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2015/9/28

ブースト照射は早期乳癌で局所再発の危険因子を持つ患者に有効、20年の追跡結果【ECC2015】

森下紀代美=医学ライター

 若年であること、ハイグレードの浸潤性乳癌、浸潤性乳癌への非浸潤性乳管癌(DCIS)の付加は、局所再発率を上昇させる予後不良因子であり、これらの因子をすべて有する高リスクの患者ではブースト照射で局所再発のリスクが大きく低下することが、フェーズ3のEORTCのboost no-boost試験の20年に及ぶ長期追跡結果から明らかになった。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催されているEuropean Cancer Congress 2015(ECC2015)で、スイスClinique des GrangettesのConny Vrieling氏が発表した。

 同試験は、EORTC Radiation Oncology and Breast Cancer Groupによるフェーズ3のランダム化比較試験である。

 同試験には早期乳癌患者5318人が登録された。患者の乳癌の腫瘍径は0-5cmで、乳房温存手術で顕微鏡的完全切除を行い、50Gyの全乳房照射を行った後に、非ブースト照射群、または16Gyのブースト照射を行う群にランダムに割り付けられた。追跡期間中央値は18.2年となった。

 顕微鏡的完全切除が行われたのは5318人で、非ブースト照射群は2657人、ブースト照射群は2661人となり、このうちそれぞれ801人と815人の計1616人を病理学的審査の対象とした。1616人のランダム化割り付け時の年齢中央値は54歳、優位病変の直径は15mm、腋窩リンパ節転移陰性は78%、エストロゲン受容体陽性は72%、プロゲステロン受容体陽性は64%、タモキシフェンの投与は23%、化学療法は16%に行われた。ハイグレードの浸潤性乳癌の患者は23%、浸潤性乳癌の切除断端陰性は64%だった。DCISは58%に存在し、低悪性度は24%、中悪性度は44%、高悪性度は31%だった。DCISの切除断端陰性は44%だった。

 同試験の追跡中央値10年の解析では、若年であることとハイグレードの浸潤性乳癌が局所再発の最も重要な危険因子であるが、切除断端の状態は有意な影響を及ぼさないことが示された。16Gyのブースト照射は、若年であることとハイグレードの浸潤性乳癌による悪影響を低下させることもわかった。

 今回の追跡中央値18.2年の解析では、1616人の初回のイベントとして160件の再発を認めた。20年の累積局所再発率は、非ブースト照射群17%、ブースト照射群12%となった(p<0.001)。

 単変量解析では、ブースト照射(ハザード比0.59、p=0.001)、タモキシフェンの使用(ハザード比0.37、p<0.001)が局所コントロールと有意に相関した。一方、若年であること(ハザード比0.94、p<0.001)、DCISの存在(ハザード比1.78、p=0.002)、ハイグレードの浸潤性乳癌(ハザード比1.54、p=0.03)は、局所再発のリスクの増大と有意に相関した。

 多変量解析では、局所コントロールを改善する因子としてブースト照射が残った(ハザード比0.62、p=0.02)。若年であること(p<0.001)、DCISの存在(ハザード比2.15、p=0.001)は局所再発のリスクの増大と有意に相関した。若年であることのハザード比は、30歳では2を超え、その後低下し、50代後半以降に軽度上昇した。今回の解析では、ハイグレードの浸潤性乳癌は有意な相関は示さなかった。

 50歳未満の患者では、ブースト照射により、20年の累積局所再発率が24%から15%に低下した(ハザード比0.51[95%信頼区間:033-0.77]、p=0.002)。

 ハイグレードの浸潤性乳癌では最初の5年間の再発率が高かった(ハザード比3.10、p<0.001)が、その後低下した(ハザード比0.73、p=0.29)。DCISの存在も局所再発のリスクを有意に増大し、特に5年後以降に増大を認めた。浸潤性乳癌にDCISが付加した患者では、ブースト照射により、20年の累積局所再発率が22%から14%に低下した(ハザード比0.47[95%信頼区間:0.31-0.69]、p<0.001)。

 高リスクの集団(50歳未満、ハイグレードの浸潤性乳癌、DCISの付加)では、ブースト照射により、20年の累積局所再発率が38%から9%に低下した(ハザード比0.21、p=0.002)。

 ブースト照射と全身療法を両方行った患者は、いずれも行わなかった患者、ブースト照射のみを行った患者、全身療法のみを行った患者と比較して、局所再発のリスクが最も低下した。

 Vrieling氏は「今回示された危険因子の有無により、追跡を適合させることができると考える。危険因子の明白な影響を正確に評価するためには、臨床試験の長期追跡が必要」と述べた。

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