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2015/8/20

悪性神経膠腫の小児患者では腫瘍の全摘出で生存期間が延長

森下紀代美=医学ライター

 悪性神経膠腫の小児患者では、手術で可視性の腫瘍をすべて摘出できれば生存期間が延長することが、レトロスペクティブな検討から示された。詳細は、米国脳神経外科コングレス(Congress of Neurological Surgeons)のオフィシャルジャーナルであるNeurosurgery誌9月号に掲載され、オンライン版は8月18日より閲覧可能となっている(H. J. McCrea, et al. Neurosurgery 2015;77(3):443-453)。

 悪性神経膠腫の小児患者では、全摘出で生存期間が良好となることに加え、生存の有用性は男児よりも女児で高いことが示唆された。同論文の筆者の1人、米国Weill Cornell Medical College脳神経外科のJeffrey P. Greenfield氏は、「全摘出は女性患者でより重要であるという、説得力を持つエビデンス」が得られたとしている。

 悪性神経膠腫は重篤であるが稀な脳腫瘍で、小児および青少年の10万人に1人未満の割合で発生する。予後は不良で、小児では再発または増悪する割合が高く、高い死亡率につながっている。2年生存率は45%であるが、増悪を伴わない生存率は25%である。

 今回の検討の対象は、1988年から2010年までに悪性神経膠腫で治療を受けた小児患者97人で、年齢中央値は11歳だった。

 全摘出、すなわち可視性の腫瘍組織をすべて摘出することに成功した患者は、全対象の1/3だった。全生存期間(OS)中央値は、部分摘出を行った患者の1.6年と比べて、全摘出が可能だった患者では有意に改善し、3.4年となった。

 さらに、全摘出が可能だった患者の生存期間の改善は、性別により違いが認められた。OS中央値は、全摘出を行った女児では8.1年だったのに対し、男児では2.4年だった。全摘出が行えなかった患者のOS中央値は、男児と女児でともに1.4年だった。

 また生存期間は、脳内の腫瘍の位置に影響されていたが、悪性神経膠腫の細胞の種類による差はなかった。全摘出により、多型性神経膠芽腫の小児では無再発生存期間や無増悪生存期間が改善した。

 悪性神経膠腫が発生するのは、小児の脳腫瘍の8-12%、成人の脳腫瘍の約30%である。これまで脳神経外科医は、転帰に影響する因子はすべての年齢群で同様と考えていた。しかし、最近の遺伝学的な研究から、小児と成人には明確な違いがあることが示され、神経膠腫に関連する遺伝子変異の違いがどのように疾患の臨床的挙動に影響するのか、研究の必要性が強調されている。

 全摘出はすでに標準的治療となっているが、今回の検討から、悪性神経膠腫の小児患者では生存期間を延長するため、可視性の腫瘍をすべて摘出する重要性を改めて強調している。

 今回の知見に基づき、研究者らは「女性患者では全摘出の達成がより重要で、男性と女性では腫瘍の生物学に違いがあると考えられる」としている。現在、重要とされているのは、遺伝学的および分子的なサブタイプの違いによる影響、特に性染色体や性関連遺伝子の発現のパターンの違いによる影響を調査する研究であり、悪性神経膠腫の男児と女児の生存率の不一致を明らかにするうえで役立つと考えられている。

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