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2015/6/2

ホルモン療法未治療の進行前立腺癌患者で標準的なホルモン療法へのドセタキセルの追加でOSが改善【ASCO2015】

森下紀代美=医学ライター

 進行前立腺癌でホルモン療法未治療の患者に対し、標準的なホルモン療法にドセタキセルを追加すると全生存期間(OS)が有意に改善することが、現在も進行中の大規模なフェーズ2、3のランダム化比較試験(STAMPEDE)から示された。5月29日から6月2日まで米国シカゴで開催されている第51回米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)で、英University of Warwick、Queen Elizabeth Hospital BirminghamのNicholas David James氏が発表した。

 James氏らは、有効な薬剤を早期に使用することにより、OSに大きな有用性をもたらす可能性があるとの仮設を立て、in vitroで相乗効果が報告され、忍容性が良好と予想されるドセタキセルとゾレドロン酸を選択し検討した。

 STAMPEDE試験では、multi-arm multi-stage(MAMS)デザインを用いており、対照群と試験群は2:1で割り付け、計9群を検討することとしている。最初の検討では、3つの治療アプローチのうち1つまたは2つ、すなわちドセタキセル、ゾレドロン酸、ドセタキセル+ゾレドロン酸を標準治療(Standard-of-care:SOC)に追加した3群とSOCを行う対照群について、OSに関する評価が行われ、今回は最初の結果が発表された。

 対象は高リスクの前立腺癌患者で、新規に診断された患者では、転移またはリンパ節転移があるか、T3/4、PSA≧40ng/mL、Gleasonスコア8-10のいずれか2つに該当する患者とした。前治療の根治的前立腺全摘除術または放射線療法で再発した患者では、PSA≧4ng/mLかつPSA倍加時間が6カ月未満、PSA≧20ng/mL、転移またはリンパ節転移がある患者とした。患者を層別ランダム化で2:1:1:1になるよう、SOC群、SOCとドセタキセルの投与を行う群(SOC+ドセタキセル群)、SOCとゾレドロン酸の投与を行う群(SOC+ゾレドロン酸群)、SOCとドセタキセルとゾレドロン酸の投与を行う群(SOC+ドセタキセル+ゾレドロン酸群)の4群に割り付けた。

 SOCは3年以上のホルモン療法(アンドロゲン遮断療法)とし、特定の患者には放射線療法の追加も可とした。放射線療法は2011年11月まではN0M0の患者に推奨され、その後はN+M0の患者に対する選択肢とされた。ゾレドロン酸は4mgを3週毎に6回投与し、その後は4週毎に2年間投与した。ドセタキセルは75mg/m2を3週毎に6回、プレドニゾロン10mg/日とともに投与した。主要評価項目はOS、副次的評価項目は治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)、QOL、骨関連事象、費用対効果だった。

 2005年10月から2013年3月までに2962人が登録され、SOC群1184人、SOC+ゾレドロン酸群593人、SOC+ドセタキセル群592人、SOC+ゾレドロン酸+ドセタキセル群593人となった。患者背景はバランスがとれており、年齢中央値は65歳、61%が転移を有し、15%はN+M0、24%はN0M0、98%にLH-RHアナログが投与されていた。

 追跡期間中央値42カ月において、主要評価項目であるOS中央値は、SOC群の67カ月に対し、SOC+ドセタキセル群77カ月、ハザード比0.76(95%信頼区間:0.63-0.91、p=0.003)となり、ドセタキセルの追加により10カ月の延長と24%のリスクの低下が示された。

 一方、SOC+ゾレドロン酸ではOSは改善せず、SOC群に対するハザード比は0.93(95%信頼区間:0.79-1.11、p=0.437)だった。また、SOC+ドセタキセル+ゾレドロン酸群のSOC群に対するハザード比は0.81(95%信頼区間:0.68-0.97、p=0.02)となり、SOC群と比べて改善したものの、ドセタキセル単剤の追加で認められた効果は上回らなかった。

 FFSも、SOC群と比べて、SOC+ドセタキセル群(ハザード比0.62[95%信頼区間:0.54-0.70]、p<0.0000000001)とSOC+ドセタキセル+ゾレドロン酸群(ハザード比0.62、95%信頼区間:0.54-0.71、p<0.0000000001)では改善したが、SOC+ゾレドロン酸群では改善しなかった(ハザード比0.93[95%信頼区間:0.82-1.05、p=0.26])。サブグループ解析では、遠隔転移を有する患者ではドセタキセルによるFFSとOSの改善がいずれも顕著に示されたが、遠隔転移のない患者ではFFSのみが改善することが示された。

 グレード3-5の毒性は、SOC群で31%、SOC+ゾレドロン酸群で31%、SOC+ドセタキセル群で51%、SOC+ドセタキセル+ゾレドロン酸群で52%に発現した。グレード3以上の発熱性好中球減少はそれぞれ1%、2%、12%、12%に発現した。ただし、化学療法中に発現した毒性は早期にピークとなるとみられ、1年後までには安定していた。1年時にグレード3以上の有害事象が観察されたのは、SOC群9.7%、SOC+ゾレドロン酸群10.6%、SOC+ドセタキセル群10.1%、SOC+ドセタキセル+ゾレドロン酸群11.3%だった。

 James氏はドセタキセルについて、「転移を有する前立腺癌で新規に診断された患者では、投与に適していれば日常臨床で考慮すべき。一方、高リスクで転移のない患者では、FFSの延長の点から、選択した患者に考慮すべき」と述べた。

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