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2015/9/10

進行NSCLCに対する化学療法+ベバシズマブにセツキシマブを追加しても生存への有用性は得られず【WCLC2015】

森下紀代美=医学ライター

 進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、化学療法+ベバシズマブにセツキシマブを追加しても生存への有用性は得られず、EGFR-FISH陽性(FISH+)患者においても同様であることが、フェーズ3のSWOG S0819試験から示された。ただし、FISH+で、扁平上皮癌の患者とベバシズマブによる治療に不適格な患者では、有用な可能性も示唆された。米国デンバーで9月6日から9日まで開催された第16回世界肺癌学会(WCLC2015)で、米国Yale Cancer CenterのRoy S. Herbst氏が発表した。

 過去のRCTでは、進行NSCLCで患者選択を行わない場合、化学療法にEGFR-TKIを追加しても生存に対する有用性は証明されなかった。一方、パイロット試験では、化学療法と抗EGFR抗体の併用で抗腫瘍効果が増すことが報告されている。Herbst氏らは過去の研究(SWOG 0342)において、FISH法で測定したEGFR遺伝子のコピー数により、化学療法とセツキシマブの併用で最も有用性が得られる患者が特定できる可能性を示している。

 SWOG S0819試験は、National Clinical Trials Network(NCTN)の多施設共同、非盲検のフェーズ3試験。対象は、組織学的または細胞診断学的に確認されたIV期のNSCLCで、新規に診断された、または手術や放射線療法の施行後に再発した患者だった。脳転移を認める患者はコントロールされていれば可とされた。全例でEGFR遺伝子をFISH法で検査できる腫瘍組織があることとされた。ランダム化は、ベバシズマブによる治療への適格性、喫煙歴、M因子で層別化した。

 治療は21日を1サイクルとし、パクリタキセル+カルボプラチンを投与し、適格な患者にはベバシズマブを追加し、6サイクルまで行い、その後ベバシズマブを増悪または受容不能な毒性の発現まで継続する群(対照群)、これらの治療にセツキシマブを加える群(セツキシマブ群)に、患者を1:1でランダムに割り付けた。

 同試験の主要評価項目は2つで、FISH+患者における無増悪生存期間(PFS)と全対象における全生存期間(OS)だった。副次的評価項目は、ベバシズマブに適格な患者と不適格な患者を比較した臨床転帰(PFS、OS)、安全性などだった。さらに予備的な評価項目として、扁平上皮癌でFISH+患者のOSなども評価した。

 2009年7月から2014年6月までに1333人が登録され、1313人が適格とされた。対照群は657人となり、このうちベバシズマブに適格な患者は275人、不適格な患者は382人だった。一方、セツキシマブ群は656人となり、このうちベバシズマブに適格な患者は279人、不適格な患者は377人だった。EGFR-FISHの状態は976人で判定され、400人(41%)がFISH+だった。扁平上皮癌は対照群の25%、セツキシマブ群の24%に認められた。

 結果として、主要評価項目である全対象のOSに有意差はなく、OS中央値はセツキシマブ群10.9カ月、対照群9.4カ月、ハザード比は0.94(95%信頼区間:0.84-1.06)となった(p=0.34)。PFSにも有意差はなく、PFS中央値はセツキシマブ群4.6カ月、対照群4.5カ月、ハザード比は0.98(95%信頼区間:0.87-1.09)だった(p=0.68)。

 もう1つの主要評価項目であるFISH+患者におけるPFSにも有意差はなく、PFS中央値は、セツキシマブ群5.4カ月、対照群4.8カ月、ハザード比は0.91(95%信頼区間:0.74-1.12)だった(p=0.37)。FISH+患者のOS中央値にも有意差はなく、OS中央値はそれぞれ13.4カ月、9.8カ月、ハザード比は0.83(95%信頼区間:0.67-1.04)となった(p=0.10)。

 さらにベバシズマブに適格な患者でみると、適格な患者全体とFISH+患者のいずれにおいても、OSに有意差はなかった。OSのハザード比は、それぞれ1.04(95%信頼区間:0.86-1.25)、0.97(95%信頼区間:069-1.38)だった(それぞれp=0.70、p=0.88)。

 ベバシズマブに不適格な患者では、FISH+患者でOSに有意差がみられた。OS中央値は、セツキシマブ群11.2カ月、対照群8.7カ月、ハザード比は0.75(95%信頼区間:0.57-0.998)となった(p=0.048)。不適格な患者全体では有意差はなく、ハザード比は0.88(95%信頼区間:0.76-1.03)だった(p=0.12)。

 扁平上皮癌のFISH+患者では、有意にOSが改善した。OS中央値は、セツキシマブ群11.8カ月、対照群6.4カ月、ハザード比は0.56(95%信頼区間:0.37-0.84)となった(p=0.006)。扁平上皮癌の患者全体では有意差はなく、ハザード比は0.85(95%信頼区間:0.67-1.08)だった(p=0.18)。

 セツキシマブ群の忍容性は全体的に良好で、有害事象の範囲は過去の報告と一致していた。セツキシマブ群(ベバシズマブの投与あり/なし)で多く観察されたグレード3/4の有害事象は、骨髄抑制(44%/44%)、代謝/臨床検査値の異常(18%/20%)、皮膚障害(7%/17%)、消化管障害(14%/16%)などだった。

 Herbst氏は「今回の知見は、化学療法に抗EGFR抗体を併用する患者の決定において、新たなマーカーを用いることを裏付けるもの」とし、「患者選択におけるEGFR-FISHの役割は、今回のデータおよび抗EGFR抗体necitumumabを検討したフェーズ3のSQUIRE試験から示唆されている」と述べた。

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