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2018/6/15

転移性腎細胞癌のスニチニブ投与下では腫瘍量を減らす腎摘除術は不要【ASCO2018】

八倉巻尚子=医学ライター

 転移を有する腎細胞癌において、腫瘍減量を目的とした腎摘除術の後にスニチニブを投与する標準的な方法に対し、スニチニブの単独投与で非劣性が示され、腎摘除術を行う意義はないことが、ランダム化フェーズ3試験CARMENAで明らかになった。フランスHopital Europeen Georges-PompidouのArnaud Mejean氏らが、6月1日から5日まで米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)のプレナリーセッションで発表した。

 サイトカイン療法では腎摘除術をともに行うことで有用性が示されていたが、現在では分子標的薬が使われるようになっていることから、腫瘍減量を目的とする腎摘除術(cytoreductive nephrectomy)の意義を検証するため、この試験が行われた。

 対象は、組織学的に淡明細胞癌が確認され、ECOG PS 0-1、全身療法の治療歴がなく、腎摘除術およびスニチニブ投与が可能で、脳転移がない、あるいは治療で制御できている患者。腎摘除術の3-6週後にスニチニブを投与する群(A群)と、スニチニブ投与のみの群(B群)に1:1 に分け、MSKCCリスク分類と施設の場所で層別化した。術後スニチニブは50mg/日を4週投与2週休薬のスケジュールで投与した。
 
 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、臨床有用率、安全性とした。
 
 2009年9月から2017年9月までに450人が登録した。2回目の中間解析のカットオフは2017年9月9日で、326人が死亡していた。観察期間中央値は50.9カ月。OSの結果に基づいて、治験委員会は試験を中止し、この中間解析を最終解析と決定した。
 
 A群226人、B群224人をITT集団、A群の中で腎摘除術を行った205人、B群でスニチニブ投与を受けた206人をPP1集団、さらにA群で腎摘除術とスニチニブ投与を行った176人、B群でスニチニブ投与を受けた206人をPP2集団とした。
 
 ITT集団で、年齢中央値はA群63歳、B群62歳、PSが0の患者がA群57%、B群54%、PS 1がそれぞれ42%、45%、MSKCCリスク分類で A群はintermediateリスクが56%、poorリスクが44%、B群はそれぞれ59%、41%だった。原発巣の腫瘍径中央値がA群は88mm、B群が86mm、転移部位数の中央値は両群とも2個、腫瘍径の合計(tumor burden)がA群140 mm、B群144mm、転移部位は肺、骨、リンパ節の順に多かった。
 
 解析の結果、ITT集団でOS中央値はA群13.9カ月、B群18.4カ月で、OSハザード比は0.89(95%信頼区間:0.71-1.10)だった。非劣性のマージンは1.20で、それを下回っていたことから非劣性が示された。12カ月生存率はA群55.2%、B群64.4%、24カ月生存率はA群35.0%、B群42.6%、36カ月生存率はA群25.9%、B群29.1%だった。
 
 またMSKCCリスク分類のintermediateリスク患者ではOS中央値はA群19.0カ月、B群23.4カ月で、ハザード比は0.92(95%信頼区間:0.6-1.24)だった。poorリスク患者ではOS中央値はA群10.2カ月、B群13.3カ月で、ハザード比は0.86(95%信頼区間:0.62-1.17)だった。
 
 PP1集団においては、OS中央値はA群14.5カ月、B群20.5カ月で、OSハザード比は0.87(95%信頼区間:0.69-1.1)だった。PP2集団では、OS中央値はA群18.3カ月、B群20.5カ月で、ハザード比は0.98(95%信頼区間:0.77-1.25)となった。
 
 PFSは中央値がA群7.2カ月、B群8.3カ月で、ハザード比は0.82(95%信頼区間:0.67-1.00)だった。PP1集団においては、PFS中央値はA群7.6カ月、B群8.5カ月で、ハザード比は0.82(95%信頼区間:0.66-1.01)だった。PP2集団では、A群8.7カ月、B群8.5カ月で、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.70-1.08)となった。
 
 奏効率はA群が27.4%、B群が29.1%、病勢制御率がそれぞれ61.8%、74.6%、臨床有用率(12週を超えた病勢制御)が36.6%、47.9%(p=0.022)だった。
 
 スニチニブ投与について、治療期間の中央値はA群6.7カ月、B群は8.5カ月、投与減量を行った患者はそれぞれ31%、30%、グレード3/4の有害事象は33%、43%に認められた。
 
 B群では原発巣に対する緊急治療として、あるいは転移巣においてCRあるいはCRに近い状態になったため、腎摘除術を実施した患者が38人(17%)だった。ランダム化から手術までの期間中央値は11.1カ月だった。手術を実施した患者の31.3%はスニチニブを再開した。
 
 以上の結果から、スニチニブ単独投与は腎摘除術後にスニチニブを投与する場合に対しOSに関して非劣性を示したとした。このため、腫瘍減量を目的とする腎摘除術は転移を有する腎細胞癌患者において標準治療とは考えられないとしている。

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