており、在庫がない商品を取り寄せることも可能だ。また、リンパ浮腫に対しては、家庭用エアマッサージ器もショップで取り扱っている。

オストメイト向けのパウチも充実の品ぞろえ
 次いで、ストーマとなった直腸がん患者を対象としたパウチ(専用のふくろ状の装具)だ。通常は手術後、2〜3種類のパウチから1種類を選んで、退院前にパウチの交換など基本的なストーマケアについて学ぶことが多い。しかし、退院という環境の変化でこまごまとした管理方法を失念してしまったり、在宅療養となった後でストーマの状態が変わってしまうことも少なくない。

膨大なパウチのファイル
写真4:膨大なパウチのファイル

 こうして、ストーマケアがうまくいかず、周囲の皮膚が荒れてパウチが貼れなくなるといった“ストーマ・トラブル”が起こると、病院のストーマ外来を受診することになる。しかし、ストーマ管理の専門資格を持った皮膚・排泄ケア(WOC、Wound Ostomy Continence;創傷・オストミー・失禁)看護認定看護師の数が少なく、対応できる患者数に限界があることが問題となっていた。

 ショップでは、アルケア、コロプラスト、コンバテック、ダンサック、ビーブラウン、ホリスターという、ストーマケア製品を扱う主な6社のパウチをほぼ網羅しており、会社ごとに製品がファイルしてある(写真4)。この膨大な数のパウチの中から、自分に合ったものを選ぶことができるわけだ。しかも、メディカルフィッティングコーナー内の洗面台はオストメイト対応と、きめ細やかな配慮がされている(写真5)。

オストメイト対応の洗面台
写真5:オストメイト対応の洗面台

 さらに、国立がんセンターなどでの現場経験がある護師による的確なアドバイスを受けられる。「ストーマの状態をみて、ストーマ外来を受診した方がよいかどうか、患者さんの振り分けができることは大きなメリット。予想外のトラブルで不安を抱えた患者さんに、具体的でわかりやすいアドバイスをしてあげられれば、とても有用なはず」と濱田氏は期待を込める。

 年々、医療費削減の圧力が高まる中で、患者の入院期間は短縮される傾向にあり、在宅療養となる患者は今後もさらに増加していくと予想される。しかし、退院後も療養を続ける患者を誰がどのようにフォローしていくかという問題はこれまで十分に議論されてきたとは言えない。

 フランスベッドホールディングス広報課長の横田正隆氏は、「術後ケアに必要な用具・機器をこれほど豊富にそろえた店舗はほかにないと自負している。今後、実績を重ね、同様の店舗を増やしていければと考えている」と話す。これまで受け皿がなかった患者の多様な悩みを解決してくれる、こうした便利なショップが、全国各地にもっと増えてほしいものだ。

(小又 理恵子)

[参考サイト]
フランスベッドメディカルサービス
レディース・メディカル・ケアセンター
アドヴァンシング
フォンテーヌ「ラフラ」アルケア
コロプラスト
ブリストル・マイヤーズスクイブ コンバテック事業部
ダンサック
ホリスター
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