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2017/12/15

HER2陽性早期乳癌への術後トラスツズマブ9週間投与は標準の1年間投与に非劣性を示せず【SABCS2017】

横山勇生

 HER2陽性早期乳癌の術後にタキサン-アントラサイクリンの化学療法に加えてトラスツズマブを投与する期間は、1年間が標準であることが確認された。ドセタキセルと同時に9週間だけトラスツズマブを投与する群(9週間のみ群)と、その後もトラスツズマブを計1年間投与する群(標準療法群)を比較した無作為化フェーズ3試験SOLD(The Synergism Or Long Durationの結果、9週間トラスツズマブを投与する群の1年間投与群に対する無病生存期間(DFS)の非劣性が証明できなかった。

 12月5日から9日まで米国サンアントニオで開催されたSAN ANTONIO BREAST CANCER SYMPOSIUM(SABCS2017)で、フィンランドHelsinki University HospitalのHeikki Joensuu氏によって発表された。

 SOLD試験は、ドセタキセルと同時に9週間だけトラスツズマブを投与することが、DFSで標準療法に非劣性であり、循環器毒性が少なくなることを検証するために行われた。当初は優越性試験として計画されたが、2014年2月21日に修正が行われ非劣性試験となった。

 試験の適格基準は、PSが0または1、組織化学的にHER2陽性乳癌であることが確認されていること(in situハイブリダイゼーションで陽性かIHC3+)、リンパ節転移陽性もしくはリンパ節転移陰性で大きさが5mm超(6-10mmであった場合は組織学的グレード2または3)、LVEFが50%以上だった。

 2008年1月3日から2014年12月16日までにフィンランド、スウェーデン、英国、ベルギー、ニュージーランド、アイスランド、セルビアの7カ国65施設から2176人の患者が登録された。

 9週間のみ群には3週おきにドセタキセル(80mgか100mg/m2)とトラスツズマブを同時に3回投与し、その後FECを3週間おきに3回投与した。標準療法群には、3週おきにドセタキセル(80mgか100mg/m2)とトラスツズマブを同時に3回投与し、その後FECを3週間おきに3回投与したあとに3週おきに14回トラスツズマブが投与された。ホルモン受容体が陽性の場合は、内分泌療法を少なくとも5年間行うことになっていた。主要評価項目はDFS。副次評価項目は無遠隔再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、安全性だった。

 データ回収のカットオフは2016年12月31日、観察期間中央値は5.2年だった。9週間のみ群に1987人、標準療法群に1089人が割り付けられ、9週のみ群で開始時に遠隔転移があった2人を除いた患者がITTとなった。投薬を受けたのは、9週間のみ群が1984人、標準療法群が1089人だった。

 試験の結果、DFSイベント(再発もしくは死亡)が発生したのは9週間のみ群が140件(13%)、標準療法群が105件(10%)だった。遠隔再発は9週間のみ群が73件(7%)、標準療法群が61件(6%)、局所再発は9週間のみ群が17件(2%)、標準療法群が13件(1%)だった。乳癌による死亡は、9週間のみ群が34件(3%)、標準療法群が33件(3%)だった。

 5年DFS率は9週間のみ群が88.0%、標準療法群が90.5%だった。ハザード比1.39(90%信頼区間:1.12-1.72)となり、非劣性の上限マージンの1.385を超えており、非劣性は証明されなかった。

 5年OS率は9週間のみ群が94.7%、標準療法群が95.9%、ハザード比1.36(90%信頼区間:0.98-1.89)だった。

 5年DDFSは9週間のみ群が93.2%、標準療法群が94.2%、ハザード比1.24(90%信頼区間:0.93-1.65)だった。

 元々規定されていたDFSのサブグループ解析ではほとんどの場合で標準療法群が優位だったが、ドセタキセルの量が100mg/m2のグループでは9週間のみ群が優位だった。

 ドセタキセルの量が80mg/m2の患者(9週間のみ群843人、標準療法群835人)のDFSを解析すると、5年DFS率は9週間のみ群が86.8%、標準療法群が91.3%、ハザード比1.66(90%信頼区間:1.30-2.11)だった。一方、ドセタキセルの量が100mg/m2の患者(9週間のみ群242人、標準療法群254人)のDFSを解析すると、5年DFS率は9週間のみ群が92.2%、標準療法群が87.8%、ハザード比0.71(90%信頼区間:0.44-1.14)だった。

 化学療法に関する副作用は、9週間のみ群と標準療法群で同等で、化学療法が中止となったのは9週間のみ群で4.1%、標準療法群で4.7%だった。トラスツズマブ投与が中止となったのは9週間のみ群で8.9%、標準療法群で19.9%だった。循環器毒性は9週間のみ群で少なかった。循環器の副作用イベント発生率は9週間のみ群で2.0%、標準療法群で3.9%(p=0.012)、うっ血性心不全の発生率は9週間のみ群で1.9%、標準療法群で3.3%(p=0.046)だった。

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