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2015/6/3

治療歴が多い多発性骨髄腫患者に抗CD38抗体daratumumabは深い奏効と良好な安全性を示す【ASCO2015】

八倉巻尚子=医学ライター

 前治療3ライン以上、もしくはプロテアソーム阻害薬(PI)と免疫調整剤(IMiD)の両方に抵抗性の多発性骨髄腫に対し、抗ヒトCD38モノクローナル抗体daratumumabの16mg/kg単剤投与は、深い奏効が認められ、優れた忍容性も示されたことが、フェーズ2試験MMY2002(Sirius)で明らかになった。米国Winship Cancer Institute, Emory UniversityのSagar Lonial氏らが、5月29日から6月2日までシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)で発表した。

 daratumumabはCD38を発現している腫瘍細胞に結合する完全ヒト型モノクローナル抗体で、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、アポトーシス等によって細胞死をもたらす。

 試験はオープンラベル国際多施設共同試験で、PIやIMiDを含む前治療が3ライン以上、もしくは前治療数に関わらず、直近のPIとIMiDに抵抗性の多発性骨髄腫患者を対象に行われた。主要評価項目は独立審査委員会による奏効率とした。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間、奏効までの期間、臨床有益率、安全性だった。

 試験は、Simonの2段階デザインで実施された。まずdaratumumabを8mg/kg投与する群と、16mg/kg投与する群に1:1の割合で患者をランダム化した。daratumumabは8mg/kgを4週毎に、もしくは16mg/kgを1週毎に8週間、2週毎に16週間、その後は4週毎に投与した。

 8mg/kg群18人、16mg/kg群16人において、推奨用量は16mg/kgと決定した。続いて、90人を追加登録し、daratumumab 16mg/kgを投与した。

 今回は16mg/kgが投与された患者106人のデータが発表された。

 年齢中央値は63.5歳、国際病期分類システム(ISS)I期が25%、II期が38%、III期が38%、診断からの期間中央値は4.8年だった。前治療数の中央値は5ライン、3ライン以上の患者が82%だった。アルキル化剤の治療歴がある患者が100%、アントラサイクリン系製剤が52%で、自己造血幹細胞移植(ASCT)歴のある患者が80%。IMiDではレナリドミド治療歴のある患者が99%、ポマリドミドが63%、サリドマイドが44%、PIではボルテゾミブが99%、carfilzomibが50%であった。

 また最終ラインの治療に抵抗性の患者が97%で、PIとIMiDに抵抗性の患者が95%、ボルテゾミブ抵抗性が90%、carfilzomib抵抗性が48%、レナリドミド抵抗性が88%、ポマリドミド抵抗性が63%、アルキル化剤抵抗性が77%だった。

 奏効率(ORR)は29%(95%信頼区間:21-39)、厳格なCR(sCR)が3%(3人)、最良部分奏効(VGPR)が9%(10人)、部分奏効(PR)が17%で、臨床的有益率(ORR+最小奏効)は34%だった。年齢や治療ライン数、薬剤抵抗性などのサブグループでも奏効率はあまり変わらなかった。

 フォローアップ期間中央値9.3カ月で、奏効までの期間中央値は1カ月、奏効期間中央値は7.4カ月だった。治療期間が長くなるにつれ奏効が深まる患者が多く見られた。

 PFS中央値は3.7カ月であった。OS中央値には到達していない。1年生存率は65%だった。

 20%以上に見られた有害事象は、倦怠感40%、貧血33%、悪心29%、血小板減少症26%、好中球減少症が23%、背部痛が22%、咳が21%だった。発熱性好中球減少症はなかった。重篤な治療関連有害事象(TEAE)は30%、グレード3/4のTEAEは23%だった。daratumumab関連の有害事象による投与中止はなかった。

 注射関連反応が43%に見られ、ほとんどがグレード1/2で、グレード3は5%、グレード4はなかった。また90%以上は初回投与時に起こっていた。注射関連反応による投与中止はなかった。

 これらの結果から、「治療歴が多い多発性骨髄腫患者において、daratumumabは新たな標準治療となりうる」とした。

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