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2018/6/15

ER陽性PIK3CA変異陽性の進行乳癌患者のPFSがtaselisib+フルベストラントで延長【ASCO2018】

森下紀代美=医学ライター

 エストロゲン受容体(ER)陽性、PIK3CA遺伝子変異PIK3CA変異)を有する進行乳癌患者に対し、フルベストラントとの併用において、PI3K阻害薬taselisibGDC-0032)はプラセボと比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、フェーズ3のSANDPIPER試験の主要解析から示された。6月1日から5日まで米国シカゴで開催ている米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJose Baselga氏が発表した。

 PI3Kシグナル伝達経路の変異は、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌に多くみられる。早期の前臨床研究と臨床研究から、taselisibはPIK3CA変異陽性細胞株で活性が強まり、PIK3CA変異陽性の腫瘍を有する患者では奏効率が上昇することが示されている。

 SANDPIPER試験は、バイオマーカーで定義した患者(ER陽性、PIK3CA変異陽性の腫瘍を有する患者)を対象として、taselisibをフルベストラントに加え、有効性と安全性を評価した初のプラセボ対照ランダム化比較試験。

 対象は、ER陽性HER2陰性の局所進行または転移を有する乳癌で、閉経後の女性。アロマターゼ阻害薬で治療中または治療後に進行を認めた患者とした。転移に対する化学療法は1レジメン以内、フルベストラント、PI3K阻害薬、mTOR阻害薬による治療歴はないこととした。PIK3CA変異はcobas PIK3CA Mutation Testを用いて中央で評価した。PIK3CA変異陽性の腫瘍を有する患者は、taselisib 4mg/日とフルベストラントを併用する群(taselisib群)、またはプラセボとフルベストラントを併用する群(プラセボ群)に、2対1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、PIK3CA変異陽性の腫瘍を有する患者における、試験担当医の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は奏効率、全生存期間(OS)、臨床的有効率(CBR)、奏効期間、盲検化された中央判定委員会によるPFS、安全性だった。探索的な評価項目として、PIK3CA変異陰性の腫瘍を有する患者における有効性も評価した。

 2015年4月9日から2017年9月4日までに、28カ国から149施設が参加し、631人がランダム化割り付けされ、PIK3CA変異陽性のITT解析対象は516人となった。安全性解析の対象は1回以上投与を受けた629人だった。主要解析のデータカットオフ日は2017年10月15日だった。taselisib群340人、プラセボ群176人となり、患者背景はバランスがとれていた。

 主要評価項目である試験担当医の評価によるPFS中央値は、taselisib群7.4カ月、プラセボ群5.4カ月、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.56-0.89)、p=0.0037となり、taselisib群で有意な延長が認められた。

 盲検化された中央判定委員会によるPFS中央値は、taselisib群9.0カ月、プラセボ群5.4カ月、ハザード比0.66となり、試験担当医の評価によるPFSの結果が確認された。

 地域で層別化したPFSのハザード比は、アジアで0.38(95%信頼区間:0.19-0.75)、西ヨーロッパ・米国・カナダ・オーストラリアで0.57(95%信頼区間:0.41-0.79)、その他の国(コロンビア、メキシコ、ロシアなど)で1.18(95%信頼区間:0.78-1.77)となった。

 その他の有効性に関する評価項目も、taselisib群で改善した。ベースラインで測定可能病変を有したtaselisib群264人、プラセボ群134人の奏効率は、それぞれ28.0%、11.9%、p=0.0002となった。CBRはtaselisib群51.5%、プラセボ群37.3%、奏効期間中央値はそれぞれ8.7カ月、7.2カ月だった。OSのデータはimmatureだった。

 探索的な評価項目として、PIK3CA変異陰性の腫瘍を有する患者の有効性も評価された。奏効率はtaselisib群19.7%、プラセボ群14.3%、p=0.37だった。試験担当医の評価によるPFSは、taselisib群5.6カ月、プラセボ群4.0カ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.44-1.08)、p=0.1062となり、完全に対象から除外することはできないと考えられた。

 毒性はtaselisibを加えることで増強した。グレード3以上の有害事象は、taselisib群49.5%、プラセボ群16.4%に発現し、重篤な有害事象はそれぞれ32.0%、8.9%に発現した。有害事象による投与中止、投与中断、減量はtaselisib群で多く、それぞれ16.8%、40.6%、36.5%、プラセボ群ではそれぞれ2.3%、11.3%、2.3%だった。

 taselisib群で頻度が高かったグレード3以上の有害事象は、下痢11.5%、高血糖10.8%、発疹3.8%、口内炎3.6%、ALT/AST値上昇3.3%、大腸炎3.1%などだった。プラセボ群ではそれぞれ0.9%、0.5%、0%、0%、0.5%、0%だった。

 Baselga氏は「taselisibとフルベストラントの併用の安全性プロファイルは予測されたもので、消化管毒性と高血糖が多かった。忍容性は課題であり、投与中止に至る頻度が高く、この病態では臨床的なベネフィットが限られる可能性がある」とした。

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