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2015/6/3

再発多発性骨髄腫に対するプロテアソーム阻害薬の直接比較、carfilzomibはPFSをボルテゾミブの倍に【ASCO2015】

森下紀代美=医学ライター

 再発多発性骨髄腫の患者に対し、プロテアソーム阻害薬carfilzomibとデキサメタゾンの併用療法は、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用療法と比べて、無増悪生存期間(PFS)を2倍に延長したことが、フェーズ3のENDEAVOR試験から明らかになった。同試験は、プロテアソーム阻害薬2剤を直接比較した初の試験である。5月29日から6月2日まで米国シカゴで開催された第51回米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)で、ギリシャNational and Kapodistrian University of AthensのMeletios A. Dimopoulos氏が発表した。

 ENDEAVOR試験では、非盲検、多施設共同のランダム化比較試験で、再発多発性骨髄腫患者を対象として、carfilzomibとデキサメタゾンの併用療法とボルテゾミブとデキサメタゾンの併用療法を比較している。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、奏効期間、グレード2以上の末梢神経障害の発生率、安全性だった。

 対象は、1-3のラインで治療歴がある再発多発性骨髄腫の患者だった。ボルテゾミブまたはcarfilzomibによる治療歴がある場合、前治療で部分奏効(PR)以上の効果が得られている、プロテアソーム阻害薬の投与から6カ月以上経過しているなどの条件を満たせば可とした。また、左室駆出率(LVEF)は40%以上、クレアチニンクリアランスは15mL/分以上であることとした。

 carfilzomibとデキサメタゾンの併用療法を行う群(Kd群)またはボルテゾミブとデキサメタゾンの併用療法を行う群(Vd群)のいずれかに、患者を1:1でランダムに割り付けた。層別化は、プロテアソーム阻害薬による前治療(有 vs無)、前治療のライン数(1 vs 2-3)、国際病期分類(ISS、I vs II-III)、投与経路(静脈内投与 vs 皮下投与)で行った。

 Kd群では、1サイクルを28日とし、carfilzomibは1サイクル目の1、2日目のみ20mg/m2とし、その後は56mg/m2に増量して8、9、15、16日目に30分かけて静脈内投与した。デキサメタゾンは20mgを1、2、8、9、15、16、22、23日目に投与した。Vd群では、1サイクルを21日とし、ボルテゾミブ1.3mg/m2を静脈内投与または皮下投与で、1、4、8、11日目に投与した。デキサメタゾンは20mgを1、2、4、5、8、9、11、12日目に投与した。治療は両群ともに、増悪(PD)または受容不能な毒性の発現まで繰り返した。

 27カ国から929人がランダム化に進んだ。Kd群464人、Vd群465人となり、年齢中央値は両群で65歳、75歳以上はそれぞれ17%と14%、ISS分類でIIまたはIII期は両群で56%だった。ベースラインでグレード2の末梢神経障害を認めた患者は両群で2.2%、前治療のレジメン数の中央値は両群で2、前治療でボルテゾミブが使用された患者は両群で54%、carfilzomibが使用された患者はKd群0.4%、Vd群0.2%だった。

 主要評価項目であるPFS中央値は、Kd群18.7カ月、Vd群9.4カ月、ハザード比0.53(95%信頼区間:0.44-0.65)となり、Kd群で有意に改善した(p<0.0001)。

 副次的評価項目である奏効率は、Kd群77%、Vd群63%となり、最良部分奏効(PR)以上はそれぞれ54%と29%、完全奏効(CR)はそれぞれ13%と6%だった(いずれもp<0.0001)。奏効期間中央値は、Kd群21.3カ月、Vd群10.4カ月となった。OSのデータは未完成で、同試験は最終のOSの解析まで継続される。

 治療期間は、Kd群40週、Vd群27週で、Kd群で延長した。全グレードの有害事象は両群の98%に発現し、グレード3以上の事象はKd群の73%、Vd群の67%、重篤な有害事象はそれぞれ48%と36%に発現した。有害事象による減量は、Kd群23%、Vd群48%、有害事象による治療中止はそれぞれ14%と16%だった。有害事象による試験期間中の死亡は、Kd群4%、Vd群3%に発生した。

 グレード3以上の血液毒性では、貧血はKd群15%、Vd群10%、血小板減少はそれぞれ8%と9%に発現した。グレード3以上の上気道感染はKd群1.9%、Vd群0.7%、肺炎はそれぞれ7%と8%に発現した。グレード3以上の高血圧はKd群9%、Vd群3%、呼吸困難はそれぞれ5%と2.2%、疲労感は5%と7%に発現した。また頻度は高くなかったが、グレード3以上の心不全はKd群5%、Vd群1.8%、急性腎不全はそれぞれ4%と3%に発現した。

 またグレード2以上の末梢神経障害は、Kd群6%、Vd群32%に発現した(p<0.0001)。Vd群では、患者の79%が皮下注射でボルテゾミブの投与を受けていた。

 さらにサブグループでみても、Kd群はVd群と比べて、年齢や前治療のボルテゾミブの有無に関わらず、PFSと奏効率が良好な成績だった。

 Dimopoulos氏は「carfilzomibとデキサメタゾンの併用療法は新たな標準治療となると考える」と述べた。

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