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2007/1/16

抗がんサプリとの付き合い方を指南

「がんの補完代替医療ガイドブック」が好評

 “免疫力を高める”などとされる健康食品に興味を持ったり、実際に使ったりするがん患者は多い。しかしこれまで、実際に効果があるのか、あるいは、どのような副作用に注意すべきか、といった情報は乏しかった。あふれる健康食品にどう対処したらよいのか悩む患者や家族は多い。そういった現状を少しでも改善すべく、厚生労働省の研究班が一般向けに作った「がんの補完代替医療ガイドブック」が話題を呼んでいる。


 このガイドブックを作ったのは、厚生労働省の「がんの代替医療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班。2006年4月に完成した。四国がんセンター日本補完代替医療学会のホームページからダウンロードできる。主任研究者で、四国がんセンター第一病棟部長の住吉義光氏は、一般向けのガイドブックを作った背景について次のように話す。

四国がんセンター第一病棟部長の住吉義光氏
四国がんセンター第一病棟部長の住吉義光氏

 「雑誌や本、インターネットには、がんの補完代替医療に関する情報があふれているが、科学的な立場から正確で有用なものは極めて少ないのが実情だ。一方で、我々が実施したアンケート調査の結果によると、『現在すでに利用している』『使ってみようか考え中』『実際に準備中』を合わせると、がんの患者さんの8割が補完代替医療に関心を持っている。最終的に決めるのは患者さんだが、一般の人がどの情報を受け入れ、どの情報を除外すればよいのか、中立的な立場で書いたガイドブックが必要だと考えた」。

 そもそも補完代替医療とは、保険診療の適用にならない医療のことで、具体的には健康食品、はり・きゅう、アロマテラピー、気功などの伝統医療や民間医療、そして、遺伝子治療などの先進医療も含む。ガイドブックは2部構成で、前半の「活用編」には、(1)がんの進行に伴う症状を軽減できるか(2)治療に伴う副作用を軽減できるか(3)安全性や効果はヒトで確認されているか――といった、補完代替医療やそれに関する情報を利用する前に確認したい約40項目のチェックポイントがまとめられている。

 また、後半の「資料編」では、がん患者の使用頻度が高いアガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブについて、科学的根拠を調査した結果が参考になる。例えば、最も使用者の多いアガリクスに関しては、「子宮がん、卵巣がんの患者を対象にした調査で、化学療法中の副作用(食欲、脱毛、情動安定性、全身脱力感)を軽減する効果について有効性を認めたと報告されていますが、今後、複数の試験による検証が必要(がんが治るかどうかは不明)です」とする。同研究班では、最近も、これら5つの健康食品について新たな論文報告がなされていないか検索を行ったが、内容に変更はないという。

 「日本では、補完代替医療として健康食品を利用する人の多くが、それを食べればがんが治ったり、長く生きられたりするのではないか考えているようだが、現段階で、がんの治療効果が科学的に証明されたものはない。もっとも、不安な気持ちを落ち着けるために、あるいは、食事ができないところをサプリメントで補うなどの目的で使うのであれば、補完代替医療を受ける意義はある。ただ、中には、がんの抗がん剤治療や放射線治療の効果を軽減したり、副作用を強めたりすることが分かっているもの(※下の表参照)もあるので、健康食品などの補完代替医療を利用するときには、必ず主治医や看護師に相談してください」。

 ――住吉氏はそう強調する。患者から医師に、サプリメントの使用を伝えにくいものだが、特にがんの治療を受けている間は、体に悪影響を与えることもあるので、医療者への相談は必須というわけだ。

●表 患者の状態によって避けたほうがよい補完代替医療
治療法
避けたほうがよい状況
高度の食事制限をともなう食事療法 低栄養状態
抗酸化サプリメント 放射線療法・化学療法中の併用
抗凝固作用をもつサプリメント 血小板減少症、抗凝固療法中、手術
植物性エストロゲン(大豆サプリメント) 乳がん(特にエストロゲン受容体陽性の場合、タモキシフェン服用中)患者、子宮体がん患者
はり・きゅう 血小板減少症、抗凝固療法中
深部組織マッサージ、強力なマッサージ 血小板減少症、抗凝固療法中
セント・ジョンズ・ワート(※別名セイヨウオトギリソウ、ハーブティとして市販品もある) 化学療法中、薬剤濃度が有効レベルに達しなければ重大な結果につながるような薬を服用している場合
高容量ビタミンA すべての患者が避けたほうが賢明
高容量ビタミンC すべての患者が避けたほうが賢明

 米国では、年間約1億ドルの国家予算をかけて補完代替医療の科学的検証が行われているが、日本では、公的な研究グループが一般の患者向けに具体的な注意点や情報を提示するのは初めてだった。この調査では具体的な検証が健康食品5種類にとどまっているものの、同研究班では、今後、情報を更新していく予定であるほか、各研究員が、補完代替医療の効果や副作用を検証する臨床研究にも着手している。


●補完代替医療とのつきあい方5カ条
1
関心のある補完代替医療について、科学的な根拠を集めよう
2
いま受けている治療に悪影響がないか、担当医に確認しよう
3
健康食品・サプリメントには、副作用があるものもある
4
「がんが治った」体験談や「免疫力が高まる」といった宣伝文句には要注意
5
自分にとって効果はあるのか、費用や期間が妥当か、冷静に考えよう

 健康食品の売り上げは年間1〜2兆円といわれ、がんの補完代替医療への関心は高まるばかりだ。そうした中、大阪大学医学部附属病院で、2006年7月、有料(自由診療)で医学的な立場から相談に乗る、全国初の「補完医療外来」も誕生している。

 補完代替医療の中には、痛みを軽減したり心を癒したりといった効果が期待できるものがある一方、多額の費用がかかるものもある。このガイドブックなどを参考に情報を集め、利用するかどうか、利用するとしたらどういったものを選ぶか、冷静に見きわめるようにしたいものだ。

(福島 安紀)

〔参考資料〕
厚生労働省・食品安全情報
国立健康・栄養研究所「健康補助食品等の安全性・有効性データベース」


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