このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2015/6/23

がん対策推進協議会が第2期基本計画を中間評価

子宮頸がんは死亡率増加、肝がんは死亡率減少が大幅に加速

福島安紀=医療ライター

第54回がん対策推進協議会の様子。患者関係委員5人が参加して国のがん対策を評価した。

 第51回がん対策推進協議会が、6月10日、厚生労働省内で開かれ、2012年からの5カ年計画である「第2期がん対策推進基本計画」(がん基本計画)の進捗状況を示す中間評価をまとめた。

 がん基本計画では、3つの全体目標を掲げており、その1つは、2005年からの10年間で「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」だ。しかし、国立がん研究センターがん情報対策センターの推計では、2005〜2015年におけるがんの年齢調整死亡率の減少率は17%程度にとどまり、達成が難しい見通しとなった。20%の減少の達成が難しくなったことについて中間報告では、喫煙率半減、がん検診受診率50%が実現できなかったことが要因と分析している。

 2005〜15年の年齢調整死亡率の推移はがん種により大きく異なっているが、最も死亡率の推計減少率が大きかったのは肝がんで47.9%減だった。胃がんも30.8%減少する見込みだが、肺がん(7.5%減)、大腸がん(9.1%減)は減少率が鈍化した。乳がんについては1995〜05年は13.7%増だったが、05〜15年は0.1%減となり、ほぼ横ばいになる見込み。逆に増えているのが子宮頸がんで、5.9%増加する見通しだ。

からだの苦痛が軽減したと回答したのは6割弱
 今回、初めて、厚生労働省の指標研究班(代表者は国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦氏)が、がん診療連携拠点病院(以下、がん拠点病院)で治療を受ける患者に対し「患者体験調査」を実施(調査票回収率55.2%)。その結果が中間報告に反映された。

 がん基本計画では、2つ目の全体目標として、「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」を掲げている。これに関して、患者体験調査で6729人の患者からの回答を集計したところ、「苦痛の制御された状態で、見通しをもって自分らしく日常生活が送ることができている(からだの苦痛の軽減)」と答えた人は57.4%にとどまることが明らかになった。また、「自分の治療について納得のいく治療を選択することができた」と回答した人は84.5%、治療を開始する前に医師からセカンドオピニオンを受けられることの説明を受けた人は40.3%だった。

 第2期がん基本計画で新たに加わった3つ目の全体目標「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」の達成率についても患者体験調査によって検討。家族からの孤立を感じている人は30.7%、職場や近所の人など社会からの孤立を感じている人は22.3%だった。「がん患者の家族の悩みや負担をやわらげてくれる支援・サービス・場所がある」と思う人は37.1%と少なかった。就労とがん治療を両立させるために勤務先から支援が得られたがん患者の割合は68.3%、がん休職後の復職率は84.5%、がん患者のために退職した患者のうち新規就労した人は47.2%だった。

 同研究班は、169か所のがん拠点病院の院内がん登録とDPCデータから5大がん(肺がん、乳がん、肝がん、胃がん、大腸がん)の12〜13年2年間の標準的治療実施率も調べている。報告によると、標準的治療として実施すべき項目のうち低率だったのは、「乳房切除後高リスク症例放射線療法実施率」33.1%、「肺がん術後化学療法実施率」45.0%、「大腸がん術後化学療法実施率」49.6%だった。また、吐き気・嘔吐の副作用が高頻度に出やすい化学療法を行う際には、あらかじめ制吐剤を処方するのが世界標準だが、「高度催吐性リスク化学療法制吐剤処方率」は60.5%と低かった。そもそも、全国にがん拠点病院の整備したのは、どこに住んでいてもレベルの高い最適な治療を受けられる「がんの均てん化」が目的だったが、未だに標準的治療が浸透していない病院も少なくないようだ。


「信頼性の低い情報発信や広告に何らかの規制や指導を」

 協議会委員でNPO法人がんと共に生きる会副理事長の濱本満紀氏は、患者・家族の相談にのってきた経験から、患者の選択も科学的根拠に乏しいインターネット・報道・書籍等や広告に振り回されているとし、次のように要望した。「もう治療法がないと言われた、またはより体に負担が少ない治療を求める患者が、藁にもすがる思いで、信頼性に劣る高額な治療に走ったり、本来受けられるべき治療を受けなかったりで、取り返しのつかない状態に陥った例が後を絶たない。信頼性の低い情報発信や広告に何らかの規制や指導を検討して欲しい」――。

 さらに、同協議会では、「今後のがん対策の方向性について〜これまでに取り組まれていない対策に焦点を当てて〜」とする提言をまとめ、今後推進が必要な事項として、(1)将来にわたって持続可能ながん政策の実現、(2)全てのがん患者が尊厳をもった生き方を選択できる社会の構築、(3)小児期、AYA世代(思春期と若年成人世代)や高齢者等のライフステージに応じたがん対策の推進を求めた。最後に、同協議会会長でがん研究会有明病院長の門田守人氏は、「中間評価と『今後のがん対策の方向性について』を次のステップにつなげ、がん対策を前進させていただきたい」と強調した。

この記事を友達に伝える印刷用ページ