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2007/3/6

患者支援団体らが国に要望書を提出

電話相談コールセンターの早期設置望む

 がんになったとき、あるいは再発したとき、あふれる情報の中で、自分にとって適切な治療法はどれなのか、患者自身が判断して選ぶことは難しい。また、つらい気持ちを受け止めてくれる電話相談などは少数の団体がボランティアで担う程度で、日本では発展途上だ。

 そうした現状を打開すべく、患者支援団体「血液情報広場つばさ」と日本臨床研究支援ユニットが、2月24日、東京・築地で「よりよいがん治療実現のための両輪:情報センターと電話相談」と題した公開フォーラムを開催した。乳がんや血液がんなどの患者団体関係者やがん診療連携拠点病院の相談員など約150人が参加し、誰でも気軽にアクセスできて、適切な情報を得られる「がん患者コールセンター」の設立を求める要望書を採択した。



 同フォーラムでは、まず、10年前から患者向けに実施しているつばさの電話相談を利用したがん体験者が、「一般の患者には、患者支援団体の電話の存在を知り、そこにたどりつくことさえ時間がかかる」という実情を報告。四国在住の体験者からは、インターネットが使えるかどうかで大きな差が出る情報格差、受けられる治療法自体に差がある地域格差の問題が提起された。

国立がんセンター・がん対策情報センターからのパネリストも迎えて、公開フォーラムのシンポジウムが行われた
国立がんセンター・がん対策情報センターからのパネリストも迎えて、公開フォーラムのシンポジウムが行われた

 これを受けて、第2部では、がん対策情報センターと相談窓口関係者などが、こうした格差解消のためにできることを提案した。その中で、国立がんセンター・がん対策情報センター長補佐の若尾文彦氏は、80%弱の国民には知られていないものの、全国286か所(2007年2月末現在)のがん診療連携拠点病院の相談支援センターでも、地域の患者や家族向けの電話相談を始めていることを紹介した。

 昨年4月からがん相談ホットラインを開設している日本対がん協会の柳澤ハツエ氏は、電話相談のメリットはアクセスの簡便性と匿名性であることを指摘。その一方で、「表情やしぐさは分からないので、言葉や声を頼りにするしかない面もあり、相談者は言葉によって救われることも傷つくこともある」とし、電話を受ける相談員の研さん・研修が不可欠であることを強調した。

 さらに、血液情報広場つばさの橋本明子氏は、家族と一緒に闘病し電話相談を実施してきた経験から、次のように訴えた。「当事者や家族は、がんだと分かったときから、弱い立場になったような気になり、『よろしくお願いします』『ありがとう』『すみません』という言葉ばかり使うようになる。この心の疲労を何とかしなければならない。心の底の思いを言葉にして発散してもらうために傾聴する仕組みが必要で、『あなたは日本の医療で守られている』と伝えるためにも、ボランティアではない全国規模のコールセンターが必要だ」。

 これに加えて、会場の患者支援団体関係者からは「標準的でないひどい治療を受けている患者さんが、まだたくさんいるのが実情。標準治療の内容をまず広く伝えるためにもコールセンターが重要で、そのための情報の検索と提供ができる相談員ということならば、育成にそれほど時間がかからないのではないか」といった意見が出された。


●「がん患者コールセンター設立・支援連携」 についての要望書(要旨)
1. 国および国立がんセンターに、電話コールセンターの早急な設置の必要性を認識してほしい
2. コールセンター運営に関するガイドラインや評価機構、教育体制を整備するなど、質保証システムの構築を
3. 最新かつ適切な情報支援のために国立がんセンターがん対策情報センターに十分な資金とスタッフの配置を
4. モデルとしてのコールセンターの立ち上げ、評価・教育のための研究事業の推進も必要
5. コールセンター全体のレベルアップ・相互研さんの支援と、問題点を将来の施策に反映してほしい

 こうした議論を受けて、日本臨床研究支援ユニット理事長で、東京大学大学院医学系研究科教授の大橋靖雄氏らが、国に提出する要望書(右表)を作成。「確かに、がん拠点病院の相談支援センターには、静岡がんセンターのようにすばらしいところがあるが、大半はまだヨチヨチ歩きで、体制が整うまでに相当時間がかかる。また、患者からみたら敷居が高く、具体的な相談内容がはっきりしていない人には取っ付きにくい存在だと思う。相談支援センターまでたどりつけない人も多く、そういった人がかけられるコールセンターがやはり必要ではないか」(大橋氏)と、あくまで、相談支援センターとは別に、気軽に相談できるコールセンターの設置を求めていく方針を明らかにした。

 同フォーラムには、国立がんセンター総長の垣添忠生氏も参加し、「日本の医療体制は世界に誇れるものだと思うが、それがかなり危機に瀕している。がん診療の問題点はたくさんあるが、その問題点を解決していく一つの手段としてコールセンターがある。その運営は大変難しいことだと今日改めて感じた。それでも私どもはやっていかなければならないのではないか」と発言した。

 アメリカ、ドイツ、カナダ、韓国などでは、国や対がん協会などが大規模なコールセンターを開設して、患者ががん情報を収集し、気持ちの整理をするための支援を行っている。わが国でも、がん対策基本法施行を前に、コールセンターの設置の議論にはずみがつきそうだ。公開フォーラム終了時に参加者に要望書への賛同を募ったところ、そのとき会場にいた100人中98人から署名を得た。大橋氏と橋本氏らは、近く、厚生労働大臣の柳澤伯夫氏と国立がんセンター総長の垣添氏に、この署名を添えて要望書を提出する。

(福島 安紀)

〔参考サイト〕
血液情報広場つばさ
日本臨床研究支援ユニット
日本対がん協会「がんホットライン」
国立がんセンターがん対策情報センター・がん情報サービス


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