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2015/9/27

染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍患者の治療選択肢としてtrabectedinは有望、OSは17.7カ月に【ECC2015】

森下紀代美=医学ライター

 染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍患者を対象として、新規の抗悪性腫瘍薬trabectedinを投与する群と支持療法(BSC)を行う群をしたフェーズ2試験の最終解析から、trabectedinにより増悪や死亡のリスクが大きく低下し、全生存期間(OS)中央値は17.7カ月と有望な結果となったことがわかった。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催されているEuropean Cancer Congress 2015(ECC2015)で、岡山大大学院医歯薬学総合研究科運動器医療材料開発講座の国定俊之氏が発表した。

 trabectedinは海洋生物由来の新規の抗悪性腫瘍薬で、DNAの副溝(minor groove)に選択的に結合し、DNA修復機構を遮断して細胞周期と増殖を阻害する。さらに転写因子とDNAの相互作用も阻害する。

 日本では、染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍で化学療法による治療歴がある患者を対象に、trabectedinをBSCと比較して評価する非盲検、多施設共同、フェーズ2のランダム化比較試験が行われ、有効性が報告された(A. Kawai, et al. Lancet Oncol 2015;16:406-16)。

 今回は、同試験の主要解に続く最終解析の結果が発表された。

 同試験の対象は、組織学的に確認された染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍(骨外性Ewing肉腫[EES]、粘液型/円形細胞型脂肪肉腫[MLS]、滑膜肉腫[SS]など)で、標準的な化学療法に不応・不耐であることとし、MLS、SS、EESの患者はアントラサイクリンの投与を受けていることとした。前治療の化学療法は最大4ラインまでとした。ベースラインで1つ以上の測定可能病変を有し、過去6カ月間に実施された画像評価との比較で増悪(RECISTによる)が確認されていることとされた。患者を組織型(胞巣型横紋筋肉腫、EES、MLS、SS vs その他の染色体転座を伴う悪性軟部肉腫)で層別化し、trabectedinを投与する群(trabectedin群)またはBSC群に、1:1でランダムに割り付けた。

 trabectedin群では、1サイクルを21日として、1日目にtrabectedin1.2mg/m2を24時間かけて持続静脈内投与した。主要評価項目はPFS、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、病勢コントロール率(DCR)、3カ月時と6カ月時の無増悪率(PFR)、安全性だった。腫瘍の評価はCTまたはMRIで4、8、12、18、24週時とその後は8週毎に行い、増悪(PD)が確認された場合、BSC群の患者にはtrabectedinを単群で検討する試験に登録する機会が与えられた。

 計76人が登録され、有効性の解析は73人で行われた。trabectedin群37人、BSC群36人となった。trabectedin群とBSC群の年齢中央値はいずれも39.0歳、男性はそれぞれ56.8%と61.1%で、組織型やその他の患者背景にも有意差はなかったが、前治療のレジメン数は、BSC群と比べてtrabectedin群で少ない患者が有意に多かった。追跡期間中央値は22.7カ月だった。

 主要評価項目であるPFS中央値は、trabectedin群5.6カ月(95%信頼区間:4.1-7.4)、BSC群0.9カ月(95%信頼区間:0.7-1.0)、ハザード比0.11(95%信頼区間:0.05-0.22)となった(p<0.0001)。

 奏効率は、trabectedin群10.8%、BSC群0.0%(p=0.115)、DCRはそれぞれ70.3%と2.8%(p<0.0001)となった。3カ月時と6カ月時のPFRは、trabectedin群では70.2%と38.6%、BSC群では3.3%と0.0%だった。

 OS中央値は、trabectedin群17.7カ月(95%信頼区間:12.8-26.4)、BSC群12.2カ月(95%信頼区間:7.0-24.0)、ハザード比0.74(95%信頼区間:0.41-1.31)となった(p=0.296)。

 trabectedinでは忍容性も良好だった。

 同試験の対象中、後治療を受けた患者はtrabectedin群28人(75.7%)、BSC群32人(88.9%)で、このうち化学療法を受けた患者はtrabectedin群14人(50.0%)、BSC群30人(93.8%)だった。使用された薬剤は、trabectedin群ではパゾパニブが6人(21.4%)で最も多く、BSC群では29人(90.6%)がtrabectedinの投与を受けた。

 OSでは有意差は示されなかったが、国定氏は、BSC群で80%を超える患者がtrabectedinにクロスオーバーした状況が寄与した可能性があるとし、「trabectedinは、染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍で標準的な化学療法施行後の患者に対し、新たな治療選択肢となると考えられる」と結論した。

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