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2017/2/17

アンドロゲン受容体阻害薬が奏効しなかったmCRPCの2次治療は化学療法が有用な可能性【ASCO GU2017 】

森下紀代美=医学ライター

 1次治療のアンドロゲン受容体(AR)阻害薬で奏効が得られなかった転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者の2次治療として、タキサンによる化学療法はAR阻害薬と比べて有用性が高く、特に予後不良の患者ではその傾向が認められることが、米国の地域ベースで実臨床をレトロスペクティブに検討した結果から示された。2月16日から18日まで米国オーランドで開催されている Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2017)で、米Icahn School of Medicine at Mount SinaiのWilliam K. Oh氏が発表した。

 mCRPCに対し、近年承認された複数の薬剤は有効性が証明されているものの、異なる薬剤を連続して投与した場合の転帰は不明である。1次治療でAR阻害薬が投与され、奏効が得られなかった患者の転帰に対する2次治療の影響もわかっていない。

 Oh氏らは、米国の地域ベースで実臨床のレトロスペクティブな検討を行い、1次治療のAR阻害薬で奏効が得られなかった患者を対象に、2次治療のタキサンベースの化学療法とAR阻害薬について、転帰の改善と相関するか否かを評価した。

 データは、community oncology electronic medical record(OncoEMR)から抽出した。対象は、2011年5月から2014年10月までに1次治療でAR阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)の投与を開始した患者で、2次治療でドセタキセル、カバジタキセル、アビラテロン、エンザルタミドのいずれかの投与を受けていることとした。2次治療開始時のPSA値は2ng/mLを超えていることとし、1次治療で奏効が得られていないことは12カ月以内のPSAの上昇と定義した。

 データの追跡は、2次治療開始から、入手可能なデータの終了、データカットオフ日、死亡のいずれかまでとした。転帰は、PSA奏効(PSA値が10ng/mLの患者では2次治療開始から50%以上の低下)、3カ月と6カ月の時点の最良のPSA奏効、全生存期間(OS)とした。

 mCRPC患者のうち、1次治療のAR阻害薬で奏効が得られなかった患者は345人だった。このうち2次治療でタキサンによる化学療法を受けた患者は147人(化学療法群)で、ドセタキセルは128人、カバジタキセルは19人に投与されていた。AR阻害薬の投与を受けた患者は198人(AR阻害薬群)で、アビラテロンは28人、エンザルタミドは170人に投与されていた。

 2次治療開始時に、化学療法群はAR阻害薬群と比べて、年齢が若く(中央値:74歳 vs 79歳、p<0.001)、予後因子で示される予後は不良だった。予後因子は、Halabiのリスクスコアの平均(JCO 2014:32:671-7、158.5 vs 136.8)、平均PSA値(439.0ng/mL vs 231.4ng/mL)、平均LDH値(343.7U/L vs 233.9U/L)、平均ALP値(240.9U/L vs 166U/L)、平均ヘモグロビン値(11.2g/dL vs 11.9g/dL)、365日あたりのオピオイドの使用(41.5% vs 21.7%)、アルブミン値が正常下限未満の患者の割合(24.5% vs 14.6%)だった(いずれもp<0.05)。

 PSA奏効については、化学療法群はAR阻害薬群と比べて多く得られ、3カ月時はそれぞれ33.0%と19.2%で調整オッズ比は2.09、p=0.015、6カ月時はそれぞれ40.9%と24.6%で調整オッズ比は2.27、p=0.005だった。

 OS中央値は、2群間の患者背景と予後因子の調整前は有意差はなかった(p=0.687)。調整後は化学療法群でOSの改善がみられたが、有意差には至らず、調整ハザード比は0.81、p=0.148だった。

 ただし、予後不良因子による複数のサブグループでは、化学療法群のOSがAR阻害薬群と比べて有意に改善した。改善がみられたのは、Halabiの中間リスクから高リスクのスコアの患者(調整ハザード比0.55、p=0.009)、ヘモグロビン値11g/dL未満の患者(調整ハザード比0.41、p=0.002)、LDHが正常上限を超える患者(調整ハザード比0.18、p=0.014)、アルブミン値が正常下限未満の患者(調整ハザード比0.42、p=0.020)だった。

 研究者らは、1次治療のエンザルタミドやアビラテロンに抵抗性を示した患者では、2次治療でもう一方のAR阻害薬を投与すると有効性が低下し、交差耐性により効果が減じる可能性があると考察。一方、タキサンによる化学療法は抗腫瘍効果を維持し、大きな有用性があり、AR阻害薬とタキサンによる化学療法の間の交差耐性は少ないことが示唆されるとした。

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