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2015/7/3

乳癌患者が化学療法で最も苦痛と感じる脱毛の実態が明らかに、大規模アンケート調査の結果【乳癌学会2015】

森下紀代美=医学ライター

 補助化学療法を受けた乳癌患者1400人以上を対象としたアンケート調査から、化学療法時に患者が最も苦痛と感じるのは悪心や嘔吐ではなく脱毛であり、対象の98%で脱毛を認め、長期に及ぶ患者も含まれることがわかった。同調査は、CSP-HOR(公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターヘルスアウトカムリサーチ支援事業)化学療法に伴う脱毛患者サポートに関するワーキンググループにより行われたもの。7月2日から4日まで東京都で開催されている第23回日本乳癌学会学術総会で、仙台医療センター乳腺外科の渡辺隆紀氏が発表した。

 乳癌補助化学療法により、乳癌患者の生存率は大きく向上した。これまで大きな問題だった悪心・嘔吐は近年大幅に改善されたが、脱毛は依然として患者にとって大きな負担である。しかし、脱毛の経過や程度に関する研究は今までほとんど行われていない。

 そのため、2011年に立ち上げられた同ワーキンググループは、乳癌補助化学療法における脱毛の実態に関する多施設アンケート調査を実施した。目的は、化学療法を受ける患者が美容的な面で困ること、必要とする知識や情報、技術などを明らかにすることだった。

 対象は、過去5年以内にアントラサイクリンまたはタキサンを含む術前後の補助化学療法を終了した乳癌患者で、登録時に非再発であることとした。登録期間は2013年4月から10月までだった。質問項目は、化学療法中に感じた苦痛、頭髪・眉毛および睫毛・爪の状況、ウイッグなどの装具についてなど、65項目にわたった。今回はこのうちの基本的事項に関して報告された。

 回答は、49施設に通院する患者1511人から得られた。このうち有効だった1478人のアンケートを対象に解析を行った。

 対象の平均年齢は54.7歳、化学療法終了後の期間は1年未満が28%、1-2年が24%、2-3年が19%、3-4年が15%、4-5年が14%でバランスがとれていた。化学療法のレジメンでは、アントラサイクリンとタキサンの併用が62%を占めた。

 化学療法中に感じた苦痛の1位は脱毛で、「非常に苦痛」「ある程度苦痛」「やや苦痛」のいずれかと回答した患者は90%を超えた。全身倦怠感、治療期間の長さ、病状や治療への不安、治療にかかった費用などが続いた。悪心・嘔吐は14位で、制吐療法の進歩が反映された結果と考えられた。

 対象の98.4%が脱毛したと回答し、頭髪の脱毛開始時期は化学療法開始後平均18日だった。また、対象の94%は、頭髪の80%以上脱毛したと回答した。眉毛、睫毛が80%以上脱毛したと回答したのは、ともに対象の約60%だった。

 再発毛開始時期は、治療終了後平均3.4カ月だった。化学療法前の状態を基準として、どの程度頭髪が再発毛したかという質問に対しては、化学療法終了後2年で対象の約60%が80%以上の回復と回答した。しかし、5年経過しても約5%の患者は30%以下の回復と答えた。発毛不良の部位は前頭部と頭頂部とする回答が多かった。

 ウイッグは患者の55%が毎日使用しており、購入数は1個と回答した患者が55%だった。ウイッグの平均使用期間は12.5カ月だったが、一部の患者は数年経過してもウイッグが必要だった。ウイッグからの離脱は高齢であるほど困難となる状況も示された。頭髪に関する情報については、看護師から得たと回答した患者が最も多かった。

 渡辺氏は、今まで明らかになっていなかった化学療法による脱毛の概要が見えてきたとし、「今後、ワーキンググループで詳細な報告書を作成・公開し、患者と医療者に向けた教育資材を作成していく」と述べた。

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