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2015/11/6

進行乳癌患者ではインスリン抵抗性が独立した予後因子に【ABC3】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する乳癌で、糖尿病ではないがインスリン値が正常よりも高い患者は、インスリン値が正常の患者と比べて有意に予後不良となることがわかった。この知見は、11月5日から7日までポルトガル・リスボンで開催されているAdvanced Breast Cancer Third International Consensus Conference(ABC3)で、イタリアE.O. Ospedali GallieraのNicoletta Provinciali氏によって発表される。

 早期乳癌患者におけるインスリン高値の影響は知られているが、今回の発表では、初めて進行乳癌患者でインスリ抵抗性が予後不良につながることが示された。

 Provinciali氏らのチームが検討の対象としたのは、転移を有する乳癌患者125人(年齢中央値約60歳)で、患者に糖尿病はなく、全例がHER2陰性で、臨床試験の治療の一部としてファーストライン治療で化学療法を受けていた。研究チームは、インスリン抵抗性と無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)との関係を評価した。

 研究者らはHOMA法を用いて、個々の患者のインスリン感受性を評価した。インスリン抵抗性指数の正常範囲は約2で、2.5以上の場合はインスリン抵抗性があると考えられる。今回の検討では、対象中46.95%がインスリン抵抗性ありに分類され、40.5%は過体重、16.37%はBMI 30以上の肥満だった。

 結果として、PFS中央値は、HOMA法によるインスリン抵抗性指数が2.5未満の患者では約11.5カ月、同指数が2.5以上の患者では約8.5カ月となった。

 Provinciali氏は「転移を有する乳癌患者ではインスリン抵抗性が有意に予後不良と相関し、代謝の状態が予後に影響することについて、明確なエビデンスを見出した。このような患者に予後を改善する機会を提供するため、インスリンに関する代謝をターゲットとする方法を考える必要がある」と話す。

 癌細胞の特徴の1つは、急速かつ制御不能に増殖し、癌以外の細胞で発生するプログラム細胞死に抵抗する能力である。癌の発生と進行には増殖因子が必須であり、インスリンは癌細胞の発生にどのように影響するかは不明であるが、全身組織の重要な増殖因子である。

 研究者らによると、今回明らかになった問題に取り組む方法として、食生活の改善や運動量の増加など、生活様式をシンプルに変えること、そしてメトホルミンのような安価で広く市販されている抗糖尿病薬の使用などが考えられる。さらに癌の進行に対するインスリン抵抗性の影響について意識を高めることも必要だ。

 Provinciali氏は「個々の患者の代謝について、今後は身体活動と食事の影響を評価する試験に目を向けていきたい。すべての進行乳癌患者は、このような生活様式の変化がもたらす効果について、助言を受けるべきと考える」と結論している。

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