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レポート

2007/10/30

子宮頸がん検診、普及しない本当の理由は自治体と健康組合の怠慢!?

 予防・早期発見により治癒可能な子宮頸がん。しかし、日本では子宮頸がん検診の受診率は約2割と、8割に達する欧米諸国と大きく溝を空けられているのが現状だ。その理由を調べた調査の結果、驚くべき現状が明らかになった。その内容をレポートする。



1) 多くの地方自治体は、子宮頸がん検診受診に何らかの条件を付けている。すなわち市民が受けづらい検診を実施している。
2) 自治体主催の検診対象者から仕事を持つ女性を除外している自治体は少なくない。
3) 健康保険組合や共済組合の子宮頸がん検診に対する認識は低く、検診を実施している組合はごく少数。
 (今野氏の発表を元にがんナビ編集部でまとめ)

 今回、子宮頸がん検診の現状調査をとりまとめたのは、自治医科大学附属さいたま医療センター婦人科科長今野良氏と子宮頸がんから女性を守るための研究会グループ。調査の結果は、10月25日に日本癌治療学会で発表された。

 今野氏らは、1)一般女性の意識調査と、2)地方自治体の実態調査、3)職域調査(健康保険組合・共済組合の調査)を行った。その結果をまとめると表に示した3項目となる。

 一般女性に対する調査は、インターネットを用いて20歳〜55歳の一般女性983人を対象に行われた。有効回答の回収率は98.4%であった。

 この調査から、定期的な検診を受けている女性は17.5%のみであり、67.9%の一般女性は生涯一度も検診を受けていないことが明らかになった。これまでも、日本人女性の子宮頸がん検診の受診率の低さは指摘されており、今回の調査でも再度確認されたことになる。

多くの自治体は検診受診に何らかの条件を付けている
 地方自治体の調査では、全国にある1842区市町村に調査票を送付し、有効回収率は62.9%となっていた。自治体調査の結果では、検診受診率の平均は12%。30代〜60代ではかろうじて10%台を保っていたたが、20代では3.2%と非常に低かった。

 また、8割以上(83.0%)の自治体が、受診に何らかの条件を付けていた。条件としては、「検診を受けられる期間を決めている」「申し込み期間を決めている」「偶数年齢もしくは奇数年齢に限定して実施」などだ。いずれも、検診を受けづらくする条件といえる。

 検診を受けづらくする条件がなぜ付けられているのか――。今野氏は、「女性住民の全員を対象とする予算を確保していないためだろう」と分析している。

 実際、回答した自治体のうち6割は、検診対象となりうる女性の15%以下の人数の検診予算しか確保していないと回答していた。去年も受診者が少なかったから、来年の予算も去年水準で確保するだけ−−というのが自治体の子宮頸がん検診の実態なのだ。そして受診しづらい子宮頸がん検診が放置されているのだ。

アンケート回収率15%の健康組合、検診実施はごく少数
 一方、職域調査は、全国の健康保険組合・共済組合から1500組合を抽出して調査票を送付した。有効回収率は非常に低く14.6%。回答した組合のうち検診を行っていたのは15%のみであった。

 健康保険組合や共済組合の回収率の低さについて、今野氏は「子宮頸がん検診に対する興味がないことの現れだろう」と分析している。「大企業ですら、子宮頸がん検診を行っているところは非常に少なかった」と今野氏。日本の職場では子宮頸がん検診に対する認知は非常に低く、女性従業員の健康への配慮が低いことが明らかになったといえる。

自治体でも職場でも検診が受けられない女性が存在
 加えて、今回のアンケートから「自治体のなかには、仕事を持つ女性を自治体の検診対象者から除外しているところも少なくないことが明らかになった」と今野氏は語っている。

 自治体のなかには、受診票の送付リストから健康保険に加入している女性を除外したり、仕事を持つ女性は受診をご遠慮くださいと明言している自治体すらあったというのだ。

 すなわち、仕事を持つ女性は、地域の検診で除外され、職場も検診をやっていないということになる。

 子宮頸がんは、早期に発見できれば治癒する病気だ。検診受診に何らかの条件を付け一般市民が検診を受けにくい環境を放置しているのは論外だろう。地方自治体の検診制度の見直し、加えて、企業の健康保険組合の意識改革が必要だ。また女性達も、子宮頸がん検診に消極的な現在の自治体や健康・共済組合に対して改善を求めていくべきだろう。

(小板橋 律子)

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