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2016/3/11

HER2陽性乳癌の診断後短期間のトラスツズマブとラパチニブの併用投与で有意な腫瘍縮小

横山勇生

 HER2陽性乳癌の診断後に、術前療法として化学療法なしにトラスツズマブとラパチニブの併用投与を受けた患者の約4分の1で癌が短期間に有意に縮小または認められなくなった臨床試験の結果が公表された。オランダアムステルダムで開催中の欧州乳癌学会(EBCC-10)で、英Manchester大学のNigel Bundred氏によって発表された。

 この臨床試験は多施設試験であるUK EPHOS-B試験。2010年11月から2015年9月までに、手術可能なHER2陽性乳癌患者257人が集められた。試験は2つのパートから構成された。

 まず始められたパート1では、130人の患者が術前療法を受けない群(対照群)、トラスツズマブのみの術前療法を受ける群、ラパチニブのみの術前療法を受ける群に分けられ、11日間後に手術を受けた。

 しかし、その後トラスツズマブとラパチニブの併用による抗腫瘍効果の増強が報告されたことから、試験の方法に変更が加えられ、2013年8月からパート2が行われた。パート2で127人が対照群、トラスツズマブのみを投与される群、トラスツズマブとラパチニブを併用投与される群に割りつけられた。全ての患者は手術後標準的なケアを継続して受けた。

 試験において、癌の診断確定のために行われた最初のバイオプシーで得られた検体と手術の際に得られた検体で評価が行われた。診断時と手術時の検体で、腫瘍増殖指標であるKi67値のレベルの減少、アポトーシスの増加について調べられた。さらに、手術で得られた検体の病理学的な解析も行われ、病理学的完全奏効(pCR)が得られているか、微小残存病変(MRD、直径5mm以下の腫瘍)となっているかが評価された。

 2016年2月に行われたパート2の患者の解析の結果、Ki67値の減少が認められただけでなく、トラスツズマブとラパチニブの併用投与を受けた患者で11%がpCRが得られ、17%がMRDとなっていた。一方、トラスツズマブのみを投与された患者ではpCRが得られたのは0%、MRDが得られたのは3%、対照群にはpCR、MRDが得られた患者はいなかった。併用療法で効果が得られた患者の中にはステージ2の乳癌患者も含まれていた。

 EPHOS-B試験は、診断から手術まで2週間以内に化学療法なしにトラスツズマブとラパチニブの併用投与を行った唯一の試験になるという。今まで報告された試験のほとんどは治療後数カ月たってからの評価を行っている。

 Bundred氏は「今回の結果から手術を待っている間に治療を行うことで、特に抗HER2療法に感受性の高い患者を同定できる可能性があり、HER2陽性乳癌患者の個別化治療につながるかもしれない」とした。

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