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2018/6/11

CYP2D6遺伝子変異型のHR陽性転移・再発乳癌へのタモキシフェン増量投与で活性代謝物の血中レベルが向上【ASCO2018】

横山勇生=編集委員

 ホルモン受容体(HR)陽性転移・再発乳癌に対するタモキシフェン投与の際に、CYP2D6遺伝子が変異型の患者でも投与量を増加させることで、エンドキシフェンの血中レベルを高めることができることが分かった。また、投与量を増加させた群は通常量の群よりも無増悪生存期間(PFS)が長い傾向があった。国内で実施された多施設オープンラベル無作為化フェーズ2試験TARGET-1の結果、示されたもの。ただし、TARGET-1試験の主要評価項目は達成できず、CYP2D6遺伝子が変異型の患者に増量投与することの有効性は示せなかった。

 6月1日から5日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で、虎の門病院の高野利実氏によって発表された。

 タモキシフェンは、CYP2D6により分解され、高活性を持つエンドキシフェンに変換される。

 TARGET-1試験では、ホルモン受容体陽性HER2陰性の転移を有する乳癌患者に、タモキシフェンを1次治療として投与した。患者は2週間、1日あたり20mgのタモキシフェンを投与されたのち、全血からDNAを抽出し、CYP2D6の遺伝子型を決定した。CYP2D6遺伝子が野生型のホモの患者には、1日あたり20mgのタモキシフェンが投与され、対照群とされた。CYP2D6遺伝子の変異がヘテロの患者(野生型/変異型)とホモの患者(変異型/変異型)を、タモキシフェンの1日あたりの投与量が通常の量(20mg)の群(通常量群)と40mgに増量した群(増量群)に無作為に割り付けた。無作為化3カ月後に血清を採取し、エンドキシフェンなどの測定が行われた。

 主要評価項目は6カ月無増悪生存(PFS)率で、副次評価項目は、PFS、奏効率、臨床利益率、血清中のタモキシフェン、その代謝物のレベルと効果、毒性の関係だった。

 試験には、2012年12月から2016年7月までに186人が登録され、184人が評価可能だった。CYP2D6遺伝子の変異がヘテロかホモだった患者は136人で、通常量群に66人、増量群に70人が割り付けられた。CYP2D6遺伝子が野生型ホモの患者は48人だった。通常量群と増量群の患者背景(遺伝子型、ホルモン受容体陽性細胞の割合、再発か4期か、骨転移、閉経状態、LHRHアゴニストの同時使用)に有意な差はなかった。

 試験の結果、6カ月PFS率は、増量群が68.1%、通常量群が66.7%、p=0.4525で有意な差はなかった。しかし、PFS中央値は、観察期間中央値22.9カ月で、増量群が14.2カ月、通常量群が11.7カ月で、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.50-1.14)、p=0.15と、増量群で長い傾向があった。

 エンドキシフェンのトラフレベルは、中央値が増量群が89.2nM、通常量群が51.1nMで、増量群で有意に高かった(p<0.0001)。 CYP2D6遺伝子が野生型ホモの患者のエンドキシフェンのトラフレベルは72.0nMで、増量群では有意な差はなかったが(p=0.0680)、通常量群では有意に低かった(p=0.0026)。なお、副作用は両群間で差はなかった。

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