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2015/9/30

TKIとmTOR阻害薬による口内乾燥と口腔内灼熱感が過飽和リン酸カルシウム含嗽液で緩和、フェーズ3試験の解析結果【ECC2015】

森下紀代美=医学ライター

 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)とmTOR阻害薬の投与を受けた癌患者において、過飽和リン酸カルシウム含嗽液(supersaturated calcium-phosphate rinse:SCPR)と0.9%塩化ナトリウム水溶液(NaCl)は薬剤に関連する口腔内の症状を緩和し、SCPRは口内乾燥と口腔内灼熱感の緩和に寄与することが、フェーズ3のCOMTT試験から示された。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催されたEuropean Cancer Congress 2015(ECC2015)で、オランダLeiden University Medical CenterのC.Boers-Doets氏が発表した。

 Boers-Doets氏らは、TKIとmTOR阻害薬に関連する口腔内の症状は、NaClと比べてSCPRでより緩和するとの仮説を立て、検証した。

 同試験は、二重盲検、クロスオーバーデザインのランダム化比較試験。対象は、試験登録時にスニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、エベロリムス、テムシロリムスの投与によるグレード1以上の口腔内の症状がある患者だった。口腔内の有害事象として、摂食に問題がある、嚥下困難、口内乾燥、口腔内の疼痛、味覚の変化、アフタ性潰瘍のうち、1つ以上を有することとした。

 第1含嗽期(14日間)は、SCPRまたはNaClを30mL使用し、1日4回、各2分間含嗽した。第2含嗽期(14日間)では、第1含嗽期とは逆の含嗽液に切り換えた。主要評価項目は、選択した口腔内の症状(アフタ性潰瘍、口腔内の疼痛、味覚の変化、嚥下困難、経口摂取困難、灼熱感、口内乾燥)の患者報告による重症度の評価だった。

 患者報告による口腔内の症状は、modified Vanderbilt Head and Neck Symptom Survey 2.0(VHNSS)の10点法のスコアを用いて、週3回評価した。VHNSSは、口腔内の症状に関する48項目で構成される質問票。同スコアを繰り返し測定し、ANOVA法で評価した。

 60人が登録され、59人で評価が可能だった。投与された薬剤の内訳は、19人がエベロリムス、15人がスニチニブ、14人がパゾパニブ、10人がソラフェニブ、1人がテムシロリムスだった。診断の内訳は、24人が転移を有する腎細胞癌、11人が転移を有する乳癌、6人がGIST、5人が肝細胞癌、13人はその他の癌だった。

 ブロックランダム化により、開始時は両群がアンバランスとなった。評価可能な59人中、1群はNaClで開始する39人、2群はSCPRで開始する20人とした。1群の27人、2群の10人がクロスオーバーに進んだ。計49人がNaCl、計47人がSCPRで含嗽した。

 対象59人のVHNSSスコアの中央値は0.88(範囲:0-5.51)となった。全対象において、NaClとSCPRによる含嗽はいずれも第1含嗽期のVHNSSスコアの中央値を低下させ、両群間に差は認めなかった。

 ただし、予備的な解析では、第1咳嗽期にNaCl、第2咳嗽期にSCPRを使用した場合により改善が認められた。第1含嗽期でNaClを使用すると、VHNSSスコアは経時的に有意に低下し(p=0.001)、第2含嗽期でSCPRを使用した場合は有意ではないものの(p=0.085)、さらに低下した。ANOVA法では、VHNSSスコアは1群で1.64から0.81へ、50%低下した(p=0.1)。第1含嗽期でSCPR、第2含嗽期でNaClを使用する順序では、このような低下はみられなかった。

 同様の所見は、口内乾燥と口腔内乾燥で強くみられ、第1含嗽期でNaCl、第2含嗽期でSCPRを使用した場合に、VHNSSスコアの継続的な低下がみられた。VHNSSスコアの中央値は、口内乾燥ではSCPR 0.31(範囲:0-6.25)、NaCl 0.50(範囲:0-7.63)(p=0.004)、口腔内灼熱感では、SCPR 0.75(範囲:0-10)、NaCl 1.25(範囲:0-8.50)だった(p=0.017)。

 Boers-Doets氏は「今回の結果は、ESMOガイドラインの含嗽に関する推奨を支持するもの」と話した。

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