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レポート

2006/10/24

受診率向上が急務

取り残されるわが国の子宮頸がん検診

 ウイルス感染が原因となって発症する子宮頸がん。わが国では若年層の死亡率が高くなっている。その背景には受診率の低さがある。積極的な受診の奨励活動が必要だ。


 わが国における子宮頸がん検診が世界から取り残されている――。10月18日から20日に都内で開催された日本癌治療学会で、わが国のお寒い状況に自治医科大学大宮医療センターの今野良氏が強い警鐘を鳴らした。今野氏は発表で、細胞診とHPV遺伝子検査を併用することで検査精度を100%に近づけることと、受診者に正確な情報を提供し、教育、啓発、モチベーションを高めるための活動を行って検診の受診率を100%に近づけることが重要だと強調した。

 子宮頸がんはわが国で年間約7000人の女性が罹患し、約3000人が死亡すると考えられているがん。2004年4月に出された世界保健機関(WHO)のコンセンサスステートメントで、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が子宮頸がん発症に必須であり、HPVの持続感染がなければ子宮頸がんの危険性は事実上ないとされている。わが国では、特に30歳代から40歳代のの子宮頸がんの死亡率が増加しており、30歳代から40歳代では子宮頸がんによる死亡率はがん種別の死亡率の上位3番以内に入っている。特に30歳代は子宮頸がんと乳がんで60%を占める。

先進国でダントツの受診率の低さ
 今野氏の発表によると、わが国における子宮頸がん検診は1960年頃から開始され、90年台前半までに検診率は約30%にまで到達した。そして10万人あたりの死亡率も12人程度だったのが90年代前半には4人にまで減少できた。

 ところが、90年代半ばから一部の医師によるがん検診不要論、厚生労働省が2001年に行った「HPVの検査の死亡率減少効果についての根拠となる報告がない」といった評価、子宮頸がん検診が原則として同一人に2年に1回とされたこと、教育・啓発が不足している状況‐‐などによって、検診受診者が減少していることを今野氏は示した。年代別に子宮頸がん検診を受けている率を見ると、若年層の受診率低下が目立ち、50歳以上の高齢者が半数を占めるようになったという。検診による早期検出が重要な若年層での検診低下が起きていることになる。

 今野氏は英国で40%だった検診受診率が90%近くになった結果、子宮頸がん死亡が大きく減少した例をあげた。そして、他の先進国の検診受診率が50%以上であるのに対し、わが国では24%にとどまっている現状を指摘し、早急な対策が必要であることを訴えた。

 今野氏は20歳から59歳までの一般女性2000人を対象にインターネットを利用して行った調査の結果も紹介、子宮頸がん検診の有用性などの知識が一般女性に不足していることを指摘した。子宮頸がん検診で、がんのみでなく前がん病変を検出できることを知っていた人は24.8%、早期発見・治療でほぼ100%完治できることを知っている人は41.2%に留まっていた。

 また、今野氏は、細胞診とHPVの遺伝子検査を組み合わせた検診の重要性も指摘した。両検査を組み合わせることで感度、陰性的中率はほぼ100%となり、その結果、検診間隔の延長を行うことができることを指摘した。つまり、検査にかかる費用を抑制できるというわけだ。

 不名誉な子宮頸がん大国と呼ばれないよう、検診受診を高めるための積極的な活動が求められている。


(横山 勇生)

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