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2015/9/2

低リスク前立腺癌のactive surveillanceで死亡率は低い、Johns Hopkinsの長期結果

八倉巻尚子=医学ライター

 低リスクの前立腺癌におけるactive surveillance(積極的な監視療法)で、前立腺癌による死亡や転移した割合は低いことが、米Johns Hopkins病院が行っているActive Surveillance Programの15年間の長期結果で明らかになったと、Johns Hopkins Medicineが8月31日に発表した。この成果はJournal of Clinical Oncology誌電子版8月31日号に掲載された。

 過去20年間にわたり登録された1298人のうち、前立腺癌で死亡したのは2人、転移性疾患に至ったのは3人であった。「我々の研究は、低リスク前立腺癌のActive Surveillance Programに慎重に選ばれて登録された患者が、自分たちの病気によって悪くなることはないようだと、男性たちを安心させるだろう」と、Johns Hopkins病院泌尿器科のH. Ballentine Carter氏は述べている。

 Carter氏は、この研究の結果はactive surveillanceにおける医師の慎重な患者選択によるものであるとしている。「より長いフォローアップで、データは変わるかもしれないが、この年齢群の男性は他の原因で死亡する傾向があるため、それほど劇的には変わりそうにない」という。ただし、研究に登録した男性の大半が白人であるため、より悪性度の高い傾向があるアフリカ系アメリカ人男性にはこれらの結果は適用できないと警告する。

 このactive surveillance programにおけるリスクレベルは悪性度の判定に使われるグリーソンスコアで評価された。研究が1995年に開始されたときは、患者が75歳になるまで定期的な生検を実施した。しかし現在は最も低いリスク群においては行っていない。なお生検を行うときはMRIガイド下で行い、病理医により生検組織から前立腺癌の悪性度のバイオマーカーであるPTENタンパク質のレベルが調べられることもある。

 1298人のうち、47人は前立腺癌ではない原因で死亡し、多くは心血管疾患であった。47人中9人は前立腺癌の治療を受けた。2人は前立腺癌で死亡し、うち1人はactive surveillance programに登録して16年後であった。もう1人の男性は、Johns Hopkinsの医師がsurveillanceを勧めたが、患者は別の病院での監視を求め、診断後15カ月で死亡した。また別の3人は転移性前立腺癌と診断された。

 この研究の15年間に、前立腺癌以外による死亡が前立腺癌死の24倍であった。10年後および15年後において、いずれも前立腺癌の疾患特異的生存率は99.9%、転移のない生存率は99.4%であった。

 467人(36%)はactive surveillance programの登録から中央値で2年以内に、より悪性度の高い前立腺癌に分類し直された。超低リスク前立腺癌の男性において、登録から外れるレベルに再分類される累積危険率は5年間に13%、10年間に21%、15年間では22%だった。低リスクの男性では、累積危険率は19%、28%、31%まで増加した。また同じ期間で、致死的となりうるが治療可能であるレベルに再分類される累積危険率は、超低リスクおよび低リスクの前立腺癌においてわずか5.9%だったと、Carter氏は言っている。

 また109人は、前立腺癌の状態に重大な変化がないにもかかわらず、外科的治療または放射線治療を選んだ。癌が分類し直された男性では、361人が治療を選んだ。

 北欧では80%ほどがactive surveillanceを選んでいるが、米国人では適格条件にある前立腺癌患者の30〜40%がactive surveillanceを選ぶとCarter氏は見積もっている。米国で少ない理由は、治療の機会を失うことへの心配から生じていると彼は述べている。

 Carter氏によれば、active surveillanceの有用性の1つは、合併症の割合と前立腺癌治療のコストの低下にある。最近の報告では、前立腺癌治療(放射線治療または手術)を受けている男性の20%は、最初の治療に関連した合併症で治療5年以内に再入院した。

 「我々のゴールは、手術または放射線治療を必要としない男性に対する治療を避けることである。監視療法が安全に行える最もおとなしい癌の男性を同定する能力は、より良い画像技術とバイオマーカーで改善されるだろう」とCarter氏は述べた。

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