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2015/9/28

atezolizumabが進行尿路上皮癌患者の奏効率を改善、奏効期間も持続【ECC2015】

森下紀代美=医学ライター

 局所進行または転移を有する尿路上皮癌でプラチナ製剤ベースの化学療法による治療歴がある患者に対し、抗PD-L1抗体atezolizumab(MPDL3280A)は奏効率を有意に改善し、奏効期間は持続的であることが、フェーズ2のIMvigor 210試験から示された。PD-L1の発現量が高いほど奏効率も高かった。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催されているEuropean Cancer Congress 2015(ECC2015)で、米国Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのJonathan E. Rosenberg氏が発表した。

 進行尿路上皮癌は、プラチナ製剤による化学療法で増悪した後は致死的な疾患となり、単剤療法による全生存期間(OS)中央値の改善は報告されていない。

 IMvigor210試験の対象は、局所進行または転移を有する尿路上皮癌で、組織学的に移行上皮癌が優勢な患者だった。プラチナ製剤ベースの化学療法を施行中または施行後に増悪していることとし、前治療のライン数は限定しなかった。PD-L1の発現は問わなかったが、PD-L1の発現量測定のため、腫瘍組織が評価可能であることとした。

 患者は2つのコホートのいずれかに登録された。このうちコホート1は、治療歴はないが、ファーストライン治療としてのプラチナ製剤ベースの治療が適用とならない患者、コホート2は、プラチナ製剤ベースの治療中または治療後に増悪した患者とされた。

 atezolizumabによる治療は1サイクルを21日として、1200mgを1日目に投与し、増悪を認めるまで(コホート1)、または臨床上の有用性が失われるまで(コホート2)、投与を継続した。主要評価項目は奏効率で、中央の独立審査委員会と試験担当医師が評価した。奏効の評価は9週毎に行い、54週以降は12週毎とした。奏効率がヒストリカルに示された10%を超えて帰無仮説が棄却された場合に、主要評価項目の達成と判断することとした。副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、OS、安全性だった。

 今回はコホート2のデータが発表された。2015年5月をデータカットオフ日とし、316人が登録され、試験治療を受けた311人が安全性と有効性の解析対象となった。対象の年齢中央値は66歳、男性は78%、転移に対し2レジメン以上の治療を受けた患者は40%、シスプラチンベースの化学療法を受けた患者は74%、ヘモグロビン値が10g/dL以下の患者は22%、内臓転移を有する患者は78%、肝転移を有する患者は31%、ECOG PS 1の患者は62%を占めた。ベースラインの患者背景は、PD-L1の発現によるサブグループの間で有意差はなかった。

 PD-L1を測定する免疫組織化学法(IHC)にはVENTANA PD-L1(SP142)CDxアッセイを用い、腫瘍浸潤免疫細胞(IC)でのPD-L1の発現を前向きに測定し、IHCのスコアで3段階に分類した。IC0(<1%)の患者は103人(33%)、IC1(≧1%で<5%)の患者は108人(35%)、IC2/3(≧5%)の患者は100人(32%)となった。

 完全奏効(CR)は12人、部分奏効(PR)は35人で得られた。IC2/3の患者、IC1/2/3の患者、全対象で奏効率の有意な改善が認められた。奏効率は、IC2/3の患者で27%(p<0.0001)、IC1/2/3の患者で18%(p=0.0004)、全対象で15%(p=0.0058)となり、10%を超えた。奏効率は独立審査委員会と試験担当医の間で一致していた。奏効率は、IC1の患者では10%、IC0の患者では9%だった。

 奏効は持続的であり、奏効期間はPD-L1の発現量によるサブグループのすべてで中央値に到達していない。追跡期間中央値は7カ月で、奏効が得られた47人中43人(92%)では、データカットオフの時点も奏効が持続していた。

 PFS中央値は、IC2/3の患者、IC0/1の患者、全対象でいずれも2.1カ月だった。OSについては予備的なデータであるが、追跡期間中央値7カ月におけるOS中央値はIC2/3の患者で未到達、IC0/1の患者で6.7カ月、全対象で7.9カ月となった。

 治療期間中央値は12週、投与回数中央値は5回だった。有害事象の発生率は、atezolizumabのこれまでの臨床試験で観察された所見と一致していた。全グレードの有害事象は66%、グレード3-4の有害事象は15%に発現し、最も多かったのは疲労感(2%)だった。患者の3%は有害事象により治療中止となった。治療関連死は認めず、多くの有害事象はグレードが低く、忍容性は良好だった。

 グレード3-4の免疫介在性の有害事象は4%に発現し、肺臓炎(<1%)、呼吸困難(<1%)などだった。免疫介在性の腎毒性は今日まで観察されていない。

 Rosenberg氏は「atezolizumabは転移を有する尿路上皮癌の標準的治療を変える可能性がある」と述べた。同氏によると、転移を有する尿路上皮癌で初回治療後に増悪した患者を対象として、atezolizumabと化学療法を比較するフェーズ3試験が進行中であるという。

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