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2015/6/1

未治療の若年MCL患者にR-High-CHOP/CHASER/LEED療法と自家末梢血幹細胞移植が標準治療の選択肢となる可能性【ASCO2015】

森下紀代美=医学ライター

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)で若年の患者に対し、リツキシマブと高用量Ara-C(HDAC)を含む化学療法を併用する寛解導入療法(R-High-CHOP/CHASER)と、自家末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)併用の大量化学療法(LEED療法)により、持続的な無増悪生存期間と全生存期間が得られることが、フェーズ2試験(JCOG0406)から示された。毒性プロファイルは受容可能な範囲だった。5月29日から6月2日まで米国シカゴで開催されている第51回米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)で、国立病院機構鈴鹿病院血液内科・臨床検査科の小椋美知則氏、愛知県がんセンター中央病院臨床試験部/血液・細胞療法部の山本一仁氏が、JCOGリンパ腫グループ(LSG)を代表して発表した。

 未治療の若年MCL患者に対し、リツキシマブとHDACを含む化学療法の併用療法を施行後、auto-PBSCT併用の大量化学療法を行うことが推奨されており、実施している施設もあるが、標準的なレジメンは確立されていない。

 JCOG0406試験の目的は、新規にMCLと診断された患者を対象として、寛解導入療法(R-High-CHOP/CHASER)を施行後、LEED療法とauto-PBSCTを行う治療法の有効性と安全性を評価することだった。

 対象は、生検病理診断で組織学的にMCLと診断された患者で、免疫染色で細胞核がcyclin D1陽性、フローサイトメトリーまたは免疫染色でMCL細胞にCD5とCD20のいずれも陽性、PS 0-2、bulky massを有するII期、III期、IV期のいずれか、20-65歳、末梢血液中のMCL細胞数が10000/μL以下などの条件を満たすこととされた。

 寛解導入療法では、第1コースのみR-High-CHOP療法を行い、リツキシマブ375mg/m2とデキサメタゾン40mgをday1、15、シクロホスファミド1500mg/m2とドキソルビシン75mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2をday 3、プレドニゾロン100mgをday 3-7に投与した。第2、3、4コースはCHASER療法を3週毎に3サイクル行い、シクロホスファミド1200mg/m2をday 3、Ara-C 2g/m2をday 4、5、エトポシド100mg/m2をday 3、4、5、デキサメタゾン40mgをday1、3、4、5、15、リツキシマブ375mg/m2をday 1、15に投与した。

 末梢血幹細胞採取はCHASER療法の2コース目に行い、CD34陽性細胞総数として2×106個/kg以上の末梢血幹細胞を採取することとした。auto-PBSCTは、R-High-CHOP/CHASER療法で部分奏効(PR)以上の効果が得られた症例に行った。大量化学療法として、LEED療法を第4コースの開始日から36-49日目以内に行い、メルファラン130mg/m2をday−1、シクロホスファミド60mg/kgをday−4、−3、エトポシド500mg/m2をday−4、−3、−2、デキサメタゾン40mgをday−4、−3、−2、−1に投与した。主要評価項目は2年無増悪生存率(PFS)で、期待値は50%、閾値は30%とされた。

 2008年6月から2012年6月までに45人(年齢中央値59歳)が登録された。マントル細胞リンパ腫国際予後指標(MIPI)による低リスク群は28人、中リスク群は15人、高リスク群は2人となった。

 40人が寛解導入療法を完了したが、4人で末梢血幹細胞の採取が不十分となり、auto-PBSCTが成功した患者は36人となった。1人は有害事象が発現し、大量化学療法とauto-PBSCTを完了したのは最終的に35人となった。治療を行った43人で採取された末梢血幹細胞数の中央値は3.8(0.4-38.4)×106/kgだった。

 追跡期間中央値46カ月の時点で、主要評価項目である2年PFSは77%(95%信頼区間:62-87)となり、主要評価項目は達成された。5年PFSは52%となった。

 2年全生存率(OS)は91%(95%信頼区間:78-97)、5年OSは71%となった。MIPIのリスク群でみると、2年PFSは、低リスク群82%、中リスク群79%、高リスク群0%、5年PFSはそれぞれ61%、45%、0%、2年OSは96%、86%、50%、5年OSは85%、52%、0%となった。

 奏効率は、寛解導入化学療法では96%となり、完全奏効(CR)は82%、大量化学療法ではそれぞれ78%と71%だった。

 最も多く観察されたグレード4の毒性は血液毒性で、好中球減少は45%、白血球減少は44%、血小板減少は40%に発現した。治療関連死は1人(2%)で、脳にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が発生した(移植後リンパ増殖性疾患:PTLD)。4人(9%)で2次癌が発生し、内訳は急性骨髄性白血病(AML)、前立腺癌、DLBCL、成人T細胞白血病(ATL)だった。全死亡は11人で、このうちMCLによる死亡は7人、ATLとDLBCLによる死亡が各1人だった。
 
 両氏は「未治療で65歳以下のMCL患者に対し、R-High-CHOP/CHASER/LEED療法とauto-PBSCTの併用は、標準治療の選択肢となると考えられる。ただし、4人で末梢血幹細胞の採取が不十分となったことから、効率的な採取が今後の検討課題と考える」と話した。

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