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レポート

2006/6/27

患者団体アメリカ訪問記 第1回 −がん診療改革のヒントを探して−

がん対策で先行する“米国”のいいところを学びたい

 5月30日から6月4日まで、日本のがん患者団体の一行3人が米国を旅行した。狙いは、米国から日本への教訓を得ること。日本は今まさに、がん対策基本法も成立し、弱体だったがんの診療体制の再構築に着手するとき。さまざまな対策で先行する米国に学ぶところは多いはずだ。米国の訪問先の実情はどうだったのか。そこに、がん患者団体幹部は何を見たのか。日本への教訓は見つかるのか。6日間、一行に密着取材した。

 6月16日、「がん対策基本法」が成立した。国や地方自治体の責務を明確にし、がん患者などを含んだ「がん対策推進協議会」を設置することも盛り込んだ内容で、今後のがん診療体制強化を支えることは間違いない。1年前には実現を予想する人が少なかったこの法律の成立を強力にプッシュしたのが、“がん患者団体”だった。


がん患者会ネットの3人がまず米国に向かう
ホテルから見学ツアーにいざ出発
ホテルから見学ツアーにいざ出発、「時差ボケで少し眠いけど、いろいろ見るぞ」
 がん患者団体の声は、ここ3年ほど、「抗がん剤併用療法に関する検討会」「未承認薬使用問題検討会議」「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」の設置とそこを舞台にした議論の展開に、多大なる影響を与えてきた。厚生労働省が2005年5月にがん対策推進本部を設置し、がん対策アクションプランを制定したのも、がん患者団体の要望に応えたかっこうだ。

 こうしたがん患者団体のなかで、このところ最も大きなインパクトを与えてきたのが、「がん患者ネット」。約20のがん患者団体が政策要望活動のために連携したもので、日本がん患者団体協議会(JCPC)理事長の山崎文昭氏がその取りまとめ役を果たしてきた。大きく展開しはじめた日本のがん対策だが、彼らに「これで十分」という気持ちはない。海外のがん対策やがん診療の知見を広め、今後の日本のがん対策の戦略を練るうえでの参考にしようと海外視察が企画され、まず先遣隊として3人が米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会に合わせて米国に向かった。


米国がん協会大学の講義風景
がん患者ネットとりまとめ役で「日本がん患者団体協議会(JCPC)」理事長の山崎文昭氏
 メンバーは、いずれもがん患者ネットの陳情活動に熱心に参加している3人。JCPC理事長の山崎氏と、「癌と共に生きる会」事務局長の海辺陽子氏、乳がん患者団体「ブーゲンビリア」創設者の内田絵子氏である。海辺氏は、しばしば国会議員会館に赴いて国会議員への要望活動を行っている。癌と共に生きる会は、特に、抗がん剤の早期承認に力を入れている団体だ。内田氏は乳がんの経験者。滞在先で自分が受けたシンガポールでの治療に比べて日本の治療が情報提供や自己決定の点で遅れていると感じ、そこを補いたいと活動している。

 日程は、ワシントンDCでがん病院、米国がん研究所(NCI)、米国食品医薬品局(FDA)を訪問し、それからアトランタに移動して米国臨床腫瘍学会の年次大会を見学すると同時に、その会場で米国のがん患者団体と交流するというもの。タイトな日程を精力的にこなした。


米国視察で多くの発見と出会いを期待
「癌と共に生きる会」事務局長の海辺陽子氏
「癌と共に生きる会」事務局長の海辺陽子氏
 ツアー開始にあたり、それぞれのメンバーはどのような抱負を持っているのか聞いた。

 山崎氏:「日本の医療を良くしたいと思って活動している。米国のがん診療体制の良い面、日本に不足しているところを知り、どうしたら日本のがん診療が向上できるかを考えたい。日本はがん戦略の枠組みはできてきて、実際にどうしていくかという段階に入ってくる。アクションプランを具現化するための具体的な活動案をこのツアーから得たい」

「ブーゲンビリア」創設者・代表の内田絵子氏
「ブーゲンビリア」創設者・代表の内田絵子氏

 海辺氏:「一挙に問題を解決したいという強い気持ちはあるが、そんな秘策は見つからないかも知れない。でも、さまざまな医療環境が異なるとはいえ、米国でも日本でも同じような悩みと模索があるはずだ。一足飛びでなくても、30センチずつでも進みたいので、日本の医療を確実によくできるような具体的な足がかりや手法を発見したい」

 内田氏:「私は乳がん団体を運営しているが、米国では乳がん団体の活動が大変盛んで、患者パワーのけん引役にもなっている。実際にどう活動しているのかを知りたい。日本では10月に国立がんセンターに“がん対策情報センター”が設置されるが、米国は患者への情報提供が格段に進んでいると思うので、その様子をつぶさに見てみたい」

 短期間のツアーで言葉と文化の壁もあるので、すべての目的は達成できないかも知れないが、多くの発見と出会いが期待される。(第2回に続く)

(埴岡 健一)

主な訪問先
■ジョージタウン大学ロンバルディ包括がんセンター病院
  乳がんセンター
  外科医
  看護師
  ソーシャルワーカー
  アート・セラピスト
  電話相談窓口 
■米国がん研究所(NCI)
  所長
  がん情報センター
  コールセンター
  がん患者団体窓口
  一般市民参加プログラム
  がん関連法対策室
■米国食品医薬品局(FDA)
  医薬品審査患者参加プログラム
■米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次大会
■米国がん協会(ACS)
■PAN-CAN(すい臓がん患者団体)
■がんリーダーシップ評議会(米国のがん患者団体連合)

〔参考サイト〕
日本がん患者団体協議会(JCPC)
癌と共に生きる会
ブーゲンビリア
第8回抗がん剤併用療法に関する検討会 議事要旨
抗がん剤併用療法に関する検討会の討議結果を受けた適応拡大の進捗状況について(平成17年9月15日現在)
第8回 未承認薬使用問題検討会議 議事次第
未承認薬使用問題検討会議での検討結果を受けて国内で治験準備中又は実施中の医薬品に関する情報(更新日:平成18年6月6日)
がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告書について
がん医療水準均てん化の推進に関する検討会
報告書起草委員会メンバーによる参考人からの意見聴取 平成17年3月7日(月)


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