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2015/7/16

進行大腸癌へのTAS-102の効果はレゴラフェニブの前投与の有無に関わらず有効【臨床腫瘍学会2015】

横山勇生

 進行・再発の大腸癌へのTAS-102の効果は、レゴラフェニブの投与経験のある患者とない患者で差がないことが明らかとなった。TAS-102とプラセボを比較した国際共同フェーズ3試験RECOURSEの最新の解析の結果、示されたもの。7月16日から18日まで札幌市で開催されている日本臨床腫瘍学会で、国立がん研究センター東病院の吉野孝之氏によって発表された。

 TAS-102はトリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりに直接DNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼを阻害し、FTDの血中濃度を維持する。

 RECOURSE試験は、無作為割付・二重盲検・プラセボ対照の国際共同フェーズ3試験で、日本の他、北米、欧州、オーストラリアなど13カ国114施設から800人の患者が、2012年6月から2013年10月に登録された。対象は少なくとも2種類以上の標準化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤、イリノテカン、オキサリプラチン、ベバシズマブ、KRAS遺伝子に変異のない野生型の場合では抗EGFRモノクローナル抗体)に不応となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者。TAS-102の有効性を検証することを目的に、患者をTAS-102+支持療法群(534人)またはプラセボ+支持療法群(266人)にランダムに2対1に割り付けた。患者にはTAS-102かプラセボを、4週間を1サイクルとして1日目から5日目と8日目から12日目に35mg/m2投与した。主要評価項目は全生存期間(OS)だった。

 患者の3分の1が日本人(266人)で、3分の2が西洋人(欧州403人、米国99人だった。患者背景で地域別で異なっていたのは、日本はPS 0が70.1%、PS 1が29.3%で、欧州がPS 0が51.1%、PS 1が48.9%、米国がPS 0が41.4%、PS 1が58.6%と、日本人において全身状態が良い患者が多かったことと、日本人では前治療としてレゴラフェニブの投与を受けていた患者はいなかったが、欧州では27.0%、米国では24.2%がレゴラフェニブの投与歴があった。

 試験の結果、TAS-102群のOS中央値は7.1カ月、プラセボ群は5.3カ月、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.58-0.81)、p<0.0001で有意にTAS-102群でOSが延長していた。副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)についても、ハザード比0.48(95%信頼区間:0.41-0.57)、p<0.0001でTAS-102群の方が有意に優れていた。

 地域別の効果の解析では、どの地域でもTAS-102を投与された患者でOSの延長効果が認められた。日本人ではTAS-102群のOS中央値は7.8カ月、プラセボ群は6.7カ月、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.57-1.00)、p=0.047だった。欧州ではTAS-102群のOS中央値は6.8カ月、プラセボ群は4.9カ月、ハザード比0.62(95%信頼区間:0.48-0.80)、p=0.0002だった。米国では、TAS-102群のOS中央値は6.5カ月、プラセボ群は4.3カ月、ハザード比0.56(95%信頼区間:0.34-0.94)、p=0.0277だった。PFS、疾患制御率、副作用発現率についても同様で、地域による差はなかった。

 今回、新たに解析されたのは、欧米の患者におけるレゴラフェニブの前投与歴による効果の解析だった。レゴラフェニブ投与経験のある患者に限定すると、TAS-102群のOS中央値は6.0カ月、プラセボ群は5.5カ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.45-1.05)、p=0.0791とTAS-102群でOSが延長される傾向があった。レゴラフェニブ投与歴のない患者ではTAS-102群のOS中央値は6.7カ月、プラセボ群は4.6カ月、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.49-0.82)、p=0.0004で有意にTAS-102群でOSが延長されていた。ハザード比に大きな差はなくレゴラフェニブの前治療の有無による差はないと考えられた。

 PFSについても レゴラフェニブの投与歴がある患者では、中央値がTAS-102群は1.9カ月、プラセボ群は1.8カ月、ハザード比0.53(95%信頼区間:0.36-0.78)、p=0.0012で有意にTAS-102群で良かった。レゴラフェニブ投与歴のない患者ではTAS-102群のPFS中央値は2.0カ月、プラセボ群は1.7カ月、ハザード比0.40(95%信頼区間:0.31-0.50)、p<0.0001で有意にTAS-102群で良かった。

 吉野氏は「どちらの薬剤も等しく患者に提示できる薬剤だ。皮膚毒性が既にある患者ではTAS-102を投与することを勧める」と語った。

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