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2017/6/7

HER2陽性進行・再発乳癌に対するエリブリン+トラスツズマブ+ペルツズマブの忍容性は良好、1次治療での奏効率は有望【ASCO2017】

森下紀代美=医学ライター

 HER2陽性進行・再発乳癌患者に対し、トラスツズマブとペルツズマブにエリブリンを追加した併用療法の忍容性は良好で、1次治療として行った場合の奏効率は87%に上ることが、多施設共同、単群、非盲検のフェーズ2試験(JBCRG-M03)から示された。6月2日から6日までシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2017)で、横浜市立大学附属市民総合医療センター乳腺甲状腺外科の成井一隆氏が発表した。

 HER2陽性進行乳癌に対する1次治療として、ペルツズマブをトラスツズマブとドセタキセルに追加することにより、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することがCLEOPATRA試験で示されたが、進行乳癌患者にドセタキセル75mg/m2の3週毎の投与を長期間継続することは困難である。一方、エリブリンは忍容性が良好な細胞傷害性薬剤である。

 JBCRG-M03試験では、HER2陽性進行・再発乳癌に対する1次治療および2次治療として、トラスツズマブとペルツズマブにエリブリンを追加した併用療法のレジメンの有効性と安全性を評価した。

 対象は、HER2陽性進行・再発乳癌で、未治療または進行・再発に対し1レジメンの前治療を受けた患者だった。全例が術後補助療法または1次治療として、トラスツズマブとタキサンの投与を受けていた。

 治療は21日を1サイクルとし、エリブリン1.4mg/m2を1日目と8日目に、トラスツズマブ(初回は8mg/kg、2回目以降は6mg/kg)とペルツズマブ(初回は840mg、2回目以降は420mg)を1日目にそれぞれ静脈内投与し、増悪まで繰り返した。主要評価項目はPFS、副次的評価項目は奏効率、安全性、OSなどだった。

 2013年11月から2016年2月までに50人が登録された。このうち安全性解析の対象は49人、最大の解析対象集団(FAS)は46人となった。49人の年齢中央値は56.0歳、試験治療が1次治療の患者は8人(16%)、2次治療の患者は41人(84%)だった。

 49人中28人(57%)が8サイクル終了時点もプロトコール治療を継続しており、PFSは中央値に未到達だった。

 RECISTv1.1による奏効率は、FASにおいて56.5%となり、完全奏効(CR)は13.0%、部分奏効(PR)は43.5%で得られた。1次治療の患者では、奏効率は87.5%、CRは25.0%、PRは62.5%、2次治療の患者ではそれぞれ50.0%、10.5%、39.5%だった。

 エリブリンの相対的用量強度(relative dose intensity)は高く、8サイクルまでの治療では90%を超えることも示された。FASにおけるエリブリン、トラスツズマブ、ペルツズマブの相対的用量強度の中央値はそれぞれ93.3%、100%、100%だった。成井氏は「エリブリンは用量の調節が可能なため、投与を継続することができる」と説明。 

 エリブリンを追加した3剤併用療法では、新たな安全性のシグナルは観察されなかった。グレード3以上の有害事象は、好中球減少(10.2%)、発熱性好中球減少(4.1%)、高血圧(6.1%)、末梢神経障害(2.0%)、食欲不振(2.0%)、infusion reaction(2.0%)などが発現した。

 同試験は対象数が少なく、抗HER2抗体の投与期間も短期間であったが、心毒性は観察されていない。駆出率の中央値に有意な低下はなく、症候性左室収縮機能不全も認めなかった。

 成井氏らは「HER2陽性進行乳癌に対し、トラスツズマブとペルツズマブにエリブリンを加えた併用療法は、ドセタキセルベースの併用療法の代替の治療となる可能性がある」としている。

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