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レポート

2007/2/20

患者支援団体などが、患者相談員を育成

「認定乳がん体験者コーディネーター養成講座」スタート

 がんの治療を受ける際には、いくつか選択肢があることも多く、どの治療法を受けるか、患者が選ぶ時代になってきた。しかし、がんを告知されたばかりの患者は、医療知識に乏しく、氾濫する情報の中で標準治療にさえたどりつけない人もいる。しかも医師は忙しく、患者が自分の病状や治療法について説明を聞きたくても、なかなか対応してもらえない現実がある。そうしたことを背景に、同じ病気になった経験者が患者の“伴走者”となるための、「乳がん体験者コーディネーター養成講座」が、開催されている。



 主催は、がん患者支援団体の「キャンサーネットジャパン(CNJ)」、患者コーディネーターを育成する「日本医療コーディネーター協会」、乳がんの患者団体である「ブーゲンビリア」と「ソレイユ」の4団体。昨年1月から始まったこの講座だが、2月4日には第5回が開催され、約150人の乳がん体験者が熱心に講師の話に聞き入った。

2月4日に開かれた「乳がん体験者コーディネーター養成講座」
2月4日に開かれた「乳がん体験者コーディネーター養成講座」

 この日は、まず、今年の日本乳癌学会会長で帝京大学医学部外科教授の池田正氏が「乳がん患者が知っておくべき基礎知識と最近の乳がん治療の進歩」をテーマに基調講演。池田氏は、最新の標準治療について解説するとともに、分子標的薬のハーセプチン(一般名トラスツズマブ)をHER2受容体が陽性の患者さんの手術後に使うと、再発を減らす効果があることが米国で報告されたことに触れ、次のように話した。

 「日本でも、今年中くらいに(術後の補助療法として、ハーセプチンが)使えるようになると思う。ハーセプチンは比較的副作用が少ないものの高価な薬。今後、新しく登場する薬はますます高価になってくる。効果があるが、副作用もあって高価でもあるという薬が出てきたときは、それを受けるか受けないかは患者さんの価値観によるといったことも出てくる。治療法を選ぶときには、医師が『ぜひやりなさい』というのではなくて、効果や副作用のデータを示しながら、どうするかいっしょに考えていくことが大切になるだろう」。

 その後、同講座では、ロールプレイを交えて、伴走者として患者に寄り添い客観的なアドバイスを行う方法を学んだ。その中で、日本医療コーディネーター協会会長の嵯峨崎泰子氏は、「同じ病気の体験者と話すことで、一人じゃないと思えることが大きい。患者さんの気持ちに共感し、医療者側と患者側の両方を代弁し調整する役割を果たしてほしい」と乳がん体験者の役割に期待を寄せた。

 この「乳がん体験者コーディネーター養成講座(以下、体験者講座)」は、今後も継続的に開催され、一定の回数以上出席した人には修了証が授与される。一方、この日、CNJが新たに「認定乳がん体験者コーディネーター養成講座<前期>(以下、認定講座)」を開始することが発表された。

 認定講座はこれまでの体験者講座の上級編。CNJ事務局長の柳澤昭浩氏によると、従来の体験者講座は「良い学び合いの場であったが、必ずしもすぐに患者相談の実践のために役立つ内容ではなかった」。つまり、乳がん体験者が身近な乳がん初心者のサポーターを務めるための勉強会といった位置付けであり、相談実務のレベルを問わず、出席数が一定に達すれば修了できるものだった。

 新設される認定講座は、4月1日(日)から約4カ月の間に8回にわたって開催され14種類の講義を受ける。その後、より高度で体系的なカリキュラムを学び、実際の相談の場を想定した後期養成講座を修了して初めて、認定証が受け取れる。受講者としては、ボランティア団体の電話相談員、がん拠点病院のボランティア相談員なども想定している。また、認定者が実際の相談業務において、そのノウハウを活用することが大きな狙いだ。さらには、認定者が実際に患者をサポートする場として、東京と横浜に民間企業との連携で「がん情報ふれあいサロン」(仮称)を開設する準備も進める。

 「体系的知識をもった意識の高いコーディネーターとして患者の相談に乗り、場合によっては診察に同行して医師との間を取り持つ役割を果たすといったこともあっていい」と、柳澤氏はその将来像を説明する。

 今回、こうした認定講座が新設される背景には、患者相談ができる人材へのニーズが高まっていることがある。全国のがん拠点病院では、相談支援センターの整備が進められている。また、全国各地の患者が電話で気軽に相談できるコールセンターを求める声も高まっている。さらには、民間やボランティア団体による患者相談サービスの充実も求められている。ところが現在ではこうした相談経験がある人員は限られており、十分な経験やノウハウを持つ人が不足している。また、国などによる人材養成支援が遅れており、患者支援団体としても着手が不可欠との判断に至ったわけだ。

 がんの患者の相談員に求められることは、治療や施設に関する情報提供から心のケアにつながる傾聴まで幅広いが、この認定講座では、まず、患者が標準治療に最短距離でたどり着けることを優先事項とし、治療法に関する情報を提供できるようになることに主眼を置く。専門的な知識を有しながら、同じ病気になった人として、より患者に近い立場でサポートを行う「認定乳がん体験者コーディネーター」が、今後のがん医療でどのような役割を果たしていくか、注目される。また、乳がんのみならず、各疾患においてこうした人材育成が求められるようにもなるだろう。

(福島 安紀)

〔参考サイト〕
キャンサーネットジャパン
日本医療コーディネーター協会
ブーゲンビリア
ソレイユ


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