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2018/6/15

21遺伝子アッセイで中間再発スコアのHR陽性HER2陰性早期乳癌患者では術後の化学療法が省略できる【ASCO2018】

森下紀代美=医学ライター

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性、腋窩リンパ節転移陰性の早期乳癌で、癌組織の21遺伝子アッセイによる再発スコアが中間の患者では、手術後に内分泌療法のみを行っても、内分泌療法+化学療法と同等の有効性が得られることが、フェーズ3のTAILORx試験で明らかになった。6月1日から5日まで米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で、米国Clinical Research at the Albert Einstein Cancer Center and Montefiore Health SystemのJoseph A. Saparano氏がプレナリーセッションで発表した。

 米国では、全乳癌患者の50%はHR陽性HER2陰性でリンパ節転移陰性の乳癌患者である。このような患者にも術後化学療法が推奨されているが、ベネフィットは小さく、多くの患者では過剰な治療となっていることが、TAILORx試験がデザインされる根拠となった。

 遺伝子発現アッセイには、癌組織の21遺伝子を調べるOncotype Dxが選択された。このアッセイでは、低再発スコアの場合は内分泌療法で再発リスクが低下し、高再発スコアの場合は化学療法で大きなべネフィットが得られると予測されている。しかし、中間再発スコアの場合の化学療法によるベネフィットは明らかになっていなかった。

 TAILORx試験の対象は、HR陽性HER2陰性、腋窩リンパ節転移陰性であることに加え、中間再発スコア(11-25)、腫瘍径1.1-5.0cm(組織学的グレード分類で中間または高異型度の場合は0.6-1.0cm)、再発スコアに基づく割り付けやランダム化された化学療法を受けることに同意した患者とした。HER2陽性は高再発スコアであることが多く、スコアの分布も異なるため除外された。また、中間再発スコアを通常の18-30ではなく11-25に調整したのは、HER2陽性を除外し、治療が不十分となる可能性を最小限にするためだった。

 2006年4月から2010年10月までに11232人がOncotype Dx検査を受け、10273人が登録された。中間再発スコアの患者は、内分泌療法のみを行う群(内分泌療法群)に3399人、標準的な内分泌療法と化学療法を行う群(標準治療群)に3312人がランダムに割り付けられた。低再発スコア(0-10)の患者1629人には内分泌療法のみ、高再発スコア(26-100)の患者1389人には内分泌療法と化学療法が行われた。

 主要評価項目は、中間再発スコアの患者における浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)だった。試験はランダム化割り付けされた2群の非劣性デザインで、IDFSに対するハザード比の信頼区間の非劣性マージンは上限が1.322とされた。副次的評価項目は遠隔無再発期間(distant recurrence-free interval:DRFI)、無再発期間(RFI)、全生存期間(OS)だった。

 中間再発スコアの患者の年齢中央値は55歳で、33%は50歳以下だった。63%は腫瘍径が1-2cm、57%は組織学的グレード分類で中間の異型度、臨床的には74%が低リスク、26%が高リスクだった。

 化学療法として、56%にTC療法(ドセタキセル、シクロホスファミド)、36%にアンスラサイクリンを含むレジメンによる治療が行われた。

 観察期間中央値は7.5年で、最終解析の時点で836のIDFSのイベントが発生していた。主要評価項目であるIDFSのハザード比は1.08(95%信頼区間:0.94-1.24)、p=0.26となり、内分泌療法のみの標準治療に対する非劣性が証明された。

 副次的評価項目も同様の結果となり、DRFIのハザード比は、1.10(95%信頼区間:0.85-1.41)、p=0.48、RFIのハザード比は1.11(95%信頼区間:0.90-1.37)、p=0.33、OSのハザード比は0.99(95%信頼区間:0.79-1.22)、p=0.89となった。

 また、9年の時点におけるイベントの発生率は、中間再発スコアの患者では、遠隔転移は全体で5%に発生し、有効性のすべての評価項目で内分泌療法群と標準治療群の差は1%以下だった。内分泌療法群と標準治療群において、IDFS率はそれぞれ83.3%、84.3%、DRFI率はそれぞれ94.5%、95.0%、RFI率は92.2%、92.9%、OS率は93.9%、93.8%だった。遠隔転移は、低再発スコアの患者の3%に発生し、高再発スコアの患者では13%となった。

 探索的に行われた中間再発スコアの患者のサブグループ解析から、化学療法でベネフィットがある程度得られるグループとして、年齢50歳以下、中間再発スコアが16-25の患者が抽出された。中間再発スコアが16-20の患者では、IDFSのイベントは9%減少し、このうち遠隔転移は2%減少した。同スコアが21-25の患者では、IDFSのイベントは6%減少し、主に遠隔転移の減少だった。

 同試験の結果は、New England Journal of Medicine誌の6月3日号に掲載されている。

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