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2018/2/15

運動で乳癌術後の腕の可動領域をより速やかに回復できる可能性

横山勇生=編集委員

 乳癌でリンパ節切除を受けた患者は、手術後にフィジカルトレーナーの指導のもとに運動を行うことで、腕の可動領域をより速やかに回復できることを示唆する臨床試験の結果が明らかとなった。詳細は2月16日から17日まで米オーランドで開催される2018 Cancer Survivorship Symposiumで、米Ohio State University Comprehensive Cancer CenterのElectra D. Paskett氏によって発表される。

 乳癌の手術ではリンパ節を切除することは珍しくない。そしてリンパ節切除もしくは手術よるダメージのために体液が貯留しリンパ浮腫を起こすことがあり、腕を動かすのに邪魔になることがある。腕が動かしにくくなることは、手術後まもなく起こり、何カ月も続いて中々治らないことがある。

 今回の発表は、リンパ浮腫についての教育と予防に関するフェーズ3無作為化試験によるもの。乳癌の手術の際に腋窩リンパ節郭清を受けた患者のリンパ浮腫の発現が、フィジカルトレーナーのもとを訪れることも含む適した運動の実施によって防げるかどうかを評価した。試験には568人が参加した。患者は、リンパ浮腫の兆候となる症状に関する教育資料とリンパ浮腫のリスクを低下させるための方法についての情報を与えられる群(教育群)と、情報に加えて、腕のストレッチ法と呼吸運動の仕方についてなど肉体トレーナーによる運動セッションを受ける群(教育・運動群)に割り付けられた。

 患者は手術の前、手術後、手術後1年時点、手術後1年半時点で、腕の動きについて5段階(ほとんど動かない〜完全な範囲まで動く)で自己評価した。手術の前は完全に動くと答えた患者の割合は、教育と運動のグループの方が教育だけのグループよりも少なかった(左腕は教育・運動群が58%、教育群が75%、右腕は57%、76%)。動かせる領域は、両群ともに一般的に時間とともに改善していったが、教育・運動群の方が改善のスピードが速かった。特に完全な範囲まで動くようになるまでが顕著だった。

 術後1年時点で、教育・運動群の方が、完全な範囲まで腕が動くようになった患者が多かった。教育・運動群の場合、左腕が91%、右腕が90%、教育群は84%と83%だった。18カ月時点で、完全な範囲まで腕が動くようになった患者の割合は両群ともに93%(両腕)だった。

 2次的な解析で、手術が行われ影響を受けた腕の動く範囲がどれくらい改善したかを評価したところ、術後12カ月時点で、教育・運動群では可動域が32%改善したのに対して、教育群は6%だった。18カ月時点で教育・運動群では可動域が37%改善したのに対して、教育群は13%だった

 研究グループは、他の研究者とともにどのような手術の手技がリンパ浮腫の発生や期間を低減できるのか調べる研究を計画しているという。また、腕の可動領域の回復に関するデータと体重の関連も解析する予定だ。

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