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2015/5/15

新規診断された進行前立腺癌患者に対する標準的なホルモン療法にドセタキセルを追加するとOSが10カ月延長

森下紀代美=医学ライター

 新規に診断された進行前立腺癌でホルモン療法未治療の患者に対し、標準的なホルモン療法にドセタキセルを追加すると全生存期間(OS)が有意に改善することが、現在進行中の大規模なフェーズ2、3のランダム化比較試験(STAMPEDE)から示された。同試験の詳細は、英国University of WarwickのNicholas David James氏らにより、5月29日から米国シカゴで開催される第51回米国臨床腫瘍学会(ASCO2015)で発表される。

 STAMPEDE試験の対象は、高リスクの局所進行前立腺癌または転移を有する前立腺癌で、初めて長期のホルモン療法を開始する患者だった。2005年10月から2013年3月までに登録された2962人がランダム化割り付けに進んだ。対象の年齢中央値は65歳、61%が転移を有し、その他の患者も危険因子を2個または3個有する高リスクの患者だった。

 同試験のデザインは、段階的、多群で構成される革新的なもので、英国University College LondonのMedical Research Council Clinical Trials Unitとともに開発され、進められた。同試験では、標準治療は3年以上のアンドロゲン遮断療法(ADT)としたが、新たな治療を評価し、標準治療の変化に適応するため、変更を可としている。標準治療を行う対照群の登録においては、治療パターンの変化として標準治療の変更を可とし、特定の患者にはADTに放射線療法を追加することなどを認めている。試験の進行に伴い、効果が不十分な治療群は中止し、新規のホルモン療法薬など新たに登場した治療を行う群を追加し、有効性を評価した。

 対象は、対照群、標準治療とドセタキセルの投与を行う群、標準治療とゾレドロン酸の投与を行う群、標準治療とドセタキセル+ゾレドロン酸の投与を行う群の4群に、2:1:1:1で割り付けた。ドセタキセルは75mg/m2を3週毎に6回、プレドニゾロン10mg/日とともに投与した。ゾレドロン酸は3週毎に6回投与し、その後は4週毎に2年間投与した。主要評価項目はOSだった。

 追跡期間中央値42カ月において、OS中央値は対照群で67カ月、標準治療とドセタキセルの投与を行う群で77カ月、ハザード比0.76(95%信頼区間:0.63-0.91、p=0.003)となり、ドセタキセルの追加により10カ月の延長と24%のリスクの低下が示された。さらに転移を有する患者のサブグループ解析では、OSはそれぞれ43カ月と65カ月となり、ドセタキセルの追加で22カ月延長した。全対象では、ドセタキセルにより再発までの期間が38%延長した。
 
 一方、ゾレドロン酸を標準治療に追加してもOSは延長せず、ドセタキセル+ゾレドロン酸を標準治療に追加しても、ドセタキセル単剤で認められた効果を上回ることはなかった。

 過去の2件の小規模な臨床試験では、ホルモン療法未治療の前立腺癌患者に対するドセタキセルの効果について、相反する結果が報告された。STAMPEDE試験は、新規に前立腺癌と診断された高リスクの患者に対するドセタキセルの役割を明らかにするうえで、大きく寄与している。

 James氏らは同試験の知見から、新規に診断された前立腺癌患者には、初回治療の一部としてドセタキセルを提案する必要があることが示唆されるとしている。さらに、再発のリスクが低下したことを考慮し、治療選択肢としてのドセタキセルの追加について、医師と患者が話し合う必要があるとしている。ただし、転移のない患者では、生存における有用性の有無を判断するため、長期の追跡が必要である。

 同試験では、対照群と比べてドセタキセルを追加した群で毒性が増したが、副作用は管理可能な範囲であり、副作用によりドセタキセルを中止した患者はわずかだった。QOLの結果は後日報告される予定である。

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