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2015/6/1

転移性大腸癌標準治療へのSIRT追加は肝転移に関するPFSを有意に延長【ASCO2015】

大西 淳子=医学ジャーナリスト

 イットリウム-90で標識した樹脂微小球を用いる内部照射療法SIRTに関する無作為化フェーズ3試験SIRFLOXで、標準的な化学療法にSIRTを追加しても、あらゆる病変に関する無増悪生存期間(PFS)の延長は見られなかったが、肝転移病変のみについてPFSを推定したところ、SIRTの利益が有意になった。オーストラリアRoyal Melbourne病院のPeter Gibbs氏が、データをASCO2015で5月30日に報告した。

 SIRFLOX試験は、オープンラベルの国際的な多施設無作為化試験で、オーストラリア、ニュージーランド、欧州、中東、米国で行われた。

 この試験は、転移性大腸癌に対する第1選択薬であるmFOLFOX6±ベバシズマブ(追加するかどうかは担当医の判断に任せた)を適用した場合と、mFOLFOX6±ベバシズマブにSIRT(Sirtex社の 「SIR-Spheres」)を追加した場合の有効性と安全性を評価する目的で行われた。

 2006年10月から2013年4月まで、肝臓のみに転移がある、または肝臓を中心とする転移(肝臓以外に肺と/またはリンパ節に転移有り)を有する転移性大腸癌患者のうち、切除不能で、進行癌に対する化学療法歴が無い人々を登録した。肺転移は1cm以下の腫瘍が5個まで、リンパ節転移は2cm未満が胸部、腹部、腰部のいずれか1カ所に存在する症例を組み入れた。

 条件を満たした患者を、A群:mFOLFOX6(オキサリプラチンの用量は85mg/m2)±ベバシズマブ、または、B群:mFOLFOX6(オキサリプラチンの用量はサイクル3まで60mg/m2、それ以降85mg/m2)±ベバシズマブ+SIRT(サイクル1開始から3-4日目に投与)に割り付けて、進行が見られるまで治療を継続した。

 主要評価項目は、PFSに設定し、RECIST基準を用いて評価した。分析はintention-to-treatで行った。副次的評価項目は、肝病変のみを対象とするPFS、あらゆる病変に対する奏効率、肝病変に対する奏効率、肝病変切除率、毒性と安全性、健康関連QOL、全生存期間(3件の臨床試験を合わせて分析)などとした。

 計530人(40%が肺以外に病変あり。年齢の中央値は63歳)を登録し、263人(男性が66%)をA群に、267人(男性が68%)をB群に割り付けた。ベバシズマブを使用したのはA群の147人(56%)とB群の145人(54%)だった。B群の7%はSIRTを受けなかった。mFOLFOXを受けなかった患者は、A群の4%とB群の1%だった。

 追跡期間の中央値は26.1カ月で、全ての病変を対象に評価したPFSの中央値は、A群が10.2カ月、B群は10.7カ月で、ハザード比は0.93(95%信頼区間:0.77-1.12、p=0.43)だった。肝病変に関するPFSは、それぞれ12.6カ月と20.5カ月で、ハザード比は0.69(同:0.55-0.90、p=0.002)と有意差を示した。

 あらゆる病変に関する客観的奏効率(部分奏効+完全奏効)は、A群が68.1%(部分奏効が66.5%、完全奏効は1.5%)、B群は76.4%(部分奏効は71.9%、完全奏効は4.5%)だった(p=0.113)。両群の完全奏効率の差は有意では無かった(p=0.54)

 肝病変に対する奏効率は68.8%(66.9%と1.9%)と78.7%(72.7%と6.0%)(p=0.042)、完全奏効は1.9%と6.0%(p=0.02)で、いずれも差は有意だった。

 肝切除が可能だった患者の割合は13.7%と14.2%で有意差は認められなかった(p=0.857)。

 グレード3以上の有害事象は73.4%と85.4%に発生。最も多く見られたのは血液毒性で32.9%と51.9%の患者が経験した。続いて消化管毒性が21.2%と32.9%に発生、胃潰瘍を経験した患者は0.0%と2.4%だった。SIRT追加に由来する毒性は容認できるレベルと考えられた。

 肝転移のある切除不能の大腸癌患者に対する第一選択として、標準的なmFOLFOXにSIRTを併用しても、PFSの延長は見られなかった。一方で、肝病変に関するPFSの中央値はSIRT追加により有意に延長した。肝臓は大腸癌の主な転移部位であり、肝転移が死亡の原因になるリスクは高いことから、この利益は重要と考えられる。

 サブグループ解析やQOLなどに関する分析は今後行われる予定だ。また、全生存期間の分析は、大腸癌患者にSIRTを適用して進行中の他の2件の無作為化試験(FOXFIRE、FOXFIRE Global)とこの試験のデータを総合して行われる予定だ。データが公表されるのは2017年になる見込み。

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