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レポート

2007/3/13

米国がん協会が、第2回患者団体リーダー養成講座

患者会に「活動資金の獲得法」を指南

 米国がん協会(American Cancer Society=ACS)が、このほど、がん患者団体リーダー養成プログラムを開催。2泊3日の講座に、12団体から17人が参加した。これは「米国がん協会大学(ACSU=American Cancer Society University)」と呼ばれ、患者団体リーダーの育成支援を目指したもので、2006年6月に引き続き第2回目となる。活動資金のための助成金獲得法を中心に、患者団体の組織強化策を学んだ。また、参加者の同窓生意識が高まり、共同プロジェクトも動きはじめた。



 このほど開催された第2回「米国がん協会大学(ASCU)」は、昨年6月の受講者(あるいは同じ団体のメンバー)を対象とし、さらなる運営力の強化を狙った。まず、受講生は、前回の講義から学んだことを踏まえて、その後の活動についての報告を行った。その際、多くの受講生が前回講義では、「アドボカシー(要望活動)、コラボレーション(患者団体間の連携)、資金調達をテーマとした講義が大変役立った」と感想を語った。

連帯意識から自発的な課題が出され、活発な議論の後に、当面の活動計画を取りまとめた。
連帯意識から自然発生的に課題が出てきて、活発な議論の後に、当面の活動計画を取りまとめた。

 今回の主テーマは助成金の申請。前回は、資金集めの総論を学んだが、今度は助成金の申請を実行することで、その技能をしっかりと身につけようという実戦的なプログラムだ。ACSは、参加団体に実際に3000ドルから5000ドルの助成金を提供するとして、各団体からの申請を受けた。

 各患者団体が事前に提出していた申請書をACSの顧問が審査。多くの申請に共通に見られた課題や改善策について、まず指摘した。その後、審査員が一団体ごとに面接し、修正すべき点をアドバイスし、疑問点の相談に乗るなどした。

 助成金申請に関する特別講義も二つ行われた。まず、出版社であるプリメド社の日吉伸介氏が、2月10日に出版されたばかりの「市民活動に活かす『助成金取得ガイド』」から、重要なポイントを紹介。次いで、日本財団の公益・ボランティア支援グループ、福祉チームの源川かおり氏が、通りやすい助成金申請書の作成方法について演習を行った。

 申請への講評・アドバイスと、助成金獲得スキル(技能)に関する講座で学んだことを踏まえて、各団体はACSに提出する申請書を修正して完成させた。

 資金調達はほとんどの患者団体の大きな悩みだけに、受講生たちは真剣に取り組んでいた。今回の助成金を獲得するためだけではない。助成金獲得のスキルを習得しておけば、今後、さまざまな助成金に応募して資金を得るチャンスを増やすことができる。また、今回、3000ドル〜5000ドルの資金を得ることで、患者に提供するサービスを強化したり、知名度を向上させることで、さらにそれぞれの患者団体への信頼度を高めることにつながることも想定される。

「同窓」意識芽生え、共同プロジェクト開始
 患者団体の連携の重要性に関する講義を受けた受講生たちだが、2泊3日(木曜夜〜土曜日夕方)の合宿形式の日程の中で、同窓生意識が高まった。初日の懇親パーティーで久しぶりに顔を合わせた受講生たちは、パーティ終了後に宿泊先のホテルの一室に集まり、夜遅くまで話し込んだ。対等な立場で意見交換し合う中で「再び集まる機会が持てたのだから、皆でやれることが何かあるといいね」という気持ちが自然発生的に生まれ、12団体が連携して取り組める活動を探る話し合いが始まった。

 こうして、2晩にわたって夜の自由時間に討議を重ねた結果、全国のがん拠点病院の実態調査を共同で実施するという活動目標を立てた。現在、全国で286カ所指定されているがん拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院)に関して、概要の情報は入手できるようになったものの、患者の視点からすると、はたして自分たちが望む医療が受けられるのか、それを判断できるような材料にはまだ乏しい。各病院にアンケート調査を送り、実情を確かめてみたいというのが、患者団体に共通する思いだ。そして、この活動に関してACSの助成金を申請できないか、実現性を探ることでも意見が一致した。

 さらに受講生たちは、助成金獲得のいかんに関わらず、すぐに行動を起こそうと、費用をかけずに今すぐ取り組める活動についても模索しはじめた。ところが、2晩の議論ではそれを十分に話し合う時間が確保できなかった。札幌や広島など各地から集まったメンバーは、次にいつ集まれるか分からない。それをACSU事務局に相談したところ、事務局は急きょ、最終日午後に予定していたセッションを、この患者団体発のアイデアをさらに議論する時間に変更してくれた。

個別団体の利害を超えられることを実感
 最終日午後のミーティングでは、乳がん患者団体「イデアフォー」の中澤幾子さんが司会進行役を、同じく乳がん患者団体「VOL−Net」の伊藤朋子さんが書記役を務めるかたちで話し合いが進められた。自由にアイデアを出すことから始めたので、途中で意見が拡散する場面もあったが、それぞれが持ち前の集中力を発揮し、2時間半で当面の活動とスケジュール案を取りまとめた。

 中澤さんは「事情の異なる患者団体が集まっても共通の目的があれば、いろいろな話し合いが持てることを実感できた。昨年のACSUを受講してから、このグループでメーリングリストを作成するなど連帯感は芽生えていたが、今回のミーティングを通してより確かなものになった」と手応えを語り、お互いに顔の見える形で集うことの重要性をかみしめた。

 今後、12患者団体はACSU卒業生として手始めに、それぞれの患者団体が活動する地域のがん拠点病院の情報サービスコーナーに自分たちが作成したリーフレットなどを常備してもらう運動に取り組む。この活動は、がん患者への情報提供が第一の目的だが、同時に、情報サービスの一つとして患者会情報が必要であることを、病院関係者に理解してもらう狙いもある。

 昨年のACSU講義では、患者団体が個別の利害を超えて連帯・連携することの大切さが繰り返し強調されていたが、今年はその教えが具体的な形となり、動きはじめた。

(渡辺 千鶴)

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