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レポート

2007/7/24

患者団体アメリカ訪問記2007(第1回)--- 米国から学ぶ「患者中心の医療」

“驚き”と“感動”の米国の患者サービス

 このほど、日本のがん患者団体の一行6人が、米国を視察した。狙いは、米国の先進事例から学び、日本への教訓を得ること。日本は今まさに、「がん対策基本法」に基づく「がん対策推進基本計画」が策定され、がん診療の姿を一新させることに取り組みはじめたところ。患者へのサービスという観点でも、先行する米国に学ぶところは多いはずだ。米国がん協会(ACS)の巨大なコールセンター(電話相談センター)、世界のがん病院のモデルとされることの多いM.D.アンダーソンがんセンター、世界の医師と患者団体が注目する米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会――などを見学した。その様子を連載にしてお届けしていく。




 「『がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会』の実現を目指すこととする」――。今年4月1日に日本で施行された「がん対策基本法」に基づいて、6月15日に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、これからのビジョンがこう高らかにうたわれている。1971年に「全米がん法」と呼ばれるがん対策法が施行された米国には、「患者たちが、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることなく生きる」という点で、これまでにたくさんの取り組みをしてきた経験と、そこからの豊富な成功事例がある。

M.D.アンダーソンがんセンターの患者図書室にて
M.D.アンダーソンがんセンターの患者図書室にて(左から:大沢かおりさん、伊藤朋子さん、石橋健太郎さん、患者図書室担当者、海辺陽子さん、河村裕美さん、矢後綾子さん)

 このほど、日本の患者団体幹部6人が、10日間の日程で米国を視察旅行した。そこでは、米国の患者支援団体が提供する細やかなサービス、有名病院のさまざまな患者支援の仕組み、患者団体の活発な活動ぶり、がん学会による医療の質を高める取り組み――などを目の当たりにした。昨年連載した「患者団体アメリカ訪問記」の姉妹編として、今日から「患者団体アメリカ訪問記2007」を、10回程度お届けしていく。

 ツアーに参加したのは、活発な活動をする3つの患者団体の6人。患者を支援する活動を繰り広げる「女性特有のガンのサポートグループ オレンジティ」の理事長である河村裕美氏と副理事長の矢後綾子氏、がん診療体制に積極的な提言を続ける「癌と共に生きる会」会長の石橋健太郎氏と事務局長の海辺陽子氏、乳がん患者支援と社会提言の両面で定評がある「声を聴き合う患者達&ネットワーク『VOL-Net』」の代表である伊藤朋子氏とメンバーの大沢かおり氏。――いずれも患者サービスとがん対策に造詣が深く、論客でもある面々だ。

 米国の患者に提供されているサービスはどのようなものか、患者が望む医療をどのように実現しようとしているのか、今回の訪問先から多くの情報を得ることができた。テキサス州オースチン市にある米国がん協会(American Cancer Society、ACS)の「全米がん情報サービスセンター」では、アメリカンフットボール競技場2面の広さがある巨大なコールセンター(電話相談センター)の内部を案内してもらった。膨大な電話本数をさばくために構築されたシステムの力に驚き、細やかで心に響くサービスに感動した。

年間100万件以上の電話に応対する米国がん協会の大規模コールセンター(電話相談センター)も訪問した
年間100万件以上の電話に応対する米国がん協会の大規模コールセンター(電話相談センター)も訪問した

 テキサス州ヒューストンにある世界でもっとも有名ながんセンターともいえるM.D.アンダーソンがんセンターでは、多くの部門を幅広く見学することができた。ここでは、患者への心のケアも含めた細やかなサービスの提供、患者経験のあるボランティアによる患者支援への参加、闘病をしやすい快適な環境の整備――などが充実していることがよく理解できた。

 イリノイ州シカゴ市で開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology、ASCO)の年次総会では、その巨大な会場と人の多さにまず圧倒された。抗がん剤の大規模な臨床試験の結果が次々と発表され、新しい標準治療が決まっていく。また、患者のケアや医療の質の向上に関する取り組みも多数行われていた。さらに、多くの患者団体がこの年次総会に集まり、ブースを出展している。そこで、米国の患者団体との交流を行うこともできた。

 明確なのは、いま日本が米国に学ぶことがたくさんあること。そして、日本ならではの患者サービスやがん診療体制を深めていかなければならない。米国ツアーは日本への刺激とヒントに満ちていた。次回はまず、米国がん協会(ACS)のコールセンターから紹介する。

(埴岡 健一)

●主な訪問先
米国がん協会(American Cancer Society、ACS)
 ・全米がん情報サービスセンター(コールセンター)(テキサス州オースチン市)
 ・中部テキサス地区事務局
M.D.アンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン市)
 ・患者図書室
 ・ボランティアネットワーク
 ・補完療法センター
 ・小児患者情報提供プログラム
 ・患者(家族)滞在施設
 ・がん専門看護師
 ・外来化学療法センター
 ・上野直人医師
米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology、ASCO) 年次総会(イリノイ州シカゴ市で開催)
 ・年次総会 会長講演
 ・年次総会 調査研究発表セッション
 ・患者団体展示ブース(患者団体と交流)

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