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2017/9/11

pT1abN0の早期乳癌に対する術後化学療法は遺伝子によるリスク診断で高リスクの場合に有用な可能性【ESMO2017】

森下紀代美=医学ライター

 pT1abN0の早期乳癌で、病理組織による診断で低リスクかつ遺伝子によるリスク診断では高リスクの患者では、術後化学療法により無遠隔転移生存率(DMFS)、無病生存率(DFS)、全生存率(OS)でベネフィットが得られる可能性が、第III相のMINDACT試験のサブグループ解析から示された。マドリードで9月8日から12日まで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)で、EORTC(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)のKonstantinos Tryfonids氏(ベルギー)が発表した。

 pT1abN0の乳癌に対する術後の全身療法は、全体では再発リスクが低いことから、評価が一致していない。術後療法でベネフィットが得られるサブグループを特定するための最適なツールは、まだ明らかになっていない。

 MINDACT試験では、早期乳癌患者6693人を対象として、病理組織でのリスク診断(Adjuvant! Online)と70の遺伝子によるリスク診断(MammaPrint)を用いて診断を行った。両方の結果が一致した高リスクの患者には化学療法を行い、低リスクの患者には化学療法は行わず、結果が一致しない患者は、化学療法を行う群または行わない群にランダムに割り付けた。その結果、病理組織でのリスク診断で高リスクであっても、遺伝子によるリスク診断で低リスクの患者では、術後化学療法を行わなくても5年時の無遠隔転移生存率(DMFS)は94.7%と高いことがわかった。

 今回行われたサブグループ解析の対象は、MINDACT試験に登録されたpT1abN0の患者で、遺伝子によるリスク診断でリスク(genomic risk、以下Gリスク)があり、かつ病理組織でのリスク診断でリスク(clinical risk、以下Cリスク)があるとされた患者とした。Tryfonids氏らは、5年時点におけるDMFS、無病生存率(DFS)、全生存率(OS)を検討した。

 MINDACT試験に登録された患者のうち、826人(12.3%)がpT1abN0だった。このうち310人(37.5%)が60歳以上、537人(65.0%)が閉経後だった。727人の検体が中央の病理部門で再検討され、708人(85.7%)は浸潤性乳管癌、662人(91.1%)はER陽性、46人(6.3%)はHER2陽性だった。Luminal Aは426人(58.6%)、Luminal Bは193人(26.5%)、Luminal B/HER2陽性は38人(5.2%)、HER2陽性は8人(1.1%)、トリプルネガティブは37人(5.1%)だった。

 pT1abN0の全826人では、624人(75.5%)がCリスクとGリスクが低く(CL/GL)、196人(23.7%)はCリスクが低くGリスクが高かった(CL/GH)。5人(0.6%)はCリスクとGリスクが高く、1人はデータが入手できなかった。

 結果として、CL/GLの患者の5年時のDMFSは98.1%(95%信頼区間:96.6-99.0)、DFSは92.3%(95%信頼区間:89.7-94.2)、OSは98.6%(95%信頼区間:97.3-99.3)となった。一方、CL/GHの患者では、5年時のDMFSは94.5%(95%信頼区間:89.5-97.1)、DFSは88.8(95%信頼区間:82.5-92.6)、OSは97.2(95%信頼区間:93.3-98.8)となった。

 CL/GHの患者を術後化学療法の有無で分けると、5年時のDMFSは化学療法を受けた患者で97.3%(95%信頼区間:89.4-99.3)、受けなかった患者で91.4%(95%信頼区間:82.6-95.9)、DFSはそれぞれ92.3%(95%信頼区間:83.5-96.5)、84.5%(95%信頼区間:74.5-90.8)、OSは98.5%(95%信頼区間:89.6-99.8)、95.8%(95%信頼区間:89.1-98.4)だった。

 CL/GHの患者が術後化学療法でベネフィットが得られる可能性については、ホルモン受容体陽性の患者でも、症例数は少なかったものの、同様の傾向がみられた。

 Tryfonidis氏は「OSについてはさらに追跡が必要」としたうえで、「Ta1bでリンパ節転移陰性の患者の治療の判断では、PSや依存症などと同様に、疾患の生物学も考慮する必要がある」と話した。

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